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俺様日記~1学期~  作者: 清野詠一
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第二次・キューピッド作戦/後編




「いやぁ~……思ったより、怖かったなぁ」

俺はジェットのシートから降り、少しフラフラとする足で施設の階段を下りる。

「それに耳がキーンとしたわい」

何しろ乗ってる間中、小山田にしがみ掴まれ、耳元でキャーキャーと超高音で叫ばれたのだ。

鼓膜が少し痛いのであります。


「だって……仕方ないでしょ。本気で怖かったんだから」

小山田は珍しく、どこか恥ずかしそうに唇を尖らせた。


「ま、確かに予想以上だったな」

俺は苦笑を溢し、階段を下り切ると、そこには先に終わっていた金ちゃんと跡部が待っていた。

「よぅ、金ちゃん」


「おう…」


「……で?どうだった?」

友の肩に腕を回し、小声で尋ねる。

「西洋人形みたいな格好のメイデン跡部と、親睦は深められたかい?」


「……どうなんだろう?」

金ちゃんは力無く笑った。

「跡部さん、乗ってる間中……声を上げないどころか微動だにしなくて……ある意味、本当のお人形さんみたいだったよ」


「……」

それはそれで、ちと怖いね。

「そ、そっか。なに、まだまだ先は長いんだし、気楽に行こうや」

言って俺は金ちゃんを励ますように、肩をバシバシと叩いた。

やがて、今度はリーダー長坂と最下級奥崎が、ゆっくりと階段を降りてきた。

奥崎のチビ助は、何故か少し半泣きだ。


「よ、よぅ……奥崎。どうだった?ってゆーか、どうした?」

俺は和気藹々と絶叫マシーンについて語り合っているトリプルナックルの方を見やり、小声でリトル奥崎に尋ねる。

彼は脇腹を押さえながら呟くように答えた。

「……肝臓リバーを攻められたでやんす」


「……は?」


「乗ってる間中、肘で肝臓を殴られまくったでやんすよぅぅぅ」

奥崎の瞳に、ブワッと大きな雫が浮かんだ。

どーでも良いが、本当にこの坊主は俺様と同じ歳なのか?

