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俺様日記~1学期~  作者: 清野詠一
19/53

THE新人戦/ザ・祝勝会



喜連川家主催の祝勝パーティーは、予想通り、大盛況であった。

とにかく、豪華ゴージャスである。

広大な喜連川の敷地内にある迎賓館のホールの中、煌びやかなシャンデリアが輝くその下に、所狭しと並べられた山海の珍味とグラスに注がれる美味しいジュース。

もちろん、大きな声では言えないが……それなりに、お祝いと言うことでアルコール的な飲み物も置いてある。

まさに至れり尽せり、バブリーでセレブな感じだ。

ホント、のどかさんやまどかと友達で良かったわい、と心から俺は思う。


「さて……」

取り敢えず昼にバナナしか食してなく、飢えたライオンのように猛烈に腹が減っている俺は、立食形式の山と盛られた美味い料理を食い散らかし、先ずはホッと一息。

グラス片手に壁際に凭れ、何とはなしに皆を観察していた。


うぅ~む、梅女の生徒達も盛り上がってますねぇ……

ま、みなもチャンと優チャンに勝った女の子で、一位二位を独占したのだ。

盛り上がるのは当然だろう。

そしてそんな上流家庭ばかりの梅女の生徒に、俺様の応援に来た菊田サーカスの面々が必死になって声を掛けているが……殆どが軽やかに無視されている。

ま、これもある意味、青春の一風景だ。

「ふむ……」

テーブルがいくつも並んだ広大なホールを見渡すと、トリプルナックルの面々は豪太郎や金ちゃんとお喋りを楽しんでいるみたいだし、優チャンは真剣な顔で、真咲と何か話し込んでいた。

