表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/49

そしてはじまるゲームの舞台

説明部分が多いので、最後にあらすじつけました。

飛ばしてお読み頂いても大丈夫仕様にしてあります。

 この世界に桜はないが、似た花で白涙(はくらく)という花が咲いている。花びらが涙の様にハラハラ落ちる所から、そう呼ばれているらしい。

 白い花びらがハラハラ舞い散る様子は、私の知っている桜にとても似ている。



 私自身がお花見や入学・卒業等で桜を見る事はなかったけれど、病室の窓の下には大きな桜の木があって……


 桜が舞い散る道を歩き、学校に入学して行く姿を想像しながら、よく眺めていた。



 桜との違いは、花びらが本当の涙の様に落ちて、地面に着くと消えてしまう所。

 そして、涙の様に何度も花びらが()()()くる所だ。

 一年間、大気中から白涙の樹が集めた魔力で花が咲いているんだそうだ。樹も光合成だけじゃなくて、魔力を吸ったりするなんて、不思議。

 そう、魔力の花なのだ。なので花が散りきってしまう事はなく、白涙の季節が終わるまで一ヶ月くらい毎日楽しめる。





 そんな白涙が舞い散る中の入学式に参加できて、私は感動していた。




 こうやって二度目の人生で私の夢が叶っていく。

 他の人が興味のない学園長の()()()()()()()も『これ』が、そのお話なのね。と感動したし、生徒会長のお話も二つ上なだけの会長が大人に見えて不思議だった。


 学園って不思議な所だ。二つ上の先輩はとても大人に見えるし、一つ上のクリスが遠く感じる。



 ……同じ年だったら良かったのにな。




 私達ライバル令嬢も王子様達もほとんどの必修科目は終えているため、学園には他貴族との交流と学園というものに触れるという事が基本的な通う理由だった。


 他の貴族もほとんどが入学前に学習済みなので、自分の研究ジャンルの学びを深める為や、文官や武官、騎士や魔術師を目指す者の学び場に近い。ここで良い成績を修めたり認められたりすると、お城や良い職場に取り立てて貰えるためみんな必死だ。


 そして、良い婚約者を探そうと……こちらもみんな必死だった。



 ゲームでは、夏に編入生としてヒロインは学園にくる。



 平民として暮らすヒロインは、魔力を隠して生きて来た。しかし本当の父親である男爵が母親を迎えにきてくれる。そして、貴族令嬢として魔力持ちとして認められ学園に途中入学してくる。


