お茶会という女子会
あれから、クリスに魔女の力について二人に話す許可を得てお茶会を開いていた。いつもの定型の挨拶を一通り終えて、お茶やお菓子について話す。
アリシアもシルビアもとても幸せそうで、安心した。
人払いを済ませると、もうまちきれないとばかりにアリシアが話し出す。
「リリアーナ、あなたとクリストファー殿下それに、ランスロット様やリチャード様が『呪い』を解いてくださったんですってね」
「私もジェラール様から聞きました。本当にお礼を言わせて。」
「二人とも止めて、私達友達でしょう?
助けるに決まってるじゃない!
それから! あのお礼の品々! 本当に止めて」
あれから、アーサー様やジェラール様だけでなくアリシアやシルビアまで沢山のお礼の品を送ってきて大変だった。
丁寧に断って返そうとすると、運んできた従者が切腹でもしそうな勢いでどうしてもと懇願するので、今回だけはと言って受け入れた。
「今回は受け取ったけれど、もうあんなに豪華な物を送りつけるのは止めてね。
それに、もしも気づかなくても婚約の儀では解ける様に、ドロシー様がご配慮くださっていた様だったし……」
「いいえ。私なんて二週間程でこんなに参ってしまって……
シルビアなんて一ヶ月よ。本当によく耐えたと思うわ」
「二人のおかげで耐えられたけれど……
来年の婚約の儀までなんて、とても耐えられなかったでしょう」
「ええ。好きだったから、余計に辛かったもの」
「そうよ。政略結婚だったらまだ我慢出来たと思うと、私は自分を恨みましたもの。
『恋なんてして、私はなんて愚かだったんだろう』って」
「そうよね……私も嫌だわ。
じゃあ、頑張って早く解決出来て良かったわ。
私達の頑張りが無駄じゃなかったもの。
それにあの行動も全て魔法のせいだった訳だし、誠心誠意お二人は謝ってくださったのでしょう? 」
そういうと、二人は真っ赤になって俯いてしまった。え? 何? 何があったの?
「……何かあったの? 」
「いえ。……あの、ね。
だから、その……」
ねぇ? といって、アリシアはシルビアをチラリと見た。シルビアも、そうよねぇ? といってますます赤くなる。
……何かしら?
「アリシアもそうなのかしら?
ふふ。兄弟って似てるのかしらね」
「そうかもしれないわね」
「ええ? 二人だけ分かり合っているの? 」
「ああ、リリアーナごめんなさいね。
違うのよ。ちょっと恥ずかしかっただけだわ」
「そうよ。あの後ジェラール様が来てくれて、魔女と呪いの説明をしてくださって……
その、愛してるのは私だけだからと……
……キス……してくださって……
それだけよ」
「……アリシアも? 」
アリシアも小さく頷いて同意する。
「ええ! 」
そうなの? 二人とも?
「ほら! あれよ!
今回こんな事になって、婚約の儀で……したら本当は呪いも解けたとか、そんな話になって、そしたらアーサーが……
そんな感じよ! 」
アリシアは恥ずかしいのか、顔を真っ赤にしたままプイッと横を向いてしまった。
「ねえねえ。本当に相性って解るの?
どんな感じ? 」
アリシアは横向いたまま、こちらを見てくれない……シルビアは少し落ち着いたのか、小さく息をついた。
「リリアーナ、私達が悪かったわ。
……相性は、よくわからないのよ。
正直、混乱してそれどころじゃなかったわ。
でも、ダメじゃないって事よね。きっと」
「……。じゃ~リリアーナもクリストファー殿下にお願いしてみたらいいんだわ! 」
「え? 私からお願いするの? 」
カァーっと赤くなるが……恥ずかしくて、とてもそんな事言えない。
「恥ずかしくて、とても無理よ。
来年には婚約の儀があるから……いいわ」
二人が何か言いかけた時、パチパチと空間を歪めてドロシー様が現れる。
「あはは。なぁに? なんだか楽しそうな話ね」
「「ドロシー様! 」」
ドロシー様は空間の隙間から姿を出して、ふわふわ浮いていると思ったら、四阿のソファーにポスンと座った。
「ドロシー様!
いらっしゃるなら、ちゃんと先触れのお手紙等を出してからいらしてください。
みんな驚いてしまいますわ。」
「そうなの? 」
「ええ。こちらのルールですので、覚えておくときっと役にたちますわ。
でもドロシー様なら、お手紙を魔法で直接本人に届けて、すぐにお返事を受け取る事が出来る魔法を作れそうですね。
そしたら、連絡したらすぐに会えますから、面倒な手間もありませんものね」
「ふーん。じゃ~手紙の魔法を作ってみるわね。
リリアーナに出してみるね」
「はい。楽しみにしてますね」
アリシアもシルビアも驚いて固まっていたが、気を持ち直した様だ。
「……リリアーナ、普通に魔女に意見してる。
……すごいわ」
「ドロシー様、今回は私達にも色々ご配慮頂きありがとうございました。
直接お礼にお伺いもせず、申し訳ありませんでした」
「ああ、そんな畏まらなくていいって!
あなた達は巻き込まれただけじゃない~
上手くいって良かったわね! 」
ドロシー様はとても長い時を生きている崇高な魔女のはずなのに、とても気さくな優しい方だった。
「それに、今回は私も学ぶ所が多かったわ。
ありがとね。
あなた達の様子をみてて、やっと妹達や姪の気持ちも理解が出来たかもしれないと思ったんだ」
そういって、やはり無邪気な、子供の様に笑った。
そして、今は何してるのか聞かれたので、お茶会という名の女子会だと言った。女子会の意味がわからないと言うので、話をして聞いて貰うと楽になるし、楽しいのだと伝えた。
「じゃあ~私の話も聞いてくれる? 」
「「「もちろんですわ」」」
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