まどかは自分の学校の後輩たちに囲まれているし、のどかさんは姫乃ッチと談笑している。

皆さん、それぞれに楽しい一時を過ごしているようだが……


「俺も楽しみてぇ…」

そうなのだ。

俺は優勝したのだ。

つまり、このパーティーは俺様が主役なのだ。

そしてだ、俺様は皆からピンクな御褒美を頂戴できる約束なのだ。

ぬぅ…

想像するだけで、期待と股間が膨らむ。

言い訳するつもりはないが、僕チンもお年頃。

自他共に認める硬派な俺様とて、女体に触れたい時があるのだ。

ちなみに、今がそうなのだ。


と言うわけで、先ずは誰から……

俺はホールをざっと見渡す。

すると、手にした小皿に何やらサラダを盛り付けている美佳心チンの姿が目に入った。

むぅ……我らが突撃委員長様か……

そう言えば彼女は、俺が優勝すれば、そのカテゴリー的には『特大』に分類されるパイパイを、触らせてくれると約束したのぅ……

「ならば触らせてもらおうか!!」

俺は荒れる鼻息を押さえながら、何気に美佳心ちゃんに近づく。

気を抜くと、自然に「うっしっしっ…」とド助平親父の笑みが零れてしまうから、困ったモンだ。

「……よ、よぅ、美佳心チン」


「あん?なんや、洸一クンか」

美佳心チンがふにゃんと微笑んだ。


「おう、俺様よ。って言うか美佳心チン、まだ飯食ってんのか?」

彼女が手にしている取り皿の上には、サラダやらローストビーフやらが、テンコ盛りになっていた。

そう言えば彼女は、意外に良く食べる方なのだ。

だからオッパイも良く育つのだ。……と俺は思う。


「いやぁ~…さすが、天下の喜連川やで。ここの料理、めっちゃ美味しいやんか♪」


「うむ、それは同感だ。食材も良ければ料理人の腕も良いしな」


「せやな」

美佳心チンは頷き、そして改めて俺をマジマジと見つめると、

「洸一クンや。今日は優勝、おめでとうな」


「お、おう。俺様も、応援ありがとうと言っちゃうぜ」


「しっかし、まさか優勝するなんてなぁ……見ていて結構ハラハラしたんやけど、さすがウチが見込んだ男やで。ちょっとだけ、見直したわ」


「まぁな。何しろ俺は、やれば出来る子だからな」

エッヘンと胸を張る俺。

そしてやおら辺りを見渡し、コホンと咳払いを一つ。

声のトーンを抑えながら、

「と、ところで美佳心チン。その……御褒美の方は、どーなっているんでありましょうか?うひひひひひひ……おっと涎が」


「御褒美?」


「うん。具体的に言うと、オッパイなんじゃけど、僕は今すぐ揉み揉みしたいなぁ……と言うか、揉ませてくれぃ」

言うや、美佳心チンの表情が強張ったのだった。



ジィーーーッと、穴よ開けと言わんばかりに、俺の視線は美佳心チンの制服の膨らみに釘付けだった。

こんもりと膨らんだ豊かな双丘は、俺様に揉まれるのを待ち焦がれているようである。

もちろん、それは嘘だが……


「な、なんやねん。そないギラついた目で見おってからに…」

美佳心チンが胸元を抑えながら、ちょっとだけ嫌そうな顔で俺から少し離れる。


「し、しょーがないじゃん。そーゆー年頃なんだし……」

何しろ、俺様も思春期なのだ。

春を思う年頃なのだ。

これはもう仕方ないね。


「ア、アホか。まったく、いきなり真顔でそないな事言うか?ちょっと誉めたらこれや……これだから洸一クンは」


「……ま、それはともかく、僕はオッパイが欲ちぃんでちゅぅぅぅ」

思わず自然に、指がワキワキ動いてしまう。

それを見て、美佳心チンが露骨に眉を潜めた。


「な、なんやねん。そないに野獣みたいな顔しおってからに……なんや、いつもの洸一クンと違うて、えらい興奮しとるやないけ」


「それは認めようッ!」

俺は大きく頷いた。

そして少し困った顔で、

「な、なんちゅうかよぅ……居候ゆえの禁欲生活の反動と言うかねぇ……なんか試合で心身ともに全力を出したら、余計にモヤモヤしたモノが溜まってしまったんだよぅ」

生死の境を彷徨う様な戦いだったから、本能的に生殖機能が活発になったのかな?