「あのなぁ……気のせいじゃねぇーのか?単に長坂の肘が、マシーンの反動とかでちょっと当たっただけとか……」


「気のせいじゃないでやんすッ!!明確な殺意の波動を感じたでやんすッ!!」

奥崎は訴えるようにそう言うと、どこかジト目になり、

「神代さんは、女に甘いでやんすよぅ」


「そうかぁ?俺は本気で怒ると女でも容赦なく殴る、いごっそー洸一様と御町内でも評判の強面だぞ?」


「だったら今すぐ、アイツ等を始末して下さいでやんす」


「な、何を言ってるんだか……」

俺は肩を竦め、苦笑を零した。

「さて、次は何を楽しもうかのぅ」


「……神代さんは、イヂメを見て見ぬフリをする教師のようでやんす」


酷い言われ方だ。

「分かった分かった。長坂とはくっ付けない様にするから、そんな魔太郎みたいな顔で俺を見るのは止めろ」



「と言うわけで、お次はここだ」

俺達はお化け屋敷の前に来ていた。

このデュランパークと言えば、ズバリこのお化け屋敷。

以前、のどかさん&まどかと来た時にも入ったが、これがまたホンマに怖くて吃驚なのだ。


「ってなわけで、先ず第一陣は金ちゃんと跡部だ」

俺がそう言うと、金ちゃんはグッと親指を立て、今まで見たこと無いぐらいの爽やかな笑顔を溢した。

「んで、第二陣は俺と長坂。最後は小山田と奥崎だ」


「い、意義ありでやんすッ!!」

奥崎が俺のシャツの裾を掴む。

そしてそのまま引っ張りながら声を潜め、

「神代さん、酷いでやんすよぅ」


「な、何がだよ?長坂と一緒は厳しいんだろ?だったら残るは小山田しかいねぇーじゃねぇーか」


「厳しさがグレードアップしてるっすよッ!!小山田さんと一緒にいたらヤバイって、脳内でアラームが鳴ってるでやんす」


「気のせいだ、気のせい」


「気のせいじゃないでやんすよ。そもそもどーして、俺と神代さんと言う選択肢がないでやんすか……」


「貴様は豪太郎か?男同士でお化け屋敷と言うシチュエーションから生まれるのは、世間の誤解と嘲笑だけだぞ」

自尊心の高い俺様には、とても耐えられそうにないわい。


「まだ誤解された方が良いでやんすよ。神代さんは、弱い者の心を分かってないでやんす」


「貴様はアホか?この俺ほど、理不尽に虐げられている野郎はいないんだぞ?毎日毎日、怒鳴られるわ殴られるわ蹴られるわ呪われるわ……でもな、だからこそ精神が鍛えられるんだ。どんな過酷な状況に置かれても、動じない強い心が出来上がるんだ」


「……神代さんは真性のマゾでやんす。前世はきっと、サンドバッグかサッカーボールでやんす」


★ 


デュランパークのお化け屋敷は、以前来た時よりも更に怖さがグレードアップしていた。

だが、既に死の危険すら感じるマジな超常現象を体験している俺様にしてみれば、人工的に創られたお化け屋敷などは所詮、ただの遊戯施設だ。

どんなに怖い仕掛けだろうと、酒井さん一人の方が余程恐いと言うものだ。


しっかし、つくづく人間とは不思議な生き物じゃのぅ……

恐怖イコール生命の危機、と言うのが野生の掟であり大自然のルールである筈なのだが、わざわざ金を出してまでその恐怖を体験しようなどとは……

実に愚かしき生命体よのぅッ!!

