第十七話 医務室での仕事③ 爽やかな先輩 ジョスト・ワイマール様
放課後、医務室へ行ったが、先生は席を外しておられた。先生を待っている間、物品の整理や掃除をして過ごした。
「ダグラス先生、いらっしゃいますか?」
と、男子生徒が2人入ってきた。1人の男子生徒が手から血を流している。剣の稽古をしていて傷ついたのだそうだ。
「どうしましょう…ダグラス先生は今いらっしゃらないのです。私で良かったら…診せてもらってもよろしいですか?」
おずおずと申し出た。
「えっ?君が……?」
不審そうな顔をしながらも、生徒はビアンカに傷口を見せた。傷は深くなく、皮膚が剥離していた。
あっ、これならいけるかも…。
「痛いですが、我慢して下さいね。」
消毒した後、鑷子で皮膚を丁寧に戻し、ステリテープで貼った。その上をガーゼで保護した。
そこに、ダグラス先生が戻って来られた。
傷口をみて、「ああ、こんなに綺麗に貼り合わせたのなら、治癒魔法せず、自然治癒を待つ方がいいだろう。治癒魔法はあまり使いすぎると自然治癒力の低下を招くんだよ。」と言われた。先生に「よくやった!」と褒めてもらい、嬉しかった。
「ありがとう……えーっと?」
「私はビアンカ・マクレインです。」
「えっ?!マクレイン公爵様の…?」
男子生徒は驚いていたが、「ジョスト・ワイマールです。マクレイン様、ありがとうございました。それから、妹とも仲良くしてもらっているようで、ありがとうございます。」と笑った。
「えっ?妹様……?……フロレス・ワイマール様のお兄様ですか?」
「はい。」
魔法実習で同じ班のフロレス様のお兄様だったのね。そういえばよく似ていらっしゃる。目の覚める様な赤い髪と茶色の瞳はフロレス様と同じだわ。
「いえ、こちらこそ、フロレス様のような明るくて楽しい方と仲良くしていただいて嬉しく思っています。」
フロレス様がお兄様に私と仲良くしていると話してくれているなんて嬉しいわ。
「ワイマール様、傷の経過をみたいので明日も来て下さいますか?」
「はい。必ずまいります。」