「……普通、そーゆーのはスポーツで発散するモンなんやけどな」


「その辺が俺様の偉大な所だな。と言うわけで美佳心チン、御褒美を。今すぐにオッパイを触らないと、僕ちゃん大猿に変身して愛する地球を破壊してしまうかもしれんっ!!」


「そ、そか。せやけどなぁ……」


「ンだよぅ……よもや六甲の赤い稲妻と呼ばれた美佳心チンが、約束を違えると言うのか?」

もしそうなら、俺はもう二度と人を信じないぞ。


「くっ……しゃーないなぁ」

美佳心チンは苦虫を噛み潰したかのような顔で、手にした取り皿をテーブルの上に置き、キッと俺を睨み付けた。

そして少しだけ頬を赤らめ、

「約束やから、触らせたるわ。せやけど、揉んだりしたら……簀巻きにして道頓堀へ沈めるで。ええな?」


「OKOK、吸ったり舐めたり噛んだりはしないよぅ」


「ア、アホかッ!!そないな事してみぃ……自分、生まれたことを後悔するで、ホンマ」


「分かってるよぅ。……うひひひ」


「い、卑らしい笑い方しおってからに……で、どこで触るねん?まさか、ここやないやろな?」

と、美佳心チンが辺りを見渡す。

周りは俺の友達や梅女の生徒達で和気藹々としていた。

さすがの俺様とて、ここでそんな事をする程チャレンジャーではない。

幾らオッパイの為とは言え、命に関わって来るではないか。


「そうだなぁ……あ、あそこで良いじゃないか?」

俺はテラスへ通ずる大きな窓を指差した。

「あそこの大きなカーテンの後ろなら、誰にも分からないぞよ」


「……洸一クンって、結構大胆な所があるっちゅうか……」


でぇーい、何をゴチャゴチャと……

「い、良いから良いから……」

何が良いのかサッパリだが、俺は美佳心チンの手を掴むと、そのまま引き摺る様にして強引にカーテンの後ろの狭い空間に連れ込んだ。


「す、少し……暑苦しいやないけ」

と、美佳心チン。

確かに思ったよりも狭く、互いの体温すら伝わるぐらい、俺達は密着している。

カーテンの布一枚隔てた向こうには皆がいると言うのに……何だか、場合によってはこのまま行く所まで行ってしまうような雰囲気すら感じるではないか。

ま、何処へ行くのか分からんが。

「ぐぅふっふっふっ……さて美佳心チン。その大きなおっぱいを、触らせてくれぃぃぃ」


「さ、最低やアンタ……」


「何を言うかっ!?俺は美佳心チンのオッパイだからこそ、触りたいのだぞよ?」

ちなみに、嘘である。

今の俺なら、下手すりゃ牛の乳でもOKかもしれん。


「うっ……変なこと、言うなや」

美佳心チンが顔を背けた。


うぅ~む、可愛いではないか。

普段、愛想が無い分、偶に見せる照れた仕草は、実にドキドキする。

「で、では美佳心。そろそろ……エエかにゃ?」


「ち、ちょっと待ちーや、洸一くんや。……触るっちゅーても、何回触る気やん?」


「え?それはまぁ……俺の気が済むまでか、もしくは美佳心チンが感じるまで……ふふふ」

言った瞬間、ドスンッ!!と腹部に強烈な衝撃を受けた。


「アホかっ!!ったく、このサルは……」


「あぅぅぅ……ポンポンが痛いよぅ。拳がめり込んでるよぅ」

僕チン、試合でボコボコにされたのにぃ……

食った物が、少しだけ戻ってしまったではないか。


「うっさい。言うとくけどな洸一クン。触るのは一回だけやで」


「そんな横暴なっ!?」

俺は仰け反った。

「一回だけなんて……それなら普段でも何気に出来るじゃんかよぅ」


「何気にすなっ!!」


「せめて10回!!頼むよぅ……頑張った御褒美じゃんかよぅ」


「な、情けない顔しおってからに……」


「あぅぅぅ……だったら5回!!これ以上は俺様も、勉強は出来ん!!赤字覚悟だっ!!」


「な、何を言うてるんや?」

美佳心チンは額に手を当て、ヤレヤレと溜息を吐いた。

そして暫くの沈黙の後、

「はぁぁ~……しゃーないなぁ。変な約束した、ウチが悪いんやし……」


「では5回と言うことで……良いかにゃ?」


「す、好きにしーや」

言って美佳心チンは、後ろで手を組み、少しだけ胸を反らしながら『さっさと触れ』と言わんばかりにソッポを向いてしまった。


「では、契約成立と言うことで……」

うぅ~む、さすがに興奮、と言うか緊張しますねぇ……

「……」


「……」


「……」


「……な、なんや?さっさとしーや」


「……へ?あ、あれ?良いのか?俺が脱がしても?」


「は?脱がすって……」


「制服に決まってるじゃんかよぅ」


「はぁぁ?」

美佳心チンの瞳が、メガネの奥で大きく見開かれた。

そして馬鹿を見るような顔つきで、

「ア、アンタ……もしかして直で触る気やったんか?」


「当たり前だろ?俺は制服を触りたいんじゃなくて、おっぱいを触りたいんだ。制服の上からで満足するほど、俺様はヘナチョコな男じゃないぜ!!」

何しろ新人王だからなッ!!