なんて事をボンヤリと考えながら、腕にコアラのようにしがみ付いてガタガタ震えている長坂を連れてのんびりと施設内を歩いている内に、あっという間にゴール。

出口では、ある意味このお化け屋敷よりも怖い跡部と、何故かしょんぼりした顔の金ちゃんが俺達を待っていた。


「よぅ、金ちゃん」

早速俺は、お化け屋敷探方の成果を聞き出してみることにする。

「どうだった?デートに必要不可欠な存在であるこのお化け屋敷で、何か嬉し恥ずかしトキメキトゥナイトなイベントは起きたかね?」


「……」


「……おろ?どうした金ちゃん?」


「こ…怖かったよなぁ……」

金ちゃんはしょんぼりと蒼ざめた顔で呟いた。

「こんなに怖いお化け屋敷は、生まれて初めてだよ」


「お、おいおい。金ちゃんが怖がってちゃ、意味がないでしょ?」


「いや、だってよぅ……僕ってほら、探偵志望の現実主義者じゃん?何て言うのか、こう言う非現実的な物には、恐れを抱くと言うか……」


「分かった分かった」

俺は溜息を吐きながら、金ちゃんを宥める。

「で、結局のところはどーだったんだ?ちゃんと俺に話してみろよ」


「そ、それが……怖くて殆どダッシュしていたから、何も憶えていないと言うか……」


全然、話にならない。

「そ、そっかぁ。まぁ、なんだ、まだ先は長いんだし……諦めるなよ?チャンスはまだ、いくらでもあるぜ」

とは言ったものの……

そのチャンスを片っ端から潰されて行くと、俺様としては手の施しようがないと言う感じなんですがね。

「……お?」

そうこうしている内に、今度は出口から小山田と奥崎が出て来た。

小山田はツインテールをワキワキ動かしながら、「怖かったぁ~♪」等と楽しげに長坂達と会話しているが、奥崎はと言うと……妙に思い詰めた顔をしていた。


「ど、どうした奥崎?なんか……目が据わっているぞ?」


「……辛いでやんす」

奥崎は呟いた。


「は?ンだよぅ、そんなに辛い思いをするほど、お化け屋敷が怖かったのか?」


「違うでやんす」

奥崎は力無く首を振る。

「お化け屋敷じゃなくて、生きてるのが辛いでやんす」


「お、おいおいおいおーーい。なに神妙な顔して深刻な事を言ってるんだ?もしかして、お腹でも減ったのか?」


「酷い事を言われてるでやんす」


「なんだ、違うのか?」

俺は腹が減ると、絶望的な気分になるのに……

「だったらどうしたんだよ?ひょっとして、小山田に何かされたのか?」


「……何もされてないでやんす」


「ん?」


「何もされていないでやんすよぅ」

奥崎は泣きそうな顔なった。

「虐められるより、無視される方が何倍も辛いでやんす」


「……」

こ、この馬鹿は……

本当にコイツは不良なのか?

「あのなぁ。貴様は背の高さだけじゃなく、中身も小学生か?無視されようが何されようが、放って置けば良いじゃねぇーか。むしろ俺なんか、無視されたらされたで、積極的に違う女の子に声を掛けるぞよ」


