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猫神様のペット可物件【完結・猫画像あり】  作者: BIRD


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第86話:再び辺境の街へ

 神の島から遥か東方の国エスト。

 王都サントルの商店街に、荷馬車が並ぶ。


「じゃあ、異空間トンネルを開きますよ~」

「おう、いつでも出られるぜ」


 荷馬車の列の先頭に立ち、俺は片手を上げて呼びかける。

 幌馬車隊のリーダーの返事を聞いて、辺境行きの異空間トンネルを開いた。


 今日は辺境の街セベルに物資を届ける日。

 辺境伯ロティエル様と渡し屋の年間契約をした俺は、サントルからセベルまで幌馬車10台を運ぶ役割を担っていた。


「クルス、ついでにこれを辺境伯様に届けてもらえるか?」


 次々に異空間トンネルを通り抜ける馬車を眺めていると、商店のオヤジが籠盛り卵を差し出してくる。

 大きさはスーパーで売ってる鶏卵M玉と同じくらい。

 卵は1つ1つ色合いが微妙に違っていて、白に近い薄い青やミントブルーの殻に包まれていた。


「綺麗な卵ですね。この辺りで採れるんですか?」

「そうか、クルスはこの国の人じゃないから見るのは初めてか? これはオロオロ鳥の卵だよ」

「オロオロ鳥……。なんか気が弱そうな名前の鳥ですね」

「名前の通りだよ。なにしろ森の中で人と遭遇するとパニックになって逃げ惑う鳥だからな」


 籠盛り卵を異空間倉庫に収納しながら、俺は卵の情報を求めてみた。

 卵の親鳥は、どうやらめちゃくちゃビビリの鳥らしい。

 オラオラ鳥と似た名前なのに、「ラ」が「ロ」になったら一気に弱そうな名前になってるなぁ。


「そういう親鳥なら、卵を採るときに襲われなくていいですね」

「いや~それがな、パニック起こして自分が何してるか分からなくなって突っ込んでくるから案外危ないんだぜ」


 オロオロ鳥、ビビリ過ぎて逆に危ないんかーい!

 この世界に安全に卵を採れる鳥はいないのだろうか?


「それは……明確な攻撃の意思があるオラオラ鳥の方がまだマシな気が……」

「冒険者連中も同じこと言ってたよ」


 苦笑する俺を見て、商店のオヤジも同意するように笑った。



 ◇◆◇◆◇



 エスト北部、辺境の街セベル。

 赤レンガ倉庫街に、幌馬車がズラリと並ぶ。

 搬入を始める人々から離れて、俺はロティエル様の屋敷へ向かった。

 白壁に青い屋根のお城っぽい建物、門の前には衛兵が2人立っている。


「クルスさん、いらっしゃいませ」

「どうぞお入り下さい」


 ここに来るのはまだ2回目なのに、名前を覚えられていて顔パスで通してくれる。

 ミントに似たハーブの香りが漂う前庭を通り抜けて、屋敷の大扉をノックするとすぐに開けてもらえた。


「いらっしゃいませ」

「サロンにお茶とお菓子を御用意しておりますので、どうぞこちらへ」


 屋敷の中に入ると、サロンに直行で案内される。

 サロンに入ると、マカロンぽいのやクッキーぽいのや、美味しそうなスイーツがテーブルに並べられていた。


「待っていたよクルス。せっかくだからティータイムを楽しんでいってくれ」

「ありがとうございます。あ、これロティエル様に渡してほしいと商店のオヤジに頼まれました」

「オロオロ鳥の卵か。ヒビも無く状態の良い品だね」


 預かってきた籠盛り卵を、異空間倉庫から出してテーブルに置く。

 すすめられるままに席に着くと、侍女がお茶を淹れてくれた。

 対面で座るロティエル様は、前回とは違って真紅のドレスを着ている。

 軍服姿も某歌劇団風でかっこいいけど、ドレスを着るとやはり美人だなぁって見惚れてしまう。


「どうした? ボ~ッとこちらを見たりして。……私のドレス姿に魅了されたか?」

「えっ?! は、はい。……前回と印象が違うので……」


 見惚れていたら気付かれてしまった。

 ロティエル様は今回もニコニコしていて楽しそうだ。


「ふふっ、私のドレス姿なんて滅多に見られないぞ。存分に堪能したまえ」

「社交の場とかでドレスは着ないんですか?」

「貴族の集まりなんて面倒だから行かないさ」

「俺は平民なので分からないですけど、貴族の集まりって何するんですか?」

「うーん、そうだねぇ……婚約者探しとか、派閥を組んだりとかかな?」


 美味しいお茶とスイーツを味わいながら聞くロティエル様の話は、ラノベでよくある貴族たちの話と似ていた。

 平民だと結婚せずに子育てするシングルマザーが多いけれど、貴族の場合はそうではないらしい。

 ロティエル様は婚約者探しや派閥を組んだりといったことには興味が無いのかな?



「幌馬車隊を運んでくれてありがとう。また次回も頼んだよ」

「はい。お任せ下さい」


 しばらくゆっくりして、お茶とお菓子をたっぷり御馳走になって、執事さんから報酬を受け取った俺はお屋敷を出た。

 赤レンガ倉庫街へ行くと、幌馬車隊の御者や荷運び作業員たちも休憩を終えて帰り支度をしているところだった。


「じゃあ、開けますよ~」

「おう」


 帰りは既にトンネルがあるので、扉を開けるだけ。

 ゾロゾロと通過していく幌馬車の最後の1台が通過した後、俺は異空間トンネルを閉じようとした。

 俺はサントルに帰る必要は無いから、そのまま自宅へ帰ろうと思ったんだけど。

 ふと、思いついた。

 巣荒らしオスのせいでオラオラ鳥の卵が手に入らないし、サントルの商店街で買って帰ろう。

 俺は馬車が通り過ぎたトンネルをくぐり、サントルの街へ向かった。


挿絵(By みてみん)

挿絵代わりの画像は作者の保護猫たちです。

閲覧やイイネで入る収益は、保護猫たちのために使います。

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