元日本兵妖怪退治をしたようです
一日に2本出したからいいよな昨日出さなかったこと
里の平和な午後は、突如として破られた。
里の外縁、寺子屋に近い森の境界から、家屋を薙ぎ倒すような轟音と共に、一体の巨躯が姿を現した。
それは、長年の年月を経て強大な妖力を蓄えた「大入道」の類だった。身の丈は優に三メートルを超え、その拳一つで里の防壁を粉砕する破壊力を持っている。
「ガアァァァッ! 臆病な人間どもめ、喰らい尽くしてやる!」
里の自警団が腰を抜かし、逃げ惑う者、立ち向かうも武器が通用しないものがいるなか、一人の少女が悠然と歩み出た。
身長152cm。巨体の大入道から見れば、踏み潰せる虫ケラのような小ささだ。しかし、彼女の殺意が、周囲の空気を凍りつかせた。
「……周辺住民の避難を確認。敵性個体、日本怪異階級……大入道と定義します」
天津川心音は、いつものポーカーフェイスのまま、軍靴の紐をスッと締め直した。
「なんだ、その小さな娘は! 死にたいか!俺が殺してやるよ!」
大入道の巨大な拳が、心音の頭上から振り下ろされる。
ドォォォォォン!!
地面が爆発し、土煙が舞う。自警団が心配し声を上げるが、そこに心音の姿はそこにはなかった。
「……動作、緩慢。筋肉の質、大味、⋯⋯やっぱ雑魚ですね」
大入道の項のすぐ後ろ。跳躍で空中に逃れた心音が、無機質な声で告げた。
身体能力を操作する能力これのおかげで
空中という足場のない空間で、彼女の肉体は物理法則を無視して加速した。
心音は空中で円匙に持ち替え、大入道の後頭部に叩き込んだ。
衝撃が、円匙を介して大入道の脳を揺らす。
「ギ、ガッ……!?」
巨躯が前のめりに倒れ込むが、心音は追撃を緩めない。
着地と同時に、彼女はウェストポーチから創造した「マジックアイテム仕様の特殊徹甲弾」を三八式に装填した。
心音は三八式を構え、わずかコンマ数秒で照準を固定した。大入道が苦し紛れに振り回す腕の、その関節の「隙間」を縫うように、引き金を引き絞る。
パァン!
乾いた乾いた銃声と共に放たれた弾丸は、大入道の膝の皿を正確に撃ち抜いた。
「アギャァァァッ!」
膝をつく巨躯。心音は一〇〇一気に間合いを詰めると、三八式の銃口を相手の眉間に突きつけた。
「……君じゃあ、私には勝てないよ」
心音の声には、怒りも、誇りも、恐怖もない。ただ「処理」を終えた事務的な冷徹さだけがあった。
「ま、待て……! 貴様、何者だ……! その小さな体で、なぜこれほどの……!」
「……ただの守護者。……それだけです」
そのまま引き金を引き始末した
その胸元のネームプレート、「大日本帝國539部隊 天津川心音」の文字が、返り血を一滴も浴びることなく、冷たく輝いている。
妖怪が消滅するのを見届けると、心音は三八式を肩に担ぎ直した。
「……作戦終了。里の被害最小限にできたかなっ。……上白沢さん、お茶の準備をお願いします。少し、お腹が空きました」
ポーカーフェイスのまま、彼女は「一般人」の足取りで寺子屋へと戻っていく。
残されたのは、圧倒的な彼女の後ろ姿を神格化された英雄のように見つめる里の人々だけだった。




