「エタる」という表現が気になります
まず、このエッセイの前提として、私自身はまともに連載を書いたことがありませんから、あくまで読者側としての意見になります。
Web小説を読み始めたのが今年に入ってからなので、5,6年以上前からこの表現が存在していたなんて全く知りませんでした。「創作中のものが永遠の未完(=完結しない)で終わる」という意味で、eternal(永遠なる)からくる造語だそうです。
そもそも『小説家になろう』というサイト内において読者は時間以外の対価を支払わず、小説を読むことが出来る訳ですから「エタる」こと自体を強く批判することはできないと思います。作者様にも色々と事情があるでしょうし、ご自身の生活や健康を第一に優先すべきだと感じます。
では、一体何が気になるのかと申しますと……この「エタる」という表現、ちょっとカッコ良すぎやしませんか?
責めることはできないとは言いましたが、かといって褒められることでもないはずです。楽しみにしている読者を落胆させる行為ですし、連載期間が長ければ長いほど、それに応じて時間を注いで追いかけてきたファンのショックは大きくなってしまうのですから。
それなのに、「eternal」、「永遠なる」ですよ! 『私はこの物語を永遠に完結させない』なんてアニメの決め台詞みたいじゃないですか。作者がエタってしまう原因の一つは、この語感が下手にクールなことで罪悪感が薄れてしまっていることではないかと思うのです。
そこで、「エタる」に代わる新たな表現案をいくつか考えることにしました。まず、横文字でないというのは非常に重要です。アルファベットが並ぶだけで簡単にカッコよくなってしまいますから。そして出来るだけ、「こうなってはいけない!!!」という強迫観念を作者に植え付けるような言葉を選ぶことにしました。
時間を掛けて吟味した結果、以下の三つを「エタる」に代わる候補として皆様にご提案します。
1.えなる
どうですか! 「エタる」と一文字違いでありながら、「そんなこと言ったってしょうがないじゃないか」と女々しく言い訳する作者の様子が何故だか浮かんできませんか? これなら作者も軽々しくえなろうとしたりしないはずです。もしえなりたくなっても、えなってしまった自分の姿が頭を過り、何とか持ちこたえられるのではないかと思います。
2.のびのびたる
更新日の延期を重ねていくさまを表現した言葉です。不思議なことに、困ったことがあればすぐ猫型ロボットに泣きつき解決を求めようとする情けない眼鏡っ子の姿が目に浮かぶ表現です。
3.ふんづまる
くれぐれも勘違いしないでいただきたいのですが、甲州弁で「行き詰まる」という意味です。そういえば、作品を生み出すのに苦労することを「難産」と表現しますね。全く関係ありませんが。
実は、以上の候補以外にも「中折れる」というド下ネタを思いついたのですが、下品な言葉は嫌いなので却下しました。意味が分からない小さなお子様は、お父さんお母さんに尋ねてみてください。責任は取りません。
長期連載の経験はありませんが、小説家にとって一番の支えが読者様からの応援であることは間違いありません。これからも中折れ作家が一人でも減るように、皆様のエールを積極的に届けていただければ幸いです。