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1話元日本兵の幻想入り

kokoroと聖華が作っています元日本兵が幻想入りしました

1946年日本行方不明者3567人............


博麗神社の境内に、その日、場違いな「音」が響いた。

それは、幻想郷ののどかな鳥のさえずりや、風に揺れる木々の音を切り裂く、鉄鋲を打った軍靴の重い足音だった。

一歩。また一歩。

その足音には、迷いがない。それどころか、地面の硬さを一歩ごとに計測し、周囲の敵対勢力を索敵する「兵器」としての律動が宿っていた。

石段の先に現れたのは、身長一五二センチメートル、体重四十二キログラムという、驚くほど小柄で華奢な少女だった。しかし、彼女の外見的な幼さを、その装備が完全に否定している。

背負っているのは、分厚い布で作られた三十五キロの冬期遠征用背嚢。腰には弾薬袋と水筒、シャベルが整然と組まれ、右手には使い込まれた三八式歩兵銃が握られている。

彼女の名は、天津川心音あまつがわ ここね

かつて大陸の闇、七三一部隊の秘密実験室において、「絶対に勝つための守護者」として改造手術を施された、大日本帝国の「過去の遺産」である。

「……記録。周辺環境、極めて異常。植生、大気密度、および地磁気に既知のデータとの合致なし。……未確認の戦域に迷い込んだと判断します」

心音の声は、感情の起伏が削ぎ落とされた無機質なものだった。彼女の右眼(視力3.1)が、神社の境内に座る一人の巫女を捉えた。

「ちょっと、あんた。何なのその格好。コスプレにしては気合が入りすぎじゃない?」

博麗霊夢は、茶碗を置いて立ち上がった。彼女の直感は、目の前の少女から漂う「死の匂い」に警鐘を鳴らしていた。それは妖怪のそれではない。人間が人間を効率的に殺すために研ぎ澄ませた、冷たい鉄の匂いだ。

「……天津川心音、陸軍強行偵察兵です。貴殿の所属と階級を問い……いえ、失礼しました。ここは、日本の統治下ではないようですね」

心音は右眼で霊夢を、左眼(視力1.4)で周囲の死角を同時に観測する。

「任務の継続は不可能。ですが、この銃と装備は、陛下から賜った私の身体の一部です。……渡すわけにはいきません」

「渡せなんて言ってないわよ。ただ、そんな物騒な棒を持って境内に居座られるのは困るの。幻想郷には幻想郷のルールがあるのよ。……どうしてもやる気なら、弾幕で教えてあげるわ!」

霊夢が御札を指に挟み、空を飛び一気に数十発の光弾を放った。逃げ場のない「弾幕」の雨。

だが、心音は動揺しなかった。彼女はスッと、自らに施された能力――身体能力を操作する能力を解放した。

「……目測20mかっふ〜」

100メートルを12.17秒で駆け抜ける脚力。

心音の姿が、物理的な限界を超えてかき消える。35kgの重装備を背負っているとは到底信じられない速度。霊夢が放った弾幕の隙間を、一ミリの誤差もなく潜り抜けていく。

「速い!?」

「……遅いよ」

「くっ!!」

心音の声が、霊夢の耳元で響いた。

次の瞬間、心音の拳が霊夢の鼻先に迫る。527kgの人外のパンチ力。当たれば人間の頭部など容易く粉砕する破壊の塊。霊夢は死を覚悟した

だが、拳は止まった。

心音は寸前で出力を落とし、ただ指先を霊夢の喉元に添えた。

「押し18kg」。

力を抜いているはずなのに、霊夢はまるで巨大な岩壁に押し付けられたような圧力を感じ、一歩も動けなくなった。

「……君じゃあ、私には勝てないよ」

心音は笑いながら言ったのまま、両手を冬期装備のポケットに突っ込んだ。体を右に、顔を左に向けて、敗北を認めるしかない霊夢を冷たく見下ろす。

その胸元には、彼女自身の手で磨き上げられたネームプレートが鈍く光っていた。

大日本帝國539部隊強行偵察兵 天津川心音

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