「神代さんは強いから、そう言うことが言えるでやんすよ」


くっ、この小動物め……

「あ~…分かった分かった」

俺は奥崎を慰めるように、その小さな肩を少し強く叩いた。

「今度な、この俺様がお前に可愛い女の子を紹介してやるよ」


「マ、マジでやんすか?」


「まぁな。ま、付き合うとかそーゆーのは向うの意思だから別として……取り敢えず、友達として紹介してやる」


「ど、どう言う女の子でやんすか?」


「色々と知り合いはいるぞぅ。梅女の中等部に通ってる前世が光の戦士な女の子とか、ちょっと性格は厳しいけど慣れてくれば可愛く見える生き人形とか……」


「そーゆーのを、イヂメって言うでやんすよぅぅぅ」


「そうなのか?」



お化け屋敷を堪能した後、俺達は更に様々なアトラクションを楽しんだものの……

一向に金ちゃんと跡部の間には何らドキドキなイベントも起きなければ恋愛フラグも立たず、逆に奥崎に鬱フラグなどが立ってしまう始末。

これは何とかせねばと思いつつも時は無情に過ぎ去り、気が付けばあっという間にお昼。

俺達は園内のオープンカフェで軽く食事を楽しんだ後、本日のメインイベントであり、またラブ関係における最後のチャンスでもある大型プール施設にやって来ていた。

これが正真正銘、俺様に出来る最後のイベントだ。


「ってな訳で金ちゃん。何とかせなあかんぜよ」

ロッカーの並ぶ更衣室の中、俺は水着に着替えながら友である金ちゃんに声をかける。

「ぶっちゃけた話、これが楽しい夏を迎えることが出来るかどうかの瀬戸際。ラストチャンスなんだぞ?」


「分かってるさ」

金ちゃんは爽やかな笑顔を溢し、服を脱ぐ。

白い肌に少し肋の浮き出たヒョロヒョロな体型。

さすが、推理小説研究会の部長だけのことはある。

これほど、プールとか夏が似合わない男はいないであろう。

・・・

あぁ……物凄く不安だ。


これはどうも、デート先を間違えたかも知れんなぁ。

と、俺が少し絶望的な気分でいると、

「神代さん。いい体してるでやんすねぇ」

と奥崎。


「ん?……まぁな。伊達に毎日鍛えてるワケじゃねぇーし、これでも一応、TEPの新人王様だぞ。その辺の貧弱な坊やとは、筋肉の付き方が違うのだよ。付き方が!!」


「なるほど」


「ま、それはどーでも良いが……奥崎。貴様のそれは、いったい何の冗談だ?」

俺はジロリと、奥崎を見下ろす。

視線の先は、こ奴の水着だ。

「あのなぁ……ここはデートスポットとして名高い遊園地、デュランパークのプールだぞ?」


「知ってるでやんすよ」


「だったら、その露出面積が多いデルタはなんだ?」

奥崎の馬鹿は、非常に機能的に作られつつも見ると何だか悲しい、ピチピチとした競泳用水着を装着していた。

なんちゅうか、こーゆーアミューズメントな場所には、全く似合わない。

監視員だって、もう少し普通なのを穿いている。

しかも前がこんもりと膨らんでて、殺意を覚えると同時に妙にやるせ無い気持ちになってしまうではないか。

「お前なぁ、少しはTPOって奴を弁えろよ」


「そんなこと言っても、仕方がないでやんすよ。そもそも神代さんが悪いでやんす。可愛い女の子達とデートって言うでやんすから、気合入れてきたのに……」


「気合の入れ方を間違っちょる」

ったく、このチビが……

小動物のくせに、変な所で神経が太いぜ。

「ま、それしか無いのなら仕方ねぇーが、あまり小山田達の前に姿を曝すなよ?」


「ま、また、苛められるでやんすかねぇ?」


「……原因は、お前にあるんだけどな」



更衣室を出てプールへと行くと……

トリプルナックルの面々は、既に着替えを終えて待っていた。


「遅いよ、神代」

と、小山田が眉とツインテールを吊り上げる。


「悪ぃ悪ぃ…」

と言いつつ、俺は皆の水着を観察。

いやはや……

実に目に嬉しい。

ビバッ!!夏ッ!!


小山田はちょいと派手めなビキニタイプの水着で、着痩せするのか意外にグラマーな長坂はちょいとカットの大きいワンピースタイプの水着。

そして跡部は……

「どこで売ってんだ、それ?」

スプーキーな跡部は、水着もアレだった。

なんて言うのか、古いタイプの水着と言うのか……所謂、全身をタイツで覆っているような水着だ。

しかも囚人服ばりの横縞模様。

それが妙に似合ってるから困ったモンである。


「これはお気に入りなのです」

言って跡部は、浮き輪を片手にクルクルと回り出した。

「これからの時代、水着も個性なのです」


「お前の個性は、少し規格外だと思うが……」

言いながら、俺はチラリと金ちゃんを見やる。

我が友は、跡部に釘付けだった。

その瞳に「ちくしょぅぅぅ……カメラ持ってくれば良かったッ!!」と悔しさが滲み出ているのが良く分かる。


まぁ……ある意味、滅多に見れない特殊な画像だからなぁ……

「さて、それじゃ皆さん、いっちょ遊びますかねぇ」


★ 


……疲れた。

俺はベンチに腰掛け、一人休憩中。

あれから……

散々、トリプルナックルの面々にウォータースライダーやらジャンボ滑り台やらに付き合わされた。

もちろん、俺は遊んでいるだけじゃなく、その間にも金ちゃんの尻を叩いて跡部に色々とアプローチを掛けさせたり、目を離した隙にイヂメられている奥崎をフォローしたりと……

お兄さんは、もう疲労困憊ですよ。


「しっかし、夏もまだ本格的に始まってないのに、結構な混雑ですなぁ」

俺は辺りを見渡し、呟いた。

泳げないほど混んでいる、と言うことはさすがにまだないが、それでも思っていたよりは人が入っている。

大半はカップルや家族連れだが、残りはナンパ目的のチャライ野郎どもだ。

ウザったいたらありゃしない。


「しっかし……やっぱデート場所を間違えたかのぅ」

周りは格闘家風のゴツイ兄ちゃんや皮膚癌になるぐらい日焼けしたサーファー気取りの馬鹿ばかり。

少々貧弱ボディの金ちゃんには、ちと厳しいものがある。

そしてその金ちゃんは今、皆の為にジュースを買いに行っている。

そーゆー所は良く気が付くし、マメな男なのだ。

ちなみに奥崎は……

トリプルナックルに絡まれないように、プールの隅で一人寂しく泳いでいた。


「やれやれ、何してんだか」

あれで我が学園の表側を支配しているお笑い不良集団・菊田サーカスの一員なのだから情けない(ちなみに裏側を支配しているのは言わずと知れた偉大な魔女様とスーパー地球人様だ)。

「ま、あれでアイツも、弱い割には根性だけはあるんだがねぇ」

そんな事を呟きながら、ベンチに腰掛けぼんやりしていると、

「お…?」

流れるプールの向こうの方で、トリプルナックルの面々が場末のチンピラーズと言った感じのムサい男達に、しきりに声を掛けられているではないか。

「来た来た来た、来ましたよ~ん♪」

俺は腰を浮かし、目を細めてその光景を見つめる。


いやはや……

こーゆーチャンスを待っていたのだよ。

これぞ、俺の期待していたイベントッ!!

