第19話
すいません、またも投稿が遅れました。
週が明けて、ディルマータを持って登校して教室に行くとクラスメイト達からにらまれた。何かしただろうか?
「そりゃお前がアリシア嬢と親しくしてるって話が広まれば、こうなるさ」
「おはよう、ローラン。どうゆうことだ?」
「ほら、お前さんがアリシア嬢と組んで、実技の訓練をやることになったのは、みんな知ってるだろ」
「そうだな」
授業中の出来事でしかも、注目されてたからみんな知っててもおかしくないな。
「さらに、お前とアリシア嬢が放課後、図書室で一緒にいるって話が広まって、悪化したってわけだ」
「なるほど」
そりゃ才能が無く将来性の低い俺と、美人で地位も才能もあっておまけに人当たりの良いアリシアが俺と特別親しくしてれば、気にくわないか。
「てか、図書室はマジなのか?」
「ああ、事実だ」
「マジか!」
そんなことを話していたら担任のマーカス先生が教室に入って来た。
「そろそろ授業始めるぞ〜」
俺とローランは話を切って席に着いた。
まだクラスメイト達の何人かからにらまれている。アリシアの件で陰湿な嫌がらせとかを受けないことを祈ろう。
♦︎
2時間目は実践演習だった。アリシアは用事があるとかで、すいませんと俺に頭を下げてどこかへ行ってしまった。
ちなみにアリシアが俺に頭を下げた様子を見て、クラスメイト達から視線に殺意が混じりだした気がする。
「俺が何かしたわけじゃないんだがな」
ツライつーかコワイ。
「模擬戦とか誰と組むか決めねえと」
適当な相手と組むと、殺されかねん。今だって事故に見せかけて、俺に火球を飛ばしてきたやついるし。
「アレン君よければ僕と組まないか?」
「おお!レイナルド、助かるよ。このままだと、殺されかねんからな、本気で」
「さすがに冗談でしょ、アレン君。今日はよろしくね」
レイナルドはイケメンでなおかつ性格もいいから、モテそうだ。てか、モテてる。だからコイツと組んで、近くにいれば、女子は攻撃してこないだろうし、男子も女子が怖くて攻撃出来まい。
「じゃあ、始めようか」
「そうだな」
俺はそう返して魔剣を構える。今日は炎の剣を使うつもりは無い、初見じゃ無いと効果が薄そうなのでここぞという時しか使うつもりは無い。
「昨日と武器が違うね」
「ああ、さすがに素手だとツライと思って用意したんだ」
レイナルドの武器は刀身に紅い線がはいった長剣で、それを片手で持っている。
「始め!」
前回と同じようにマーカス先生の合図で模擬戦が始まった。
レイナルドは開始と同時に俺の方へ踏み込んできて、剣を振るう。
キン!
「リーチが長いっていいな!」
「まあ、それは諦めてくれ」
ディルマータの長さでは届かない距離からレイナルドは剣を振るってくる。レイナルドの長剣の刀身の紅い線が光りだした。マズイ!
ドン!
