第四十話 やっと戻って来れた!
※ ※ ※ ※ ※
学園へ戻ると、公爵家と王家、男爵家の馬車が門の前で待機していた。遠方の為、いつもは学園の寮で生活されているマーガレット様も、今回ばかりはご両親も心配され迎えに来られたのだろう。
「お嬢様!よくご無事で……!お帰りなさいませ!」
「……私はもう気が気ではなかったです……。」
目に涙を溜めた侍女のアンと御者、護衛二名が出迎えてくれた。私も身内の姿を見ると安堵し、思わず抱きつき涙した。
「さぁ、公爵様も奥様もお待ちです!早く帰りましょう!」
そそくさと馬車へ入れられ、皆への挨拶も儘ならぬまま、出発した。
馬車の中でメイと喋っていると、私を呼ぶ声が聞こえてきた。窓を開けると、騎士様達が馬を走らせ見送って下さっていた。馬車と並走しながらヘンリー様が「またお会いしましょう!お元気で!」と笑顔で言われ、ノア様は「必ず学園へ行くから、待っていて!」と言われていた。……学園へ来られるのかしら……!?もう会えないのは寂しいから、是非来て頂きたいわ!
騎士様達と別れた後、
「お嬢様、あのキラキラしい騎士様達と登山されていたのですか?」
と、メイがにやにやしながら聞いてきた。
「……そうよ。」
顔が熱い!何焦ってるんだろ……私!
「あの様なイケメンに囲まれて……。お嬢様、かなり楽しんでおられましたね?心配して損したかもしれません。」
メイは始終にやにやしている。
「………そんなことないわ!?大変だったのよ?!」
「……さぁ、どうでしょう……?」
……もう!メイったら!!
帰宅すると両親が玄関で待っていて、私の姿を見るなり飛び付いて来られた。母はおんおん声を出して泣いており、父も少し涙ぐんでおられた。
……無事に帰って来られて良かった……。
疲れ切っていた私は湯浴みを済ませると、すぐにベッドに横になった。そしてそのまま深い眠りについた。
「あー気持ちいい!やっぱり家がいいわぁ!」