しつこいナンパ野郎から彼女を助ける……

まさに王道。

攻略必須イベントと言っても過言ではないのですよ。

「ここで金ちゃんが颯爽と現れて……って、いねぇーよッ!?」

周りに、我が友の姿は無かった。

どうやら、まだ売店から戻って来てないらしい。

「くはぁぁぁ…肝心な時に、どーしていないんだか」

俺は頭を抱え、途方に暮れた。


ったく、逃した魚は大きいぜよ、金ちゃん。

と、その時だった。

それまで一人寂しく泳いでいたミゼット奥崎が、いきなりプールから這い出したと思ったら、そのまま駆けてトリプルナックルの元へ。

「ほぅ……さすがだね」

俺は感心し、何度も頷いた。

俺が奥崎を買っているのは、こーゆー所なのだ。

前も菊田達を助けようと、無謀にも御子柴の野郎に飛び掛っていったし……

そーゆー熱い心があのチビ助にはあるから、俺は結構、奴を気に入ってるのだ。


「ま、それで実力が伴えば文句は無いんじゃが……」

見ると奥崎は、ナンパしていた野郎どもに、あっという間に取り囲まれ、思いっきり上から見下ろされていた。

まるで子供と大人の喧嘩だ。

「で、結局は俺様の出番なんだよねぇ」

金ちゃんを待っていても埒が明きそうにもないので、俺はボリボリと頭を掻きながら面倒臭げにベンチから立ち上がり、ゆっくりとイベントの行われている場所へ向かう。


やれやれですねぇ……

そして彼奴等に近づくや、無言で奥崎を取り囲んでいる野郎の一人に、洸一ダイナマイツキックをお見舞いし、プールの中へ叩き込む。

更に顎鬚生やした格闘家風味の野郎に中段蹴りを食らわしてやり、最後に日焼けで金髪、如何にも女の子を食ってますと言わんばかりのチャライ野郎の鼻頭に、高速パンチを叩き込んでやる。

この間、僅か数秒……

我ながら、大した奇襲攻撃だ。


「た、助かったでやんす、神代さん」

既に涙目の奥崎が、ホッとした表情で俺を見上げた。


「全く……弱い癖に、敢えて危険に飛び込むなよ」

とか言いながらも、俺は奥崎の肩を軽く叩き、少し誉めてやる。

すると跡部がトテトテと近づき、

「奥崎。少し頑張ったので偉いです」

言って彼の頭をナデナデした。

そして小山田や長坂も、憎まれ口は叩きながらも、奥崎の勇気と行動力を少しだけ賞賛した。


う、うぅ~む……

イベントの結果、奥崎に対する好感度が上がったみたいだね。

やれやれ、良かったですねぇ。

これであまり、彼女達にイヂめられることもないだろう。

・・・

って、それじゃあイカンだろ!!?

対象キャラが違うじゃんッ!!


俺は『まいったなぁ』とか思いながら、溜息を吐いていると、

「ぬぅ…」

遥か向こうに、見知った顔を発見。

金ちゃんだった。

たくさんのジュースを抱えた金ちゃんが、悲しそうな顔でトリプルナックに囲まれている奥崎を見つめているではないか。


くっ……な、なんて切ない光景なんだ……

洸一チン、思わず顔を伏せてしまいました。


いやはや、そんなワケで、俺様の企画したデート作戦は終わったが……

結局、得をしたのは何故か奥崎だけだった。

金ちゃんに至っては、肝心な時にいなかったせいか、少しだけ好感度が下がってしまったみたいだ。

・・・

言っておくが、悪いのは俺じゃないからね?

金ちゃんも、そろそろ諦めたらエエと思うんじゃがのぅ……











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