第13話
帝立高等魔術学院の生徒は入学試験に向け大体の一般的な学問を学んでいるので、授業は主に魔術に関するものが多い。
そんな訳で今の授業は魔術理論ってわけだ。ちなみに教師は中年のおばさん。
「...っと、言ったように各属性には主に特徴があります。では、アリシアさん炎、水、風、土属性の特徴を述べてください」
はい、と言ってアリシアが立ち上がる。
「炎属性の特徴は攻撃力が高いことと、消耗が激しいことで、水属性の特徴は燃費が良いが、攻撃力が低いことで、風属性の特徴は魔術の発動が速い反面防御力が低いことで、土属性は反対に魔術の発動までが遅く、防御力が高いです」
「では、リンさん。光、闇属性の特徴を述べてください」
小柄な少女、リン・マクベラードが答える。
「光属性の特徴は回復魔法が使え、防御力も高いのにもかかわらず、目立った短所がないことです。闇属性の特徴は吸収系の魔法が使えることで、発動までが遅いという弱点があります。」
一般的には光属性が最優と呼ばれる。理由は弱点らしい弱点が無いためだ。
「2人ともありがとうございました。今2人が述べたことは、魔術を扱う上で最も重要な基礎の一つなのでよく覚えておきましょう」
キーンコーンカーンコーン
「では本日の授業はここまでとします。」
はーあー、座学は辛いなあ。でも、頑張らねば。
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今日は初日なので、授業が終わるのが早いそうだ。しかし、足りないものを補うためにも勉強せねば。ということで、図書館へ行こう。この学院の図書館って結構でかくて質もいいらしい。
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図書館の入り口で、アリシアに会った。やはり、優等生だな、この子。
「君は同じクラスのええっと...」
「アレンだ。よろしく」
「こちらこそ」
そう言って微笑みながら、こちらに話しかけてくる。俺は、ドキッとしてしまう。初対面の時との反応の差は一体?
「入学式前日にも、お会いしましたね。その時は急いでいたので、あのような態度をとってしまいました。すいません」
いい人だ、この人。
「図書館には、勉強しに?」
「そうそう、魔術に関して不足している部分を補おうと思って」
「私も勉強しに来たのでよろしけば、一緒にどうですか?」
え、マジ。すごく嬉しい誘いだぞコレは。俺の返事はもちろん決まっている。
「じゃあ、お願いします」
「はい」
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「今日は助かった、ありがとう」
「いえいえ、どういたしまして。よろしけば、明日からも一緒にどうですか?」
コレは毎日2人きりで過ごせるという素晴らしい機会では?一応、いつ頃までか聞いておかねば。
「これから毎日図書館にいるの?」
「いえ、委員会やギルドに所属するまでのつもりです」
期間としては短いけど、コレは今日のイヤなことがどうでも良くなるぐらいに嬉しい。
「じゃあ、また明日」
「はい、また明日教室で」
そうして俺はエルキス寮へ向かった。
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夜、部屋でローランたちの適性属性を聞いてみたところ。
「私は、風と水属性だった」
と、レイリー。うわー、すっごくやわそうたな。実戦で早死にしそうだ。
「俺は、土と光属性だな」
光属性といえば回復系だがコイツにかけてもらいたいとは思わん。そもそも、光属性に適性があるからと言って、回復魔術使えると限らんだろうし。
「風と闇属性」
ロリコフの組み合わせはいかにも、隠密系な気がするな。
「覗きとかするなよ」
「幼女以外はしない」
ダメだ、コイツは。
「よし!出来たぞ」
と、レイリーが満面の笑みで巻物を見てる。あれ?コレって。
そんなことを思っていると、風の魔術が発動し、ドアが切り裂かれた。
「またかよ!チキショー!」
今日も寝る前にドアを付け替えねばならないようだ。
何か大事なことを忘れているようでイヤな気がしたが、今は、それどころじゃないな。




