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CP9 山田尊の場合


 俺の名前は山田尊。今年で46歳のでぇベテラン中年だ。

 ああ、異世界転生して、悪役令嬢とつるみてぇ。

 自分で言うのもなんだが、かなりのこじらせ具合のいい歳をした中二病だ。

 つける薬なぞ、ある訳ない。あったら、とっくにまともな人生を送っているだろう。

 ふん、人にはそれぞれ生き方がある。なので、こんな生き方も悪くない俺はそう思っている。

 それだけで十分だ。でも、足りない。満たされない。むくりともたげる負の感情、俺はつい大きな溜息をついた。


 読み終わったラノベ「異世界召喚されたら、そこは悪役令嬢のハレムだった。~勇者俺様!皆の者、ひざまづけ!チートな俺のハッピーライフ♡」を枕の横に置いた。

 ベッドに身を投げ横たわる。

 なにが異世界だ。悪役令嬢だ。ハレムだ。勇者だ。チートだ!

 俺が知る現実世界には何一つないものだ。

 人はないものに憧れる。


 ふと、頭に浮かんだ。

 異世界転生してみてぇ。 

 しかし異世界という素晴らしい場所があるなら是非とも行ってみたい。

 ウハウハでチートな人生の第二幕を送ってみたい。


 なーんて、俺は阿保か・・・。

 布団に潜り込み、俺は目を閉じる。

 明日も変り映えのない平凡な毎日に備えて。

 現実の日々を送るんだ。



 尊はゆっくりベッドから上半身を起こした。


「ふう」


 小さな溜息をついた。

 選ばなかった選択をした尊の一日がはじまる。


 全く何も変わらない日常、尊は工場で同じ作業を淡々とこなす。

 時に同僚とたわいもない会話をしつつ、ほどよく仕事をこなす。

 昼休憩となり、弁当を食べた尊は、外の喫煙所へむかう。

 簡易のスペースに灰皿が置かれているだけの場所は誰もいなかった。


 煙草に火をつけ、スマホの電源を入れる。

 

(これが俺の選んだ答えか)


 尊は一人苦笑いをし、スマホのアルバムを見る。

 アルバムに映る別の世界のみんな、写真のみんな笑っていた。

 尊の吐いた煙草の煙が、フィルター機に吸い込まれていく。

 彼は吸い終わり、喫煙所を出た。


 尊は空を見上げる。

 青空が広がっていた。


 今回は主役です。

 尊さんが、ひょっとしたら選んだ一人の世界。

 えっ、手抜き?そんなことはないと・・・思う(笑)。

 では、次は最終回、よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 選ばないというのも一つの選択で、日常を選んだとも言えますね。 [一言] 男エンドが二つ続きましたね。
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