表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

君へ~届かぬ想い~

作者: 夢野花香

 君は寒いのが苦手だったよね。


 寒い冬に一緒に出かけるときには必ず僕の手を握ってくれた。


 室内にいても、寒いと君は僕に抱きついてくる。


 だから僕は、寒い冬が大好きだったんだ。



 

 あの日も、寒い日だった。


 クリスマス・イヴという、町中が光って見えるような夜だった。


 恥ずかしそうにミニスカートを身に纏った君は、何よりも美しかったよ。


 僕の目には、目の前で光輝くイルミネーションよりも君は輝いて見えたんだ。


 寒い、と君はいつも通り僕の腕を絡める。


 僕がどれだけ嬉しかったのかを、君は知らなかっただろう?


 君は笑っていた。


 ずっと、楽しそうに僕に微笑んでいるんだ。


 この幸せを手に入れるのは、簡単とは言えなかった。


 苦労して、沢山の時間を要して手に入れた、貴重な幸せだったのに。


 そんな幸せを、僕は一瞬にして失った。



 信号は青だったよ。


 僕らは何も悪いことなんてしてなかったよ。


 信号は絶対に守らなきゃいけないんだよ、という君の声が今でも頭から離れない。


 君は間違ってなかった。


 悪いのは君じゃなくて、向こうの人なのに。


 どうして信号を無視した向こうの人が助かるのだろう。


 どうして君が犠牲にならなければいけなかったんだろう。



 向こうの人を責めるという感情はなかった。


 そんなことよりも、僕の中には君を失った悲しみしかなかった。


 向こうの人がどんな罪になろうと、僕には関係ないよ。


 僕に必要なのは君以外にないのだから。


 そんな君を失ってしまったんだ。


 僕はどうすればいい?


 こんな不公平な世の中を、君なしで生きていける自信がないよ。



 君さえいてくれればそれで良かった。


 君さえいてくれるのなら、僕から何を取っても構わなかったのに。


 どうして君を奪ったのだろう。


 よりによって、どうして君を・・・・・・?



 君は今頃何をしているのかな。


 今すぐ君に会いたい。


 もう僕には失うものはないから


 僕から何を奪っても良い。


 一分でも、一秒でも構わないから。


 君に会わせてくれ。



 君を失ってから、僕は生きた感じがしないんだよ。


 僕は知ったんだ。


 僕は、君がいたからこそ生きていたのだと。


 君を失った今、僕に生きる意味はないのだと。



 僕はあの日から、寒い冬が大嫌いになってしまった。


 寒い冬に必ず感じられた、君をぬくもりを感じられなくなってしまったから。


 君のぬくもりが恋しいよ。



 だからね。


 君に会いに行こうと思うんだ。


 僕はもう決めたよ、決めたんだ。


 君は、怒るのかな。




 愛してるよ。


 この気持ちが、君に届きますように。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] “僕”に、共感出来ました(>_<) 実際、私は女ですが(笑) 何か、共感☆ 会話とか、入れてみたらどうでしょうか(*^-')b 少しは、雰囲気が変わって別な作品を読んでいる感じがすると思…
2012/02/22 17:56 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