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第三十話 お料理をしてみました


 コカトリスの羽はドラゴンと同じものなので『ドラゴンの鱗』が取れる。それは鋼鉄のように硬く、耐冷耐熱に優れるという貴重なもの。チェスター先生はそれは嬉しそうに魔法で一枚ずつ剥がしている。


 「こんな貴重な戦利品が得られるなんて!」


 鼻歌まで歌っている。


 「傷ついた者もいるし、ここで野営をして少し休もう。」


 イル先生が声を掛けると、皆「やった!やっと休める!」と喜んだ。


 騎士様達がテントを組み立て、イル先生がそれに結界を張る。


 「はぁ…疲れた…。私…特に何もしてないけど…。」


 役に立てない自分を悔やみながら、中に入った。ダグラス先生とアラン様が作られた薬草茶で一息つく。


 「それにしても薬草採取がこんなに大変だとは思わなかったわ。マーガレット様もおかしいし…。」


 相変わらず、殿下とマーガレット様は別の場所にいる。


 ……絶対おかしいわ!?皆何を隠してるの?


 アラン様に小声で「マーガレット様と殿下、どうなってるの?」と尋ねた。


 アラン様は戸惑った表情をされ、小声で「…その話はしない方がいいよ。多分何かに気付いていて、それに気付いていることを悟られないようにしてるんじゃないかな…?」と、口元に人差し指を当てて「しっ!」と言っている。


 「………………………………………………。」


 無言で頷き、もうその話をするのはやめにすることにした……。




 騎士様達や先生方、ラグエル様は疲れ切って仰向けに倒れている。


 「……魔力も相当使われているもの……。私何にも役に立っていないわ…。何か出来ることないかしら……?」


 その時、ダグラス先生が食事の準備をされているのが目に入った。……これだ!


 ダグラス先生の元へ急いで行き、


 「先生、疲れていらっしゃると思いますので私が用意致します!お任せ下さい!」


 胸を張って宣言した!


 「そうか?…それじゃあ、お願いしよう!」


 さあ!頑張るわよ!


 えーっと、材料は……水鳥の卵…キノコ…ハーブ…パン……。

 

 そうだ!懐かしいあの料理を作ろう!


 「ビアンカ様、料理なんて出来るの?」


 アラン様とラグエル様が心配そうに覗き込んで来た。


 「…失礼ね…。私だって出来るわよ…。でもちょっとだけ手伝って!」


 「いいですよ。何をしたらいい?」


 「えっと、火を起こして、その上に鉄板を置いて欲しいの。」


 「それ位、お安い御用だ。」


 そう言うと魔法で簡単に火を起こして、その上に鉄板を置いてくれた。


 「何が出来るか楽しみだー!」


 二人は興味津々で覗き込んで来る。


 …卵を溶いて、岩塩を少々と…アマチャを少し入れる。それを鉄板の上に流し込み、木で作ったヘラで巻いていく。


 「美味しそうな匂いがする!上手いね!」


 一品目は『卵焼き』


 切り分けて、皆に食べて頂いた。


 「初めて見る料理だけど、とても美味しいよ!」


 「ビアンカ様にこんな特技があったなんて!」  


 皆に喜んでもらえた……嬉しいっ!


 そして、二品目は岩塩と数種類のハーブで味付けした『卵とキノコのふんわりスープ』


 「これも美味しい!見直したよ、ビアンカ!」


 先生方も褒めて下さった。もうっ!疲れが吹き飛ぶわっ!


 もっと材料があれば、作りたいお料理は沢山あるんだけど…今ある材料だったら、最後は『卵と干し肉、お野菜を挟んだサンドイッチ』位かしら…?


 挟んだだけで、気の利いたソースもないサンドイッチだったが、皆とても喜んでくれた。

 

 「ありがとう、ビアンカ様。疲れが取れたよ。」


 ヘンリー様も沢山食べて下さった。


 皆がこんなに喜んで下さるなんて…!帰ったら、お料理も頑張ろうかしら!?


 

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