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第四十四話 殿下は完璧だった


サブタイトルをつける為に編集しました。話数が変わり、ご迷惑をおかけしましたm(_ _)m

最新話は第四十五話からです。8/24中に更新致しますm(_ _)m



※ ※ ※ ※ ※



 翌日の放課後も同じメンバーで勉強会を行った。


 殿下は私の隣に座り、今日も簡潔明瞭に教えて下さった。帰ってから暗記する部分も線を引いて教えて下さり、明日良い点が取れそうな気さえしてきた。


 殿下はいつも姿勢良く凛とされており、王族であることや美しさも相まって近づきにくい感じがするが、話すと気さくでとても喋りやすい。頭の回転が速く、私がこたえに困っていると先回りして導いて下さる。


 …第一王子として生まれ、幼い頃から英才教育を受けられた賜物なのだろうか…?


 「殿下、教えるの本当にお上手ですわ。」


 「僕で良ければいつでも教えてあげるからね。それより、前から言おうと思っていたのだけど、同級生だし、僕のことは『ジェラルド』と呼んでほしい。」


 王族の方を名前で呼ぶのは不敬なのではないかと思われたが、殿下がそう言われる為、


 「……それでは、『ジェラルド様』とお呼びします。」


 おずおずと名前を呼んでみた。


 ジェラルド様は、「嬉しい!」と、飛び切りの笑顔を見せて下さった。


  ……ジェラルド様、何だか可愛い……笑顔も眩しいわ……!




 

 その後も集中して勉強に取り組んだ。


 アラン様も集中して勉強されており、時々分からない所はジェラルド様に質問されていた。


 …アラン様、頑張っているわね!私も負けられないわ!


 ミッシェル様はラグエル様と一緒に勉強出来ることが余程嬉しいのか、ラグエル様の側を離れられなかった。ラグエル様に教えてもらいながらも始終ラグエル様を見つめておられ、時々体に触れてみたり、とても甘い雰囲気を醸し出されていた。


 ……これでミッシェル様に順位が負けてしまったら悔しい……!




 その日の夜、公爵邸へ帰ってからもジェラルド様に教えて頂いた暗記部分を懸命に覚えた。


 ……240人弱いるから、せめて120位にはなりたいわ……。



※ ※ ※ ※ ※



 試験当日。


 今日から3日間、午前、午後ともに筆記試験がある。この試験が終われば長期休暇(冬休み)に入り、明ければ三学期だ。そして二年生になると魔法実技試験も始まる為、今よりしんどくなるだろうなぁ…。


 異世界での初めての試験…緊張する!


 ……そういえば、今頃気付いたけど、まだ私が転生していなかった頃に行われた第1回筆記試験(夏休み前の試験)のビアンカの成績はどうだったのだろう…?異世界生活に必死で、ビアンカ自身のことあまり調べてなかったわ…。それにビアンカ自身は私が転生して……今どうなってる…?小説の世界だから、それ程気にしなくても良いのかしら…?


 ……色々気になるけど、取り敢えず、今は試験に集中しよう!


 試験中はイル先生が魔法で作りだした監視員…ならぬ監視スライムボールが生徒の上をフワフワ浮遊し、不正がないか監視するようだ。


 ……さすが異世界……!?不正したらスライムボールに食べられるのかしら?!


 試験科目は、魔法薬学、魔法倫理学、魔法科学、魔法工学、魔法史に始まり、古代言語や国政、外国語、数学など多岐に渡る。まだ一年生なので基礎ではあるが、範囲が広い為大変だ。


 ……しかも私は異世界から来たので覚えるのが本当に大変だったわ……!でも割とスーッと覚えられたのは以前のビアンカとしての記憶が片隅に残っていたから?それともビアンカ自身の頭が良かったから?……それでもまだ自信がない!とにかく退学にだけはなりたくない!

 



※ ※ ※ ※ ※




 第一科目目の魔法薬学と第二科目目の魔法科学の試験にはジェラルド様が言われていた暗記ポイントが全て出ていた。


 「……ジェラルド様、凄すぎる!」


 嬉しくなり、ジェラルド様に今すぐ伝えたくて、休み時間に8組まで行ってしまった。


 「ジェラルド様!」


 「ビアンカ?!どうしたの?!」


  ジェラルド様は突然の訪問に驚かれていたが、笑顔で廊下まで出て来て下さった。


 「ジェラルド様に教えて頂いたところが全部出ていましたわ!嬉しくて、お礼を言いに来たんです!」


 ジェラルド様は私が喜ぶ姿を目を細めて見られ、「ビアンカが僕に会いに来てくれるなんて嬉しいよ!」と、私の背中に手を置いて、人混みを避けるように廊下の端へ誘導して下さった。


 ……そして、はたと気付いた……。


 ……私今、ものすごく注目されている!?


 ……しまった……嬉しすぎて何も考えていなかった……!


 周囲からは「マクレイン嬢と殿下よ?!婚約破棄されたんでしょう?!」「あの二人あんなに仲良かったの?」等という声が聞こえて来た。


 「……ごめんなさい。私が来たことで注目されてしまいましたね。」


 「いいよ。僕は嬉しい。次の試験も頑張ろうね。次は……魔法史だね……魔法史はこの部分はもう覚えた?絶対に出るよ!」


 ジェラルド様は何も気にされておらず、教科書を開いて指で差しながら教えて下さった。


 ジェラルド様の顔を見上げると、とても優しい笑顔で見つめて下さる。


 ジェラルド様……本当に良い方だわ……!もう小説上での嫌悪感が完全に払拭されてしまった……。


 その時、


 「ビアンカ様?!いつからそんなにジェラルド様と仲良くなられたの?!」


 ……マーガレット様だ!


 マーガレット様はジェラルド様に近づくと、その手を絡ませようとされた。しかし、


 「……マーガレット、もうそういうことはやめてくれないか?」と、ジェラルド様が拒絶された。


 「……ヘンリー様のことでそのように言われるのですか?ヤキモチを妬いていらっしゃるの?私はジェラルド様をお慕いしております。」


 マーガレット様は可愛らしく笑顔でそう言われると、再びジェラルド様に近づこうとされた。しかし、


 「……本当に、もうやめてほしいんだ。君には悪いことをしたとは思っているが……。」


 ジェラルド様は真剣な表情で静かに言い放たれた。


 「!?……どうして?まさか、またビアンカ様に………?」


 マーガレット様が私を睨みながらそう言われたところで、予鈴が鳴り、話は中断された。


 ……マーガレット様、ヘンリー副団長様を好きになられたのではなかったの……?

 


 





読んで下さり、ありがとうございました!

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