俺はレイナルドが強化された筋力で振るわれた長剣をなんとか避ける。長剣は地面にぶつかって穴に作った。
「俺の魔力量が少ないのを知って、魔術をつかうか!」
「ここは、一応魔術学院だから許して、ね!」
そう言ってレイナルドは長剣で突きを放ってくる。
「舐めんな!」
ディルマータに魔力を流して俺も筋力強化の魔術を使う。
ギン、ギン
おお〜、レイナルドと打ちあうことができるぞ。これは嬉しい発見だ。武器の性能って大事だな。
「は?」
レイナルドの手の指輪が緑に光ったと思うとレイナルドの姿が消えていた。
「ごめんね〜」
そう聞こえた直後、後ろに衝撃を感じて俺は倒れ込む。
女子が歓声をあげるのが聞こえる。クソッ、やっぱ実力差は簡単に埋まらんか。俺は何とか立ち上がる。
「大丈夫?」
「大丈夫だ、レイナルド。お前と組まなければもっとひどいことになったと思うし」
そう、レイナルド相手だったからこの程度で済んだのだ。他の連中が相手だとまずかった。もし、他の奴と組んでたら、たぶん今頃、新しい世界に旅立ってた。
♦︎
授業が終わった俺は図書室に来た。なぜかって?もちろん勉強するためさ、アリシアと一緒に。
「では今日は複数の属性を使った魔術についてやりましょうか」
いつものように彼女が教師役、俺が生徒となって、彼女を教えて貰う。
「今日もよろしくお願いします、先生」
「はい!」
彼女が慕われるのが分かるような笑顔で答えてくれる。ああもう、可愛いな。
「複数の属性を使う魔術について説明する前に、マナダイトの性質は知ってますか?」
なんだろう?急に関係のない話題がふられたような気がする。俺の返答はもちろん_
「知りません」
知るわけ無いよね。
「ええっと、マナダイトで術式を書く前にマナダイトに魔力を流して、使いたい魔術の属性に変質させるんです」
知らなかったな。たぶん、レイリーあたりなら知ってるだろうな。最近、魔道具についての知識不足していると感じることが多いな。
「マナダイトに魔力を流す時に複数の属性の魔力を流すとマナダイトは複数の属性をもつようになるんです」
なんか、聞いていると誰にでもできそうな気がする話だな。俺の魔力量じゃ、難しいだろうけどさ。
「マナダイトを変質させるにはかなりの魔力を使いますので、最低でもCランク以上の魔術師でないと厳しいです」
あ、やっぱり。そもそも、誰にでも簡単にできたら魔道具や術式を紙に書いた巻物はもっと安いはずだものなあ。
「マナダイトに複数の属性を持たせるには2種類以上の魔力を均質に流す必要がありますから、魔力をかなり精密にコントロールすることが必要になるわけです」
ここまでの説明で、まだ前段階なんだぜ。話が長くなりそうだな。
「それで、複数の属性をもつ魔術の特性とかは一体...」
「複数の属性を持った術式はそれだけ多くの特性を持ちます。例えば私の場合は発生させた氷に雷を帯びさせることができます。組み合わせによって様々なことができますよ」
そんな感じで、今日も時間が過ぎていった。
♦︎
アリシアと別れた後、寮に向かう途中で学園長に会った。
「学園長、どうしてこんなところに?」
「たまに、学院内を見回っておるんじゃよ」
そうなのか。俺が何かしたわけではなさそうだ。
「面白い剣を持っておるな君、見せてくれんか?」
「あ、はい、どうぞ」
俺は学園長にディルマータを手渡す。
「ふーむ、これはやはり...」
学園長は何かを考え込むようだった。
「あの何か?」
「ああ、いや、何でも無い。これは君に返そう。」
そう言ってディルマータを返される。
「ではの!」
そう言って学園長は去っていった。
「一体、何だったんだ...」
♦︎
貧民街某所にて
1人の男と1人の老人が話していた。
「これで武器の受け渡しは終わりじゃの」
「助かりました。ゼドリック老」
見れば、男の周りには数人の護衛らしき者がいる。
「スパイからの連絡が来ましたので、明日作戦を決行します」
「それは、随分と急なことじゃな」
「ええ、ですが、帝国も馬鹿ではありません。我々に感づいたわけではないでしょうが、警備が厳しくなってきています。このままでは、すぐに見つかってしまうでしょう」
老人がため息を吐く。
「いくら精鋭とはいえたった100人ぽっちのにしかおらんのに焦ってどうするんじゃ」
「分かっています。ですが...」
「お前さんが焦る理由はよく分かっているつもりじゃ。明日は儂も手伝ってやろう」
男の方が声を上げて
「本当ですか⁉︎、是非お願いします。貴方がいれば..」
「分かった、分かったから落ち着けロベルタス。見つかるぞ」
「ハッ!すいません、ゼドリック老」
「それで、襲撃場所は?お前さん達が目的を達成出来るところとなると、候補は限られてくるが...」
「襲うのは高等魔術学院です」
そうして夜が明けてゆく。