「な、何を言うてるんや、このアホは……」


「と言うわけで美佳心チン。ズズィッと制服を上にずらし、ブラを取ってくれぃ」

そして俺は、じっくりと愛でてみるのだ。



俺は美佳心チンに、制服を脱いでと要求。

それに対して我らが委員長様は、

「アンタ……ホンマに殺すで?」

殺意を露にした。


「な、なんでだよぅ……おっぱいを触っても良いって言ったじゃんかよぅ。JAROに訴えるぞよ」


「あ、あんなぁ……そんなモン、普通は制服の上からやと思うやろーが!!」


「見解の違いですなっ!!そもそも俺は、普通じゃねぇーし」


「……確かに、その通りや。アンタ、まともやあらへん」


「と言うわけで美佳心ちゃん。僕は生おっぱいが欲ちぃよぅ」


「マ、マジな目をしおってからに……」

美佳心チンが少しだけ後ずさりした。

「だ、だいたいや、男の前で胸を曝け出すなんて……そない恥ずかしいこと、ウチは出来へん」


「俺は女の子の前で裸になっても平気だぞ?」

むしろ心地良いとさえ感じる。

摩訶不思議だ。


「アンタはそーゆー病気やからエエんや」


……どんな病気だ?


「そ、そもそもや、胸を見せるとか触らせるっちゅーのは、好き合うてる者同士や付き合ってる者同士がやる事で……」


「……美佳心チン、俺とキスした仲じゃんかよぅ」


「あれは不可抗力やろーがっ!?」


ぬぅ……あーでもない、こーでもないと……

やはり、直接触るのには抵抗があるみたいだな。

かと言って、既に高まりつつ俺様のリビドーと愚息の為にも、ここで引くわけには行かねぇーし……

「……良し。だったら美佳心チン。こうしようではないか」


「な、なんや?」


「二者択一だ。つまり、おっぱいを見せてくれれば、僕ちゃんは何もしない。ただ見るだけで良い。逆におっぱいを見せてくれない場合は、制服の上から触るだけじゃなく、揉む。揉みしだく!!さぁ美佳心チン……どっち!!」


「どっちも嫌や」


「それじゃ話が続かないでしょっ!?」


「せ、せやけどなぁ……」


「あぅぅ……クラス委員長ともあろうお人が、約束を守ってくれないよぅ。こうなったらもう、俺は無差別乳揉み魔として、全国の女子高生を恐怖のどん底に落とし、いつしか都市伝説として語り継がれる男になってやるぅぅぅ」


「あ、あんなぁ……って、アンタなら本当にやりそうで怖いわ」


「……美佳心」

俺は不意に真面目な顔になると、彼女の肩を掴み、ジッとその瞳を見つめた。

「正直な話……俺のことが嫌いか?」


「……へ?」

美佳心チンのメガネの奥の瞳が大きく見開かれ、何度も瞬いた。


「もし嫌いだったら、ちゃんと言ってくれぃ。俺は約束だからと言って、嫌っている女の子に対して、無茶なことはしない」

ちなみに、大嘘である。

俺は一度やると決めたら、どことんやる主義なのだ。


「こ、洸一君……」


「美佳心……どっちだ?」


「べ、別に……嫌いってワケ……あらへん」

美佳心チンは俯いてしまった。

そして蚊の鳴くような声で、

「そもそも嫌いやったら、応援になんか行かへんし……」


「じゃあ……見ても良い?」

俺は優しく尋ねた。

我ながら、迫真の演技だ。


「……こ、こないな所で見せるのは……ちょっと……」


「と言うことは、揉んでも良いんだね?」


「……し、しゃーないなぁ」


良しっ!!言質を取りました!!

俺は心の中で大きくガッツポーズ。

いやぁ~……偶には強引に、言ってみるモンだなぁ……

生おっぱいが観覧出来ないのは、ちと残念だけど……

それでも、制服の上からおっぱいをモミモミと揉めちゃうんだぜ?

