魔道士見習いリリエル
練兵学校編開始です。
夜が開け始めたころ、私はシエラの町に到着した。奥に見える大きな宮殿の様な建物が私の言っていた、練兵学校。シエラ練兵学校だ。
母さんに渡された、制服の中に学生証が入っている。それを朝イチで校長に見せれば、今日から生徒として扱われるらしい。
今の時間は、6時。今行けばちょうどいいくらいだろう。
私は、翼を力強く羽ばたきシエラ練兵学校に飛んで行った。
「今日から、ここに通う事になった、リル・ソフィアよ。みんなよろしくね」
朝イチで校長に学生証を見せ、手続きを済ませることで、今日から生徒になった私は教官に連れられ、生徒、クラスメイトに挨拶をした。
教室はざわめいている。
「ソフィアは、奥の窓側の席が空いてるからそこに座ってくれ」
念願の学生デビューだ。嬉しいのだが、手放しで喜ぶことができない。
「連絡事項だが、一週間後に王都スカイに瓦礫撤去の手伝いを行う。スカイを襲った魔族は聖王国騎士団によって殲滅された。今は人手が欲しいとの要請だ」
えっ、一週間後に王都スカイに行けるの?カルドを探しに行けるのかな?
「あのさ、ソフィアちゃんだっけ」
隣の席の女の子に声をかけられる。みたところ、そこまで肉弾戦に強そうじゃない華奢な体格にあまりやけていない白い肌から、魔導士志望だろう。
「どうしたの?」
「王都に行くってことは、行方不明になった人を探せるのかな?」
「君も誰か行方不明になった人が知り合いにいるの?」
うんとうなずく、赤い長い髪。
「知ってる?カルド先輩って」
「カルド!?」
思わず大声を出してしまい、クラスメイトの視線が集中した。
「ソフィア、うるさい。話はあとにしろ」
「は、はいごめんなさい」
怒られてしまいクラスメイトの笑い声が聞こえる。恥ずかしくてうつむいてしまう。
「じゃあ、アイビス号令」
そう先生が言うと背の低い男子が号令する。左腕がごつく、やや右腕が左腕に比べてやや長い。その見た目からアーチャーだろう。しかも凄腕の。
「起立、礼」
ありがとうございましたとクラス全体で言う。
隣の赤髪の子の話が気になるので、すぐに聞く。
「それで、カルドがどうしたの?」
この子はカルドとどんな関係なんだろうか。
「私の憧れの先輩なんだけど、行方不明になったって聞いて、心配で」
そう言うことか、たまにカルドが送ってきた手紙に良く慕ってくれる後輩がいるって、この子だったんだ。
「そういえば、ソフィアちゃん、カルド先輩のこと、呼び捨てにしてどういう関係?」
まあ、隠すことでもないから言ってもいいか。
「血の繋がらない兄妹だよ」
「ふぇ?」
赤髪の少女は目を丸くしてしまった。
「続きはあとにしよ、練兵訓練の時間だよ」
「えっ、えっ?」
「そういえば、君、名前は?」
いまさらだが聞いていなかった。
「リリエル、セスナ・リリエルよ」
「よろしくね、リリエル」
そう言うと、私は剣士の訓練のある校庭に駆け出した。