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プロローグ
私はいつものように一人で森を散策していました。毎日、少しずつ行動範囲を拡大して、今日は泉の方までやってきました。その泉は不思議な水の色をしており、薄い紫のような綺麗な色がついていました。
ここまで来るのに喉が渇いていましたが、この水は飲まない方がいいと思いました。
ぼんやりと泉を眺めていると、バタバタと音が聞こえてきました。何の音かしらと周囲を見渡すと、泉の脇の茂みから白い羽のようなものが動いているのが見えました。私は、その白い羽が見える方向に近付いていくと、1羽の鶴がもがいていました。よく見ると魔獣用の罠にかかってしまっているようでした。
私は急いで鶴の足から罠を外してやりました。鶴は私をじっと見つめると、足を引きずりながら空に飛び立って行きました。