 ……そんなストーリーだったと思う。



 夏まで三ヶ月か長くても四ヶ月しかないが……



 ヒロインが現れるまで学園を……

 学校というものを楽しんでみたい。






―――――   ―――――    ―――――






「アリシアは何を選択するの? 」


「私はマイナーな言語をもういくつか追加したいの。だから言語学を専攻するわ」


「シルビアは? 」


「まだ悩んでいるけれど……アリシアみたいに剣も強くなりたいから、剣術学部かしらね。

 後は……今後の事を考えて作物と魔術の魔作学も専攻するつもりよ」


「そうなの。やはりジェラール様は……」


「ええ。ご本人もそう言ってらしたわ。

 だけど……私は本当は少しだけ嬉しいの。

 だって、そうしたら妻は私一人でしょう? 」


「「そうね」」


 シルビアはクールに見られがちな美しい顔でクスリと笑って……王妃候補としては、私も失格ねと言う。


「もちろん、どちらが王妃様になっても私達の友情に変わりないわ。王妃様の役に立てる様に頑張るつもりよ。

 私達の気持ちは私達だけが良くわかるもの」




 そう……王になれば、何人か王妃を娶るという覚悟はしている。理解しているが……気持ちはなかなか複雑なのだ。


 特に、最初から『絶対に数人妻がいる』と決まっている訳ではなかったから余計だ。

 王に()()()()()()()、妻は自分一人かもしれないという、()()があった為に、諦めきれない気持ちを持ってしまっているのだ。


 だって私達はみんな婚約者に恋していたから。





 一つ年上のアーサー様とクリスは、魔力も武術も王としての資質も全て申し分なく、更なる成長をみせていた。

 ジェラール様は元来の性格も大人しく、武術や剣術はある一定の所からは伸び悩んでいた。向いていないのだろう。ニコニコとして優しい方だ。

 しかしジェラール様の母は、赤の一族のロートシルト家だ。権力欲の強いロートシルト家が、自ら王太子を辞退するのを許すはずがないので辞退していないだけだった。



 アーサー様とクリスの卒業と成人を持って、誰が立太子されるか決まる。二人とも王としてふさわしい資質を持っている。

 三人の王子は意外にもお互いを認め合い、支え合いたいと思っているように思う。


 ただ、王妃の生家が問題だった。


 アーサー様の母はケラヴィノス家だ。ロートシルト家とケラヴィノス家はいつも権力争いをしている。


 しかしアーサー様はそんな事どうでもいいとばかりに、とりあわないのでケラヴィノス家は焦れていると聞く。

 それならば、他の王子に王妃を娶らせたほうが権力を持てるのか画策しているとの噂だ。



 だから、ケラヴィノス家のアーサー様とロートシルト家のアリシアという組み合わせは意外に良いのかと思っていたが……


 それを良しとしないのが、シルビアの生家である青の一族アンダーソン家と、リチャードの生家である黒の一族グレンウィル家だ。


 五大公爵家の二つに権力が集中しすぎる事を懸念している。因みに銀の一族は沈黙を貫いている。




 今までは王太子候補は一人の事が多かったため、どうにか正妃にしたい、さもなければ国母にしたいという争いだった。


 しかし、どの王妃に子供が出来るか等は予想も出来ないので、嫁いでからが勝負という感じだったそうだ。


 もちろん今回も誰かが王に選ばれてから、その争いが起こる事は想定の範囲内だ。



 因みに姫様が生まれる事もあったが、たまたまなのか金の魔力は女子に受け継がれにくいのか……数少なすぎてわからないが、王位を争える程の魔力を持たない姫が多かったとの事だ。



 今回の様に王子からも王妃候補からも、権力に絡むアプローチをする事になり、どの家も策を巡らせている。





 権力に絡まない魔女の血をひく王子とやはり権力に絡まない銀の一族の私は、他の家からすると一番()()がない様で回避したいペアらしい。






「……それで?リリアーナはどの授業を選択するの? 」


 考え事に夢中になり、ボーっとしている私にアリシアが聞いてくる。


「魔法学じゃなくて、魔女について研究している魔術研究学に行こうかなって思っているの。クリスもいるし……」


「そうね。リリアーナを一人にするのは心配だったから……クリストファー殿下と一緒ならば安心ね」


「良かったわ。私達も一緒に行った方がいいかと思っていたけど、殿下が一緒なら大丈夫ね」


「二人ともそんな心配いらないわ。学園内の研究よ? 」


「だめよ。リリアーナ、十分注意してね。学園内も一人で出かけたりしてはだめよ」



 そんなに危なくないんだけど……私はそんなに、危なっかしいのかしら?






~あらすじ~

・ジェラール殿下は王太子にはなれない

・ライバル令嬢達は王子様の唯一の妻になりたい

・ケラヴィノス家(黄)とロートシルト家(赤)の権力争いが激しい

・アーサー&アリシアだとケラヴィノス家とロートシルト家に権力集中して良くない

・グレンウィル家(黒)とアンダーソン家(青)が反対している

・クリスとリリアーナはどちらも権力と無縁なので、旨みがなく他の公爵家としては避けたい



ーーーー



五大公爵家(★は族長の家名)


銀の一族★ロアーヌ家

黒の一族★グレンウィル家★暗部・宰相職★リチャード

青の一族★アンダーソン家★シルビア

赤の一族★ロートシルト家★アリシア・ジェラール殿下

黄の一族★ケラヴィノス家★アーサー殿下



ーーーー

↓平民が多い


茶の一族★ワーグナー家★辺境伯

緑の一族★カウフマン家★伯爵



ーーーー


お読み頂きありがとうございます。

そしていつもたくさんのブックマークや評価をありがとうございます。

嬉しいです。


今週は更新ペースが落ちてすみません。

小学校の役員の仕事が終わるまで、少し遅れます。早く終わるように、頑張ります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