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第1話

 帝国で貴族になるための条件は二つある。


 一つは帝国に大きな貢献をすること。これは、戦で武功を立ててもいいし、魔術研究で大きな発見、発明をしたりするのでもいい。


 もう一つは帝立高等魔術学院を卒業すること。


 二つ目の条件を満たすために俺、アレンはカレジア帝国の帝都オルメロイにある学院まで来たのだ。


 学院に入学する条件は三つ。帝国の臣民であること。入試に合格すること。一定以上の魔力を持っていること。の三つだ。入試はかなりの難しさで合格点ギリギリだったぜ。教師役をやってくれた地元のじいさんには感謝してる。


 まあ、無事合格してこうして故郷の村から帝都へ向かっているわけだけれども。ちなみに帝都までの費用は帝国がだしてくれる。合格の通知と共に帝都までの費用が送られた。


 ♦︎


 帝都に着いたのは昼頃だった。

 正門をくぐると中央通りがあって多くの店が並んでいる。見たこともないほど多くの人々が通りにいて人酔いしそうだ。あと、美人がたくさんいる、嬉しいね。


 昼メシでも食べてから学院に向かうか。


「そこのおっちゃん、そのパンちょうだい」

「あいよ、1個10コルだよ」

「は?、おっちゃん、もう一回言ってくれ」

「聞こえなかったのか?、10コルだよ」

「おっさん、あんたふっかけてんだろ。俺の地元の十倍とか高いってのも限度があるだろ!」

「どこの田舎から来たのかは知らんがここじゃ普通だよ」

「マジかよ」


 物価高すぎるだろう、地元の十倍とか。あっと言う間に金が無くなる。懐が寂しいし、早く学院につかないと夕飯が食えなくなるぞ、これは。


 グゥ〜


 ...


「とりあえず、そのパン2つください」

「あいよ」


 お金は大事にしないとな。手元にあと5コルしかないけど。


 あとは、送られてきた帝都案内地図を見ながら、学院に向かうとしよう。


 ♦︎


「迷った」


 気づくと明らかな貧民街(スラム)っぽいところに来てた。


「これが貧民街(スラム)ってやつか..」


 見るからに治安が悪そうだ。さっさとこんなところでよう。


「ヘヘッ、金目の物置いていきな」


 近くの路地で、見るからにタチの悪そうなゴロツキ三人に囲まれて、そんなことを言われている人がいる。


「お兄ちゃん達と遊ぼうネェ」


 会話から判断するに、囲まれているのは女の子らしい。

 残念だが、助けたりはできないな。俺の得物は護身用の短剣だけだし、見たところしっかり武装している大の男三人に勝てるとは思わない。


 此処は巻き込まれない様に早く立ち去ろう。


「イヤー、離して!」


 女の子が逃げようと抵抗した時に、顔が見えた。茶髪のショートカットで可愛らしい顔をしている。


「フム...」


 コレは助けるしかないんじゃなかろうか。助けたら、女の子が俺に惚れてくれるかもしれないし。


 やっぱり多少不利でも困っている人がいたらたすけないとね。


 こうゆうときに、逃げたりする奴は、本当にクズだよね。


 そんなことを考えながら、俺は短剣を出してゴロツキの方へ駆けて行った。


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