良く考えたら、これは凄い事ですよ旦那ぁ。


「そ、そっか……ありがとう」

俺は、ともすれば「うひひひ…」と笑いそうになるのを顔面筋肉を総動員して必死で堪え、美佳心チンの肩からそっと手を退けた。

自然と口の中に唾が溜まり、下腹部の将軍様も既に半分ぐらい目覚めている。

ふふぅ、焦るなよ将軍。

ってか、今日はオッパイだけだ。

君の出番は無い。

だが、いつか必ず……


俺はゴクリと大きく唾を飲み込み、

「で、では早速……揉ませていただきますデス」

俺はゆっくりと手を伸ばした。

緊張で、指先がプルプルと震えている。

み、美佳心チンのパイパイは……ど、どんなんじゃろう?

柔らかいのか?それとも固めか?はたまたシコリでも合ったら病院での検査をお勧めするぞ。

そんな事を思考の片隅で思いながら、俺の指はあと数ミリで委員長様のおっぱいへランデブー。

だが、

「……師匠」

いきなり背後から響く幼い声。

慌てて振り返ると、カーテンの隙間からチョコンと顔を出しているみなもチャンの姿がそこにはあったのだった。



「み、みなもちゃん……」

俺は慌てて手を引っ込めた。

な、何故ここに??


梅女の新人王であり、ロリな兄さんが喜びそうな体型をしているみなもチャンは、ククッと小首を傾げながら、

「……かくれんぼ?」

と尋ねてくる。


「え?あぁ……うんッ、その通り!!実は美佳心チンと隠れんぼを……って、いねぇーーーっ!?」

見ると何時の間にか、美佳心チンの姿は掻き消えていた。

くっ……に、逃げられた……

後少しでパイパイタッチと言うのに……なぜ逃げる?

みなもチャンに見られたって、別に良いじゃねぇーか……

むしろ見せてやっても良いじゃないかぁ……

俺様ちょいと身悶え。

この行き場を失ったリビドーを、どうしたら良いと言うのだ?


「……師匠?何か……辛そうな顔」


「み、みなもチャン……」

何故か分からんが、ゴクリと俺は唾を飲み込んだ。

ぬぅ…

みなもチャン、小さいけど柔らかそうなパイパイを……

「って、いかーーーーーーーーんっ!!」


「???」


ハァハァ……お、落ち着け洸一ッ!!

みなもチャンに手を出したら、それこそ破滅だ。

ロリータ洸一と皆から蔑まれ、石をぶつけられるかもしれん!!


俺はカーテンの裏から這い出て、先ずは大きく深呼吸。

それを何度も繰り返し、気持ちを落ち着かせる。

ぐぬぅ……

猛烈に性欲が高まっている。

おっぱい据え膳がトンズラこいたので、余計に性欲ゲージが急上昇中。

自分で言うのも何だが、今の俺はいつもの俺様ではない。

まさに野獣一歩手前と言ったところだ。

その内、プチッと何か切れる音ともに、誰かを押し倒してしまうかもしれんっ!!


「師匠……」

みなもチャンが俺の服の裾を引っ張る。


「だ、大丈夫だぜ……みなもチャン」

普通、あれだけハードな試合をした後は、心身ともに疲労困憊でチ○コのチの字も大きくならないと言うのに……

力を消費したのに力が漲るとは、これ如何に?

ってか、既に前屈みで御座るよ洸一チン。

うぅ~む……しかし何故だ?

何故にこうも、異常に性欲が高まっている?

これはもしかして、俺様を貶める誰かの陰謀か?

