表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/49

始まりはお茶会で 上

新連載です。

こちらもよろしくお願いいたします。

 春までもう少しという、この世界に生まれて十歳になる前の冬の終わり。


 私は両親に連れられ王宮に来ていた。



 王宮の中庭は冬の終わりとは思えぬ程、色とりどりの花で溢れかえっていた。

 王宮に勤める庭師や魔術士、そして王族の魔法だろう。


 あらゆる季節の花が計算されつくし、引き立て合いながら咲き誇っていて本当に美しい。



 こんなにも美しい庭なのに、心がちっとも躍らないのは……今日のお茶会の主旨が、王子達とのお見合いだからだろう。




 気づかれない様に小さくため息をひとつついて顔をあげる。子供と言っても、貴族の淑女らしく振る舞わなくてならない。更に言えば好印象を()()()()()()しなければならない。


 そう、それが最終的には()()()()()前提の婚約者だったとしても。




 中庭のお茶会のテーブルセットは本当に素敵だった。お菓子のひとつひとつがとても美しく繊細で、食べるのがもったいないくらいだ。流石に王宮のお茶会は違うなぁ、なんて感心してしまった。

 ほぼ同時に案内された私達は、公爵家の親同士で挨拶を始めた。そして紹介されるままに私も挨拶を交わしていく。

 どの家の令嬢も流石公爵家と言われる程の美しさと、優雅さがあった。私も()()()()挨拶を交わし、大人しくしておく。


 ほとんど彼女達に興味がなかった私は、この時点でやっと彼女達を認識し顔をみた……………………


 ふと、違和感を感じる。




 彼女達を()()()()()




 いつ、どこで、なぜ知っているのか……


 私達一族は、ほとんど領地から出ないため……

 今世で知っているのではないだろう……



 では前世か……



 そう、私は前世の記憶を持っている。

 あまり役に立つものではない、悲しい記憶だがこの記憶があるため、毎日を大切に生きている。





 不意に、前世の唯一の友達の言葉がよぎる。



『何でかな~この娘(ライバルキャラ)だけキャラが薄いんだよね~不思議ぃ~』


『ライバル令嬢がさ~三人いるんだけどね。


 第一王子と次期宰相のライバルキャラが、高慢高飛車令嬢でさ~めちゃめちゃ強い(ハイスペック)んだよね。ザ・悪役令嬢って感じ。

 第三王子と騎士のライバルキャラが冷たい嫌味令嬢でさ~すごい嫌味キャラなの。

 どっちも悪役令嬢っぽくて良いんだけど……攻略が難しいんだよね。二人(ライバル)とも強い(ハイスペック)んだよ。


 でも何でか、第二王子と文官のライバルキャラが地味眼鏡令嬢で、悪役令嬢の仕事しないんだよね。

 婚約もすぐ解消しちゃうし、ゲームにもあんまり出て来ないんだよね~スチルにも出て来ないし。


 キャラが地味だからかな?


 ……心配した隠しルートも無いみたいだし。

 スタッフの手抜きかなぁ?

 まぁ、他の悪役令嬢が強いからバランスとってる、ってサイトのコミュニティ情報が一番それっぽいかな?

 でも、ちゃんとイラスト集にも載ってるし、キャラクターデザインまであるのに、変なの~。


 私の推しの騎士様ルートじゃ存在すらあんまり出て来ないんだよね。ウケル』





 友よ。ウケている場合ではない様です。


 その地味眼鏡が私だわ……



 私、乙女ゲームの世界に転生していたみたい……



お読み頂きありがとうございます。

明日もお昼頃投稿します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