目安に過ぎない?
世の中には明文化された法律とは別に、いろいろなマイルールのようなものも存在します。
そのルールのあるコミュニティーでは、その範囲内で行動すれば問題が起きにくくなるかと思われます。
しかし、現実的には守るのが難しいルールもあるかもしれません。
あまり難しく考えすぎず、できる範囲で守るぐらいがちょうどいいのかも。
とはいえ、『小説家になろう』『小説を読もう!』のサービスの利用者は、そのガイドラインに従う義務があるわけですが……
その森では赤いクサイチゴの実がなっている。
木の根元に小さなタヌキくんと、頭に王冠のようなものを乗せた白いおサルさんがいる。
二人の間にあるお皿には、茶菓子が乗っている。
皿の横には湯気のあがる湯呑も置かれていた。
「んとね。白猿さん。ぼく、一度お昼寝するとなかなか起きられないの。目が覚めてからも、完全に起きられるまで時間がかかるの」
「子狸くんは血圧が低いのかもしれないね」
「そうかも。血圧って、高い方が元気な感じがするけど、高すぎてもダメなんだよね」
「人間の場合は血圧計でmmHgという単位で測定される。上の血圧が140以下で、下の血圧が90以下が理想だ。それをこえると『高血圧』で、病院での受診をおすすめされるな」
「血圧の上とか下ってどういう意味?」
「血液を血管に送り出すポンプの役割を持っているのが心臓だ。心臓から血液が送り出されるときにかかるのが上の血圧。心臓に戻るときのが下の血圧だぜ」
「血圧が高すぎるとどうなるの?」
「脳卒中とか心筋梗塞のリスクが高まるな。血管が固くなってたり、不純物が血管の壁について細くなっているのが原因の場合もある。そうすると血管が破れやすくなったり、つまりやすくなるんだ。目の中の圧力があがると視力にも影響がでるかも」
「高血圧って怖いんだね。っていうか、アホリアSSは大丈夫なの?」
「上が140で下が90っていうのは超えているらしい。でも、病院で検査しても異常がみつからなかったので、高血圧の治療はしてないそうだ。塩分の取りすぎには気を付けてるらしいけどね」
「目安の数字をこえてても、すぐに治療するわけじゃないんだね」
「血圧を下げる薬に頼っちゃうと副作用も失敗だし、逆に不摂生な食生活になるかもな。それに血圧の正常値の考え方も時々変わるようだ。さっきの上が140で下が90ってのも『日本人には厳しすぎるのでは?』という意見もあるんだ。体脂肪率が高い人や肥満体形の人、動脈硬化がある人などは別として、健康な状態でもその数字をこえるのは珍しくないらしい。これを高血圧を呼ぶのはいかがなかものかと」
「んとね。だからといって、正常値の目安を下げちゃうと、本当に高血圧の人が病院にいかなくなるの」
「2024年の4月に人間ドックなどの診断の場合に『高血圧としての受診を促す基準』が変わった。上が160で下が100になったんだ。前の基準が厳しすぎたのかもね」
「え? そうなの?」
「上の血圧は年齢+90までが正常値ではないか、という意見もあるんだ。暴飲暴食をせず健康的な生活を送れていれば、さほど気にすることはないかもな」