6.推しは推せるときに推せ
"リコメンディット・チェエ"様
私の推しです。次期辺境公爵で漆黒の髪に藍色の瞳を持った美男子で、文武両道を極めており、滅多に笑わないクールガイですが、仲間思いで人望も厚く、誠実なお人柄をお持ちです。
学習を卒業してからは、王国主催の夜会などでしかお姿を拝見できておりません。
「私、美形に対していいイメージがありませんでしたが、この方を知ってからは美形でも素晴らしい人間は存在すると思い直しました。」
『まあ、一番身近な美形が性格破綻者でございますから仕方ありませんね。それほどまで、思いがあるのに先程の願い事でよろしいのでございますか』
『例えば、恋人になりたいとか結婚したいとか』
………
『どうかされましたか?』
私は推しを推すうえでルール、マナーは必要不可欠だと思っております。
「推しが本当に結ばれる人を差し置いて、おかしな力で、その座につくなんて笑止千万です!」
「いいですか?推しの幸せが私の幸せなのです。そんな恋人だ、妻だなんておこがましいにも程があります。私は少しの間だけ推しの私生活を覗いて、その思い出を抱いて生きていけるのです。」
私の推し活に文句は言わせません。
鶴はドン引きした様子でしたが、私の願いを了承してくださいました。
3ヶ月間だけ推しの飼い猫になり過ごします。