と、それよりもだ、兎にも角この熱きリビドーを冷却せねば、ヤバイ状況を招いてしまう恐れがある。


「くっ……致し方なし。色々ある御褒美は、後回しだぜ」

俺は呟いた。

トリプルナックルや姫乃ッチにまどかさんのキス……

うむ、今の状態では、非常にマズイ。

キスなんかしたら、理性が成層圏を突き抜け月にまで飛んで行ってしまいそうだ。

「と、ともかく……非常に情けない話ではあるが……出すモンは出そう。そして賢者となろう」

何を出すかは青春の秘密として、とにかく今はスッキリと気持ちを切り替えるべきなのだ。


と言う事で、俺は前屈み状態のまま、そろりそろりとホールを抜け出しておトイレへ行こうとしたのだが、

「コ~イチ~♪」

片目隠しヘアーの智香が、いきなり抱き着いて来たのだった。



「コ~イチ~♪」

と、いきなり抱き着いてくる智香の馬鹿に、俺は、

「ひぃぃぃっ!?」

と情けない声を上げ、まるで驚いた海老のように体をくの字に曲げながら後ろへひとっ飛び。


「なによぅ…」

智香はムゥゥ~と、俺を睨み付けた。

その頬はほんのりと桜色に染まっており、心なしか目も据わっている。

あまつさえ、足元もかなりフラフラとしていた。


「ンだよぅ……酔ってるのか智香?」


「お祝いの席だから、別に良いのッ」

智香はそう言うと、独りケラケラと笑い出した。

うむ、見ていて嫌になるぐらい、酔っ払っているであります。


「コ~イチ~♪」


「だから何だよ……今の俺様はちと忙しいんだよ。酔っ払いに付き合ってる暇は無ぇーから、俺は行くぞ」

と、踵を返して前屈みのままおトイレへ行こうとするが、

「待ってよぅ」

智香の馬鹿は、俺の制服の裾を掴んで離さない。

あまつさえ、

「優勝の御褒美、欲しくないの?」

魅惑のお言葉。

俺の体は自然に180度回転した。


「ご、ご褒美?」


「そーよ」

フラフラしながら、智香は赤い顔で頷いた。

そしてどこか焦点の定まらない瞳で、

「コーイチが優勝したら、この智香ちゃんのお尻を触らせてあげるって言ったでしょ?……ヒック」


「ぬ、ぬぅ……」

下腹部の魔神が、更に暴れ出した。

ち、智香のお尻……

生唾が、牛かッ!?と言うぐらい咥内に溜まる。

俺の視線は、制服のスカートからスラリと伸びた智香の白い足、特に太股辺りに集中していた。

くっ……馬鹿の癖に、艶かしい体をしてやがるぜ……


「なによぅ。イヤらしい目で見ないでよぅ」

智香は笑いながら、体をくねらせた。

その動きが、実にまぁ……妖艶というか何と言うか……


「……はっ!?」

い、いかんいかんっ!!

頭をフルフルと振る俺。

このままでは、ただでさえ少なくなっている理性が音を立てて消えてしまう。

今は先ず、おトイレへ行き、理性復活の儀式(具体的には秘密)をする事が最優先事項だ。

さもないと俺は……とんでもない事をしてしまうかもしれんっ!!

自分の事だから、良く分かるのだ。

「ち、智香……悪ぃが、ご褒美は後でいただくぜ」


「はぁ?なんでよぅ……この智香ちゃんの大サービスを受け取れないって言うのッ」


「いや、だからそれは後で……取り敢えず賢者にジョブチェンジしてからって事で」


「う゛~……コーイチの分際でぇぇぇ」

智香はクネクネと、不気味に体をくねらせた。

そして何か思い付いたのか、うひひひ……と独り笑い出すと、おもむろに自分の短いスカートに指を掛け、

「えいっ♪」

と軽やかにそれを持ち上げる。


「んあぁぁっ!?」

目から火花が飛び散った。

酔っ払った智香は何の臆面もなく、少しだが、自らスカートを持ち上げたのだ。

白い肌に、意外に肉置き豊かなヒップ。

そしてそれを包み込む、小生意気なデザインの桃色カラーの下着。

それら全ては、俺の残された理性を破壊するには、充分過ぎる程であった。

「ま、またか貴様……ボーリングの時といい……この馬鹿野郎が……」


「う~~……コーイチのエッチィィィ」

ケタケタ笑いながら、智香は更にお尻をエイッと突き出す。

瞬間、脳内でプチッと軽やかな音と共に、鋼鉄かと言われた俺様の理性が、音を立てて弾け飛んだ。


「む……むぉぉぉぉぉうッ!!」

も、もう辛抱堪らん!!

