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深愛 ~看護師千代の物語~【完結編】  作者: 菜須よつ葉:監修 ひな月雨音
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カルテNO2 本編007 新生児(前編)

 大きくなるお腹をさすりながら、春海はお腹の我が子に語りかける。



「今日もお元気かなぁ?」



 春海の声に反応するかのように、お腹の中で動く赤ちゃん。



「ふふっ、元気だね」



 エコー検査で男の子であることは分かっていた。


 夫婦で、子供の名前を考える時間がとても幸せな時間になっていた。


 姓名判断の本なんかを広げては、ああでもないこうでもないと悩むのも、楽しいと思える程だった。


 妊娠後期になり春海のお腹も大きくなってきた。順調に育つ我が子が愛おしい。



「春海。無理するなよ?」



 夫はずっとこの調子で、私のことを甘やかしてくる。


 出産したら、この愛情はどっちに向くのかしらと、私も私で、先のことに頭を巡らせている。


 検診の時にいつも通りお腹の赤ちゃんをエコーで診ていた時に主治医が、標準より小さめかな。と呟いた。


 標準より小さいなんて気にすることもなく、小さく産んで、大きく育てばいい、そのくらいに考えていた。


 しかし、1人だけ心配で仕方ない人が……。



「春海、大丈夫なのか? 小さいだなんて。元気に生まれてくるのか?」


「たとえ小さく生まれたとしてもNICU完備だから大丈夫だよ」


「だよな。元気に産まれてくれればそれだけでいい」


 私のお腹を撫でながら、夫の尊も幸せそうな顔をしている。


 予定日が明後日と迫っていた朝、お腹に違和感を感じた。


 少しでも異変を感じたら、すぐ病院に行くと約束していたので、支度を整えると、タクシーで病院へと向かった。


 診察を受けると……。



「微弱陣痛です。出産の準備に入ったわね」


 そう言われ、遂に我が子に会えるときが近づいていた。



「あっ、尊? 準備してた入院セット持って病院に来てくれる?」


「わ、分かった! すぐ行くから、落ち着けよ? 大丈夫だからな! じゃあ電話切るぞ」



 なかなか陣痛が本格的にならず、病室で過ごしていた。



「やっとあなたに会えるのね」



 妊娠が分かってから数ヶ月。


 まだママの実感はないけど、お腹の中には確かにもうひとつの命が宿っている。



「パパ遅いねぇ」



 微弱陣痛が治まってきていた。陣痛の気配が無いので主治医から、一度家に帰っても良いし、このまま入院しても良いと言われた。初産なので陣痛が始まっても直ぐには生まれないから大丈夫ですよと言われたので、尊に連絡してみよう。


 ちょうど駐車場に着いた尊と電話が繋がり主治医から言われた事を話した。



 相談の結果、何があっても良いように病院にこのまま入院する事に決めた。



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