表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この恋は愛へと繋がっている  作者: 叶山 慶太郎
2/14

報告

「へー及川と付き合うことになったのか」


「まぁな」


告白のあった翌日、沢田陽斗は昼休みの食堂で定食を頬張りつつ腐れ縁の吉田圭助と言葉を交わしていた。因みに圭介はラーメンを食している。


「でもなんかお前に冷たくなかったっけ」


「それはまぁ、なんつうか誤解だった」


(・・・誤解?)


「にしても及川か、なかなか美人だよな」


頬杖をつきながら圭助が語る。


「いや別に見た目で決めた訳じゃないぞ?」


「ほーじゃあなにで決めたの?」


「それは・・・・いや、まあ、直感かな」


「は?なんだそりゃ」


「その、なんかうまくやっていけそうかなあと」


先ほどからどうにも煮え切らない態度だったが圭助は一先ず流すことにした。


「ふ~ん。ま、お前がそれでいいんならいいんだけど。そういや、飯は一緒に食わねえの?弁当?」


「ああ、弁当らしい。そんで友達と食べるんだと」


この学校、朝日高等学校では強制というわけではないが、食堂のスペースの確保のため弁当持参の者は教室で食べることになっている。校舎は狭くはないが、県立なので私立や国立ほど広くはないのだ。


「へー・・・そういや、もう大丈夫なのか?」


さっきとはうってかわって圭介は心配そうな面持ちで陽斗に問う。


「なんのことだ?」


「女性に対してだよ」


その言葉に陽斗の顔がうっすらと曇る。だがそれは僅かな間で、すぐに表情が戻った。


「大丈夫だ。それもう何年も前の話だろ?」


「・・・そっか、そりゃあよかった」


圭介にはわかった。陽斗がまだ引きずっているのだと。


圭介は言葉を続ける。


「ついでに聞くけどあいつらのことは言ったの?」


「あいつら?・・・ああ、まだ言ってない」


「言わないつもりか?」


「いや、いつかは言わなきゃなと思ってる。けどタイミングがよくわからないんだよな。それに、いろいろ話さなきゃいけなくなるからさ」


また、一瞬陽斗の表情が曇った。


「・・・ま、なんかあったら相談しろよ」


圭介の言葉に陽斗は目を見開く。

そして微かな笑みを浮かべて


「ああ、そうさせてもらう」


「おう、頼りにしときな!」


そう言って圭介は頬杖をついたままラーメンをすする。


「おい、行儀わるいぞ」


陽斗が注意する。


「ごめんなさい、お父さん」


悪びれる様子もなくニヒッと笑って言って頬杖をなおした圭助に陽斗は


「お前みたいな息子は知らねぇよ」


そう言って二人は笑いあった。








「へー付き合うことになったんだ。おめでとう!」


「あ、ありがとう」


「まさか、本当に告白するとはね~」


「綾が言ったんでしょ!?また同じクラスになれたら告白しちゃえって!」


「そうだっけ?」


及川明里は小野田綾子と2-5の教室で昼食の弁当を食べていた。この高校には1クラス40人でそれが1学年に6クラスある。2年から文系、理系に別れ、2-1~3は文系、2-4~6は理系である。つまり、二人は理系ということになる。ちなみに陽斗と圭助も理系で同じクラスだ。二人は出席番号により席が前後で、今は机を向かい合わせている。1年のときも前後で、それがきっかけで仲良くなったのだ。


「ま、いいじゃない。付き合えたんだから」


「それはそうだけど・・・・」


「そういえば~・・・どこが好きなの?」


ニヤニヤしながら綾子が問う。


「え、と、突然なに!?」


それに対して明里は顔を少し赤くする。


「いや~沢田って成績とか運動とかどれも中の上から上の下って感じでいい方ではあるけどあまり目立たないし。友達は普通にいるけど、人気者ってほどではない。優良物件っちや優良物件だけど決定打がないっていうかな~。そうなるとどこに惚れたのか、気になるじゃん?」


「・・・やけに詳しくない?」


「あんたに恋愛相談されてから、さりげなくこっそり調べたのよ。安心しなさい。狙ったりしてないから」


「べ、別にそういうんじゃ」


「いや~敵を見る目してたよ」


「えっ嘘!?」


「嘘」


「・・・」


明里はいろいろと恥ずかしくなり、顔を真っ赤にした。


(本当明里ってかわいいわ~)


明里をからかうのは綾子の趣味である。


「で、話戻すけど、どこに惚れたの?」


「・・・・別に言う義理なんてな「相談のってあげたのは誰でしたっけ?」


「う・・・」


「ほらほら、言いなさいよ」


「・・・・目、かな」


明里は顔を赤くしたまま、観念したように言った。


「目?」


「なんていうか、とても温かい目をするときがあるの。それを見てから気になりはじめて、目で追いかけるようになった。そしたら話しかけられるととても緊張するようになって、彼の顔を見ると胸が熱くなるようになったの。それで、その、好きなんだなって」


「へ~そうなんだ~」


それを聞い綾子はそう言ってさっきとは比べ物にならないほど下世話じみた笑みをしていた。


「あ~もう!だから、言いたくなかったのに!」


「あはは、ごめん、ごめん。あんた本当かわいいからさ」


「誤魔化さないでよ!」


「いやいや、本当のことよ?・・・・ま、がんばんなさいよ、応援してるから」


(明里がこんなに御執心だとはね、正直おどろいたわ。これなら好きだって気持ちが相手に伝わるだろうし、沢田もきっと明里のこと好きになるわ!こんなにかわいいしね!)


「きゅ、急になによ・・・・まぁがんばるけど。困ったらまた相談してもいい?」


「もちろん!あ、でもノロケは勘弁ね」


「っ!またそうやって!」


「あはは、いいじゃないべっつに~」

実はもうほとんど書き終わってて序盤の話書いたの1年ぐらい前だから読み返して懐かしさを感じた

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