尻を触ってやる。

いや、撫でてやる!!

いやいや、撫でるだけじゃねぇ……邪魔なパンティーを下ろして、直に頬擦りして、それからそれから……

「わわわわわ、わぉーーーーーーーーん!!」

と俺様は獣じみた咆哮を上げ、智香に襲い掛かろうとするが……

その刹那、ガシッと喉首を誰かに掴れ、そのままグイッと持ち上げられた。


「アンタ……なにしてんのよぅぅぅ」


「はぅぁッ!?」

その声に、恐怖という名の友を連れ、理性が鮮やかに蘇る。

「ま、まどかしゃん……」

喉首を掴れ持ち上げられたまま、俺はゴクリと唾を飲み込んだ。

俺の体を軽々と宙に浮かせているのは、紛れも無く、神がこの世を破壊するために送り込んだであろう地上最強の生物であった。

しかも運が悪いというか……

まどかは赤ら顔で、「う゛~~」と奇妙な声を発して俺を睨み上げている。

間違い無く、酒気帯び状態。

つまり、言葉が通じ難い、と言う事なのだ。


「洸一……アンタ、何してんのよ!!」

うがーっと吼え、まどかは俺の首を掴んだまま、ブルンブルンと振るう。


く、苦ちぃよぅぅぅ……

「い、いや、別に俺は何も……」


「嘘おっしゃいっ!!」

まどかは酔って少し甲高くなった声で叫んだ。

「アンタが何を考えているか、目を見れば分かるのよ!!」


「う、嘘じゃねぇーです」

洸一チン、ちと涙目。

「僕ちゃん、おトイレへ行こうとしただけですぅぅぅ」


「う゛~~……ホント?」


「本当の本当ですぅぅぅ」

ま、少し嘘だが……


「エッチなこと……考えてない?」


「考えてないですぅぅぅ」

物凄く嘘だが……


「本当に?」


「イ、イエェス!!僕ちゃん、嘘は吐かないデースッ!!」

い、いかん……頚動脈が圧迫され、意識が少し朦朧としてきた……


「う゛~~……だったら許してやるか……」

と、まどかは首を締め上げていた手を緩めようとするが、

「……」


「……?」

な、なんだ?

僕ちゃん、苦しいから早く首を離して欲しいんじゃが……

まどかは固まっていた。

ジッと、据わった目で一点を凝視している。

な、何を見てるんじゃろう……

と、綾香の視線を追うように、俺は瞳を動かし、

「ぐげぇぇっ!?」

思わず、車に轢かれたカエルのような声を上げてしまった。

まどかの視線の先は、俺様の超プライベートポイントだった。

しかもあろう事か、ズボンを突き破るぐらい、巨大で見事な二等辺三角形を形成している。

下腹部におわす将軍様は、何故か益々意気盛んなのだ。


「……」


「……こ、これは……違うんですよ、まどかさん?」

ちなみに何が違うのか俺にも分からない。


「こ…」


「だから……なんちゅうか、この場所は治外法権でしてね。僕の干渉は及ばない特殊な地域というか……」


「こ、この…」


「お、落ち着け。その……これは男の生理現象の一つと言うか愚息の反抗期と言うか……若さゆえの過ち?」


「こ……この、大馬鹿者ーーーーーーッ!!」

まどか絶叫。

そして俺の首を掴んだまま軽やかに助走し、て槍投げの要領で放り投げる。


「ぬぉうっ!?」

ガシャーンと窓を突き破り、洸一肉弾ミサイルは夜の空へと舞い上がった。

あぁ……今夜も月が綺麗だにゃあ……


新人王を獲ったこの日、俺は夏の星座の一つになった。

とほほほ……何でいつもこんな目に遭うのかなぁ……







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