表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/92

第四十三話 勉強会にて


 翌日、登園するとラグエル様と殿下も来られていた。


 「あのオールの湿布と、オールの煎じ薬がよく効いて、入院しなくてもよくなったんだ。」


 「顔の傷もあと少しで消えそうだろう?」


 二人とも笑顔で元気そうだ。


 アラン様も先生方も元気そうだが、マーガレット様が見当たらない?


 「マーガレット様はどうされたんですか?」


 「ああ、マーガレットは男爵家に帰っているので休みだよ。試験には戻ってくるだろう?」


 冒険した後なので休息は必要よね?私も今日は休みなさいと何度も言われたもの……。




 「あっ、そうだ!ラグエル様、試験までは医務室の仕事を免除して頂いたんです!またご迷惑でなかったら一緒に勉強して頂けませんか?」


 「そうなんだ!良かったね。勿論いいよ!今日の放課後、図書室へ行こう!」


 ラグエル様は笑顔で了承して下さった。


 「君達そんなことしていたの?!勉強会なら、僕も混ぜてよ?」


 「えっ?!殿下も?!」


 明らかに嫌な顔をされるラグエル様。


 殿下は私に近付き、私の両手を握って、


 「ビアンカ?僕はトップを目指している。試験に出そうな重要なところも把握しているから、役に立つと思うよ?」


 ものすごく魅力的なことを言われた。


 「殿下…!よろしくお願いします!!」


 「チッ…………………!」


 不服そうに舌打ちするラグエル様と、得意気にふふんと笑われている殿下。優秀な二人に囲まれて勉強出来るなんて嬉しいわ!


 「そうだ!アラン様にも声をかけなくちゃ!」


 「「………は?!!アランまで来るの?!」」


 二人が同時に叫ばれた直後、新たにもう一人参加希望者が現れた。


 「私もご一緒させて下さいませ!」


 ラグエル様に恋するミッシェル・クライム様だった。


 今回の勉強会は大勢になってしまったわ。大丈夫かしら……?



※ ※ ※ ※ ※



 放課後、図書室の一角に集まった。


 私の隣に殿下とアラン様が座り、正面にはラグエル様とミッシェル様が座られた。


 ミッシェル様は始終ラグエル様の顔を見ておられるが、勉強は大丈夫なのだろうか……?


 「ビアンカ?こことここは暗記して、この部分は何度か計算練習して慣れておく方がいいね。」


 いつもはラグエル様に付きっきりで教えてもらっているのだが、今日は殿下が主に教えて下さっている。


 ……何これ?!殿下の教え方驚く程分かりやすいんですけど…?!


 さすが文武両道の完璧人間だわ!私のペースに合わせて下さるし、説明が簡潔明瞭で分かりやすい!


 殿下が家庭教師して下さっているみたいで、何だか贅沢だ。


 その時ふと、真剣に文字を追われている殿下の横顔が目にとまった。


 殿下の側に座って、横顔をまじまじ見るの初めてだけど、この方本当に綺麗な顔をしているわ…。金髪のサラサラした髪から覗く瞳はスカイブルーで、顔のパーツ全てが精巧に整っていて…。シャツから覗く腕は程よく筋肉がついて力強そうだし、今顔に少し残っている傷も何だかギャップがあるというか、ワイルドさも加わったというか……。登山してから殿下の責任感のあるところや、優しいところも知れて、初めと随分印象が変わってしまったわ…。


 じっと横顔に見惚れていると、殿下が気付いてこちらを見つめ、「どうかした?」と尋ねて来られた。


 「いえ…何でもありません。傷が早く治るといいですね……。」


 「…………………………………。」


 暫く何も言わず、見つめ合ってしまった。


 「……こんな傷、どうでもいいよ。それよりビアンカの可愛い顔に傷がつかなくて良かった…。」


 そう言うと殿下は私の左頬にそっと手を当て、何か言いたげな表情をされた。


 その時、


 「待った!!殿下何をしていらっしゃるんですか?脱線しています!そろそろ席替えを…………。」


 とラグエル様が声をあげたところで、ミッシェル様が言葉を遮り、


 「ラグエル様はまだここにいて下さいまし!私まだ分からないところがありますのよ?!」


 と、ラグエル様の腕を掴まれた…否、絡ませた?


 何だか喪女の私は見てはいけないような光景だわ…!?恥ずかしいっ!?


 私は両手で顔を隠しながらも、隙間からその光景をしっかり見てしまった。


 





 


 



読んで下さり、ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