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第4話

 帝立高等魔術学院に着いたのは、日が暮れる頃だった。


「えっと、まずは正門の所で入学の受付を、済ませてと」


 正門の入学受付所に向かいながら、先程の美少女のことを考える。


(道に迷ってたことを考えると、帝都に来たのは今日だろう。俺と同じ位の年齢のことと貴族らしい風貌を考えると今年入学する学院生と考えるのが自然か。あんな可愛い子と一緒に生活できるだけでも入学する価値があるよなぁ..)


 そんなことを考えているうちに、受付にたどり着いていた。合格通知書を受付のお姉さんに渡して、名乗る。


「ゴタ村から来た、アレンです」

「はい、ゴタ村から来たアレンさんですね。こちらが学生証と学院について基本的なことが書かれた書類になります」


 そう言って一枚の鉄製のプレートと厚い封筒を渡された。少なくとも読むだけで丸一日かかりそうな量だ。


「学生証は財布にもなっているので、無くさないように注意して下さい。」


 これ魔導具だったのか。


「それと学園内では独自の通貨しか使えず、外部の通貨は使えませんので注意して下さい。正門の受付で外部の通貨を預けて、外に出るときに受け取って、学園内に入る時は必ずもう一度預けてください」


 この仕組みは入学時の条件を全員同じにするためってところだろう。


「それじゃあ、コレお願いします」


 そう言って俺は銅貨5枚(5コル)を受付のお姉さんに渡す。


「えっと、嘘をついて外部の通貨を持ち込むと、罰則がありますよ?」


 どうやら、俺が外部の通貨を持ち込もうとしていると誤解されたようだ。やれやれ。


「これが俺の全財産です」


「えっ!、すいません。確かに5コル預かりました」


 そんなあからさまに驚かなくてもいいだろうに。5コルじゃパン1つを買うことすらできないといえ。


「先程言っていた学内独自の通貨ってどうゆう仕組みなんですか?」


「はい、学内独自で使われている通貨をエルツと言います。学生証の左下に数字が書いているでしょう。」


 確かに渡された学生証の左下に20万の数字が書いてある。


「基本的には、入学時に20万エルツ、その後は毎月の1日目に10万ずつ自動で振り込まれます。大体、月々の食費などの生活費は贅沢しなければ3万エルツほどでしょうか。」


 以外と金銭的には余裕がありそうだな。少なくとも、飢えることはなさそうだ。


「月々の支給される分以上に必要とする分には、自分で稼いで下さい。方法については先程の資料を読んでください」


 やはり、人より増やす方法は当然あるのか。俺も稼がないとな。モテたいし。


「それとあなたの部屋はエルキス寮の第27号室となります。ここから左に20分ほど歩いたところにありますよ」


 男子寮って響きがむさ苦しいな。


「それと明日の入学式までに渡された資料を全て読んでおいて下さい。」

「えっ?。コレ800ページぐらいありますよね?」

「はい、847ページあります」

「入学式って明日の9時からですよね?」

「はい。ちなみに現在の時刻は7時です」

「まあ、夜中まで頑張ればどうにかなるか...」

「ちなみにエルキス寮の就寝時間は10時です」

「それではこれを読みきるのは不可能ではないでしょうか?」

「読み切って下さい」

「いや、ですから時間が」

「読み切って下さい」

「分かりました」


 よし、今日は読まないことにしよう。この人押しが以外と強いな。


「これにて、入学手続きは終了となります。帝国に貢献できる人物になれるよう頑張って下さい」。

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