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03 美少女お嬢様のペットにされちゃいました

出てきたのは、エレナの父カロルだ


「パパ、怒らないでよっ!レンは優しい人なのに」


「エレナ、騙されるんじゃない。これがまた敵だったらどうする?!」


しかし、カロルの言っている事は確かだった

この様子じゃエレナが俺みたいな奴に殺されるのは時間の問題だろう


「で、でも…レン、悪い人なの?」


不安気に俺を見つめる


「いや、悪い人じゃないよ。…カロル様、改めまして私、レンと申します。この度はご迷惑をおかけし申し訳ございません」


「ふむ」


ここからカロルの心を動かさなければならない

そうだ…俺は、どうやって執事になれたんだ?


「…カロル様、鶏肉のステーキお好きですか?」


そう、鶏肉のステーキはカロルの大好物であり、俺の得意料理でもある


「鶏肉のステーキだと?ああ、大好物だ!しかしそれがどうしたというんだ」


「今から、頰がとろけるほど美味しい世界一の鶏肉のステーキを作ろうと思いますので、ぜひご馳走になられてはいかがでしょうか?」


「頰がとろける、だと?ふむ…毒が入らぬよう監視しておくが、ぜひ食べてみようじゃないか」


きたっ!


俺は懐かしい厨房に入ると、手慣れた手つきで鶏肉のステーキを作った


「どうぞ」


カロルはまじまじと鶏肉のステーキを見つめ、慎重にナイフを通す

その顔は険しくなり、何も言わない


失敗した?


するとカロルは立ち上がり、テーブルを押し倒し凄い形相で俺に向かってくる


殺される…


死を理解した


「レン、お前は神なのか?!」


「…え?」


カロルは俺の胸ぐら掴んでいながらも、まるで天国かといったような表情で俺を振り回す


「こんなに美味い鶏肉のステーキは初めてだ!ぜひ執事になって毎日これを作ってもらいたい」


「本当ですか?!」


「あぁ本当だ!マジ、マジだ!」


意気投合した俺とカロルは、その晩ずっと話を進めた


転生1日目にして屋敷の高級ベッドで眠る奴なんて俺だけだろう

明日には俺は執事、また可愛い可愛いエレナとのラブラブ生活が始まるのだ

しかも、イケメンになって!

エレナも嬉しくて仕方がないだろうな


そんな事を考えながら眠りについた翌朝



「はぁ?(カア)」



俺は、カラスに戻っていた!


嘘だ嘘だ嘘だ!


俺はさっきまで、イケメン男だったのに!


なんとか布団という雪崩から抜け出すと、ドアが開けられないことに気づく

窓はしっかり閉ざされている


閉じ込められた…


カラスになって、手の有難さを噛みしめる


「レン〜…」


するとドアの向こうから可愛いエレナの声が聞こえてきた

寝癖のついたサラサラの白髪に、うとうとした可愛い顔を思い出すと、今すぐ抱きしめたくなる


転生する前、男の部屋に入る時は必ずノックしろと教えた事は忘れていないようだ


ガチャリ…


「レン〜、ぉはよ…ってあれぇ?」


あ、あっぶねぇー!


俺、カラスだった!


神レベルの瞬発力でベッドの下に隠れるとすぐ前には、エレナの細い足首が見えた


きっと、もうちょっと身を乗り出して真上を見たら素晴らしい光景が見られるんだろう…


「レン、どこいっちゃったの〜?お腹空いたよお」


エレナのお腹が「きゅるる…」と鳴るのがわかる

さすがに12の少女をお腹が空いたままにさせるのは可哀想だが、カラスの俺にとっては自分を哀れむことだけで精一杯だ


「もお、レンなんて知らないっ!」


ちょっ、ちょっと待てええ!


あっぶねえ…ドアが閉まる寸前になんとか抜け出せた


が、


「きゃあああっ?!」


見事にエレナに見つかってしまった!


すると俺の尾が焦げ臭くなるのがわかる


エレナは俺目がけて指から魔法を放っていた!


すぐ後ろで「ドスッドスッ」と鋭い魔法の光線が床に突き刺さる


間一髪で避けると、とうとうシャンデリアの天辺まで追い詰められた


ああ、俺は、大好きな可愛い可愛いエレナの自らの手によって殺されるんだ


死を覚悟した


その時だった、


「はいはいエレナ様、そこまでですよ」


現れたのは、同じ執事のタイチだ!


ナイス、タイチ!


「あっ…タイチ君」


エレナは少しもどかしそうな表情をしながらも、俺に向けられた指を下ろす


「エレナ様、カラスという生き物はですね、シルビア家では愛され続けた"相棒"なんです」


「あいぼう?」


「そうです。シルビア家ではカラスを神聖な生き物とし、その肩にカラスを乗せて、日々旅をしたと言われています」


なんだそれ、知らなかった


同じ執事としてシルビア家に知識のあるタイチに感心する


「へーぇ…」


俺を終始見つめると、エレナは朝食を食べ始めた


それは夜に作った鶏肉のステーキをアレンジしたものだ


あの鶏肉がカラスのものじゃないとわかっていても、少しグロイと思ってしまう


俺は昨日、同じ鳥を"共食い"してたのか…


タイチなんかに作ってもらうより、俺に作ってもらった方が美味しいのに


ん?


目の前でカチャリと音がした


俺は、鳥カゴに入れられてしまった!

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