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CP1 花々の場合


 俺の名前は山田尊。今年で44歳のでぇベテラン中年だ。

ああ、異世界転生して、悪役令嬢とつるみてぇ。

自分で言うのもなんだが、かなりのこじらせ具合のいい歳をした中二病だ。

つける薬なぞ、ある訳ない。あったら、とっくにまともな人生を送っているだろう。

ふん、人にはそれぞれ生き方がある。なので、こんな生き方も悪くない俺はそう思っている。

それだけで十分だ。でも、足りない。満たされない。むくりともたげる負の感情、俺はつい溜息をついた。


読み終わったラノベ「異世界召喚されたら、そこは悪役令嬢のハレムだった。~勇者俺様!皆の者、ひざまづけ!チートな俺のハッピーライフ♡」を枕の横に置いた。

ベッドに身を投げ横たわる。

なにが異世界だ。悪役令嬢だ。ハレムだ。勇者だ。チートだ!

 俺が知る現実世界には何一つないものだ。

 人はないものに憧れる。


 ふと、頭に浮かんだ。

 異世界転生してみてぇ。

 でも転生の王道は、一度この世界で死ぬもんな。

 そこのところは、俺は古い人間なので納得出来ない。

死んだら終わりだろ。次なんてあるはずがない。そう思ってしまう。 

しかし異世界という素晴らしい場所があるなら是非とも行ってみたい。

ウハウハでチートな人生の第二幕を送ってみたい。


なーんて、俺は阿保か・・・。

 布団に潜り込み、俺は目を閉じる。

 明日も変り映えのない平凡な毎日に備えて。

 現実の毎日を送るんだ。

 


「おはよう、起きてください」

 俺は眠い身体を起こし、声のする方を見る。

 いつもと同じで、ちょっとだけ世界が変わったように感じた。

 俺の新しいはじまりがはじまる。



 花々編


「ああ、おはよう」

 尊は愛する妻、花々に挨拶をする。

「おはようございます。尊さん」

 花々はくすりと笑う。


 山田花々29歳。かつての異世界物語では皇帝の妃だった。後宮では様々な陰謀に巻き込まれ命の危機にさらされる。その後、尊やみんなとともに他の異世界を救う。

 優しい性格の持ち主で母性本能の塊である。顔は垂れ目で、少しだけぽっちゃりの豊満ボディ、その類まれなるたわわに実った胸に顔を埋めれば昇天間違いなしの女性。


 尊が異世界を転生し、複数の世界を変えたことにより、この現実世界も少しだけ様相

が異なっている。


 尊は今日仕事だったなとカレンダーを見ると、日付は火曜日で定休だった。

(あれっ?)

 尊は首を傾げた。

 花々はいそいそとおめかしをして出かける準備をしている。

「どっか行くの?」

 尊は聞いた。

「えっ?尊さん、今日は石垣島の方へ旅行に行くって言っていたでしょう」

 花々は頬を膨らまし怒る。

「・・・そう・・・だったな」

 尊は頷いた。


「そうですよ。私達、結婚してから旅行なんてあまり行ったことがないから、行こうって尊さんが誘ってくれたんですからね」 

「ああ、ごめん、ごめん」

 尊は頭を掻いた。


 尊達が住む糸満市から、車で20分、那覇空港に着く。

 それから、空路で八重山諸島石垣島へ。

 石垣島到着後はレンタカーを借りて島内を巡る。


 石垣鍾乳洞や川平湾のグラスボート等を見て回り、本日の宿泊地フサキリゾートビレッジに到着する。

 コテージの鍵を貰い、二人はベッドで寝転ぶ。

「あー、疲れた」

 尊は開口一番言った。

 くすりと花々が笑う。

「もーおじさんですね。でも、今夜は寝かしませんよ」

「それは、こっちの台詞だよ」

 二人は、ぎゅっとしてキスをした。


 仮眠を軽くとった後、散歩がてら、プライベートビーチの砂浜を歩いた。

 ビーチの白い桟橋にある幸せの鐘を鳴らす。

 夕焼けが美しいビーチで尊は誰もいないことを確認して、花々にフレンチチューをした。

 

夕食はバイキング、美味しい沖縄の料理が所狭しと並ぶ。

「おいしいさー、このソーキそば」

「尊さん、同じのばっかり食べないで、もっといろんなのがありますよ」

「へーい」

 二人はたらふく食って、泡盛を飲んだ。


 コテージに戻ると、二人は食べ過ぎで苦しんだ。

「お腹いっぱいで動けません」

「・・・俺も」

 二人はそのまま、旅の疲れもあって眠ってしまう。


 尊は目を覚ます。

 隣にいるはずの花々の姿がない、彼は急に不安になった。

 時刻は夜の九時。

 大きな窓からコテージの眼前にあるプライベートプールを見た。

 

白いワンピースの水着を纏い、夜のプールを泳ぐ花々。

その後、彼女はプールに立って夜空を見上げる。

その姿は、どこかはかなげで美しい。


遅い時間帯もあって、彼女以外は誰もいない。

尊は慌てて水着に着替え、コテージを飛び出す。


「花々!」

「あっ、尊さん」

 にこやかに微笑む花々に、尊は頭からプールに飛び込むと推進力をつけて潜り彼女の腰を抱きしめた。


「きゃっ!」

「ぷはっ!」

 尊は顔を水面から出すと、花々を背中から抱きしめて、熱くキスをする。

 それから彼女の胸に顔を埋め、彼は安らぎを得る。

 二人の熱くて長い夜がはじまる。


 花々編了。後はご想像におまかせします(笑)。


 まずは花々編。

 あとは、みなさんの妄想力っ(笑)。

 週一ぐらいで投稿予定です。

 よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最初は尊さんの年齢的に、一番あり得るカップルですね。平和な世界で、違和感無く暮らせる娘さんでもありましたし。 [気になる点] マルチエンディングでしたら、前作のラスト後の部分にくっつけても…
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