森の泉にて ~ランスロットside~
本日は二話投稿しております。
今日初めてお越しくださった方は、一つ前からお読みください。
お手数おかけします。
今日は領地内の救護院に視察に来ていた。
リリィも一緒に行きたがっていたし、リリィが一族の長になるならば一緒に行くべきだったのだが……
僕は……本当はまだ怖いんだ。
お母様と妹が死にかけたのも、リリィの魔力の暴発でリリィを失いかけた事も………………。
特にこうやって出かけるのは、まだあの日の事を思い出す。
だから、リリィには安全な所にいて欲しい。
僕の目の届く所にいて欲しい。
ずっとなんて無理なのは分かっているから、せめて今だけでも、僕に守らせて欲しい。
気づくと、リリィやお母様や末っ子のマルティナのいる場所を探していた。
毎日そんなことに魔力を使っていたせいか、生活魔法の『探索・検知』の能力がかなり高性能になってしまっていた。
特にリリィは、リリィの魔力を感じるから、見つけやすい。
正直、とても助かる。リリィを感じていると安心する。
今日は視察に一緒に行けなかったから、きっと拗ねるか寂しがっているだろう。
お土産のお菓子を買って、家に急いだ。
家に近づくにつれて違和感を覚える。
……リリィが屋敷を出ている?
途中で魔力制御の指輪を外したであろう事は分かった。そこから、かなり高度な魔法をいくつも同時に使っているようだった。
まさかリリィが、こんなにも凄い魔法を……
しかも同時にいくつも使用出来るなんて!
僕くらいの魔力量を超えて来ないと、魔力量の多いもの同士の感知は働かない様だし、今は近くで感知される危険はなさそうだが……
むやみに力を使ってしまうリリィが心配だった。
馬車の中では、心配で心配でヤキモキした。早く家に着いて欲しいと切実に思っていた。
やっとの思いで家に着くと『リリィと裏庭で散策しながら今日の視察について話して来るから邪魔しないでね。』と家令と侍女達に言って裏庭に急いだ。
例の抜け道を通りリリィの元へ急ぐ。
森の途中でリリィに会えて、顔をみて安心した。
涙が出そうだ。
「みんなにバレる前に戻ろう! 急ごうっ! 」
兄として、泣くのは恥ずかしい。誤魔化す様に急いで駆け出した。
その後ゆっくり、リリィに今日あった事を聞いた。
まずは助けを呼ばれたと感じた事。
大丈夫だと確信があった事。
ここだ。
私の様に血の繋がりがあり、いつも魔力を感知し、更に高濃度魔力保持者ならば、感じ合う事もある。
しかし、そうでない場合…………
リリィの運命の相手の可能性も否定出来ない。
運命の相手は、魔力で引き合うらしいのだ。
半分くらいはおとぎ話の様な物で、出逢う確率はかなり低い……だから、大丈夫だと信じたいが………………
万が一にもそうだとしたら大変だ。
明日は必ず僕も確認に行かないと。
それにしても……その男の子はただの『茶の一族』なのだろうか……
その子には『毒』や『呪い』を受けるだけの何かがあるのだろう。
『茶の一族』は、土の魔力を有し数も多く素朴で純粋な一族だ。庶民で魔力保持者の多くは、茶・緑の一族の者が多い。
『緑の一族』は風の魔力を有している。こちらも数が多く、この二つの一族は、農業や鉄鉱業や林業に魔力を使って生活している。
茶の一族の族長は、確か辺境伯で国境の壁を作れる程の魔力の持ち主と聞いた事があった。その関係者だろうか……でも、毒や呪いを受ける何かがあるとは考えにくいな……。
考えても謎だらけで、深夜まで色々調べたが特に有益な情報を得ることは出来なかった。
お休み中、なかなか時間が取れなかったので、本日分が二つに別れてしまいました。
お手数おかけしました。
今日もお読み頂きありがとうございました。
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