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第三十九話 どうして気になる?!



 食堂では、殿下とラグエル様とアラン様の4人でテーブルについた。


 宿の食事は採れたての野菜や果物が使われており、素朴でとても美味しかった。それに何と言っても『お米』が使われていたのだ。雑炊のように料理してあり、久々のお米に歓喜した。


 …懐かしい!とっても美味しいわ!休みの日にまた連れて来てもらえるよう、お父様にお願いしてみよう!


 私はメイ達と一緒にここに来れる日を想像して、一人ほくそ笑んだ。




 「5日後からテストが始まるね。」


 ラグエル様の一言で現実に引き戻され、青褪めた。


 「悪い成績だと退学になるとお聞きしましたが、実際はどうなんでしょうか……?」


 医務室での仕事があった為、ラグエル様との勉強会も出来なくなり、十分勉強が出来なかった。良い成績がとれるかとても不安だ…。


 「過去には何人か退学した方がおられたと聞いたことがあるけど、授業に出ていなかったり、やる気のない方ばかりだったそうだよ?」


 ……そうなの?! 


 「……それなら私はまだ大丈夫かしら……?」


 授業には真面目に出ているから大丈夫よね?!ちょっと安心した……。


 「それから、御令嬢が結婚されて退学されたり……」


 「えー?!」


 あまりに驚いて話の途中で叫んでしまった。


 ……結婚……!?まだ十代だよね……!?


 「………?ビアンカ、別に驚くことはないだろう…?」


 皆、怪訝そうな表情で私を見つめる。


 ………………………………!?


 ……あっ、そうだった…!だってビアンカも幼い頃に婚約していた訳だし……。学園にだって婚約している方は沢山おられるわ。卒業とともに結婚される方もいらっしゃるもの…。


 皆、私よりよっぽど大人だわ……。


 それより私いつまでここで生活するのかしら?もしかしてもう戻れないの…?


 このままここで仕事とか結婚……とか、考えないといけないのかな?


 その時、何故か急にノア様が気になり、ノア様の方を見た。ノア様は騎士様達に囲まれて食事を楽しまれていた。


 ……ノア様の告白…ドキドキしたな……。


 ノア様の告白を思い出すだけで顔が赤くなり動悸がした。……喪女にあんな直球な告白……恥ずかしっ!!


 色々思い出したり、妄想に耽ったりしていだのだが、側から見ると、かなりおかしな様子だったようだ。


 ぼーっと遠くを見たり、頬を両手で押さえたり、急に赤くなって恥ずかしがったり……。時には「きゃ!」と言ってみたり……。


 「ビアンカ様?」


 「ビアンカ?どうした?」


 名前を呼ばれて、はっと気がつくと、三人が引き攣った様子でこちらを凝視していた。


 !?


 「……何か?」


 出来るだけ平静を装ってこたえた。


 「何を考えていたの?」


 アラン様が両手で頬杖をついて、にこにこしながら問うてきた。


 ラグエル様と殿下もこちらをじっと見ている。


 「……えっと、これから先、仕事とか結婚とか、どんな風になるのかなぁと色々想像してしまいました……。」


 「「何だって!!!」」


 ラグエル様と殿下が勢いよく席を立った。


 「だっ、誰との結婚を想像した!?」


 ………………………え? 


 「いえ、特定の人はいませんが、これからは色々と真剣に考えていかないといけないのかなぁと思いまして……。」


 二人は私を凝視したまま固まっている。


 「……どんな結婚を想像した!?」


 「いえ、私もこれから考えていかないといけないなぁと思ったくらいで、具体的には……。」


 ……………どうしよう!?私、変なこと口走ったんだわ……!?


 「……そう。」 


 二人はゆっくり席につき、ふーっと大きく息を吐かれた。


 「…………………………………。」


 そしてまた四人で他愛のない話を始めた。


 話の合間にまたチラッとノア様を見ると、今度は目が合い、慌ててそらした。


 わー!ビックリした……!!


 ……動悸がひどい……!


 ……私、だいぶノア様の告白が後を引いているわ……。ノア様の言う通り、心を占領されてしまうかも………!?




※ ※ ※ ※ ※




 学園へ戻ると、公爵家と王家、男爵家の馬車が門の前で待機していた。遠方の為、いつもは学園の寮で生活されているマーガレット様も、今回ばかりはご両親も心配され迎えに来られたのだろう。


 「お嬢様!よくご無事で……!お帰りなさいませ!」


 「……私はもう気が気ではなかったです……。」


 目に涙を溜めた侍女のアンと御者、護衛二名が出迎えてくれた。私も身内の姿を見ると安堵し、思わず抱きつき涙した。


 「さぁ、公爵様も奥様もお待ちです!早く帰りましょう!」


 そそくさと馬車へ入れられ、皆への挨拶も儘ならぬまま、出発した。


 馬車の中でメイと喋っていると、私を呼ぶ声が聞こえてきた。窓を開けると、騎士様達が馬を走らせ見送って下さっていた。馬車と並走しながらヘンリー様が「またお会いしましょう!お元気で!」と笑顔で言われ、ノア様は「必ず学園へ行くから、待っていて!」と言われていた。……学園へ来られるのかしら……!?もう会えないのは寂しいから、是非来て頂きたいわ!


 騎士様達と別れた後、


 「お嬢様、あのキラキラしい騎士様達と登山されていたのですか?」


 と、メイがにやにやしながら聞いてきた。


 「……そうよ。」


 顔が熱い!何焦ってるんだろ……私!


 「あの様なイケメンに囲まれて……。お嬢様、かなり楽しんでおられましたね?心配して損したかもしれません。」


 メイは始終にやにやしている。


 「………そんなことないわ!?大変だったのよ?!」


 「……さぁ、どうでしょう……?」


 ……もう!メイったら!!


 


 帰宅すると両親が玄関で待っていて、私の姿を見るなり飛び付いて来られた。母はおんおん声を出して泣いており、父も少し涙ぐんでおられた。


 ……無事に帰って来られて良かった……。


 疲れ切っていた私は湯浴みを済ませると、すぐにベッドに横になった。そしてそのまま深い眠りについた。


 「あー気持ちいい!やっぱり家がいいわぁ!」







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