私の知らないアキハバラ
先日、アキハバラを訪れた。
目的は自分が過去に好きだったものを探すためだ。
創作をするにあたり、自分の好きだったものはなんだろうと考えた。
昔好きだったもの。今でも見れば鳥肌のたつようなもの。
私にとってそれに該当する作品はいくつかある。
サクラ大戦、デビルメイクライ、寄生獣なんかがそうだ。
それらの作品のグッズでもないかとアキハバラを訪れた。
気持ちが急いでいたせいか、現地には10時すぎにはついていた。
数か月ぶりに訪れるアキハバラだったが、この街が目覚めるのは遅い。
だいたいの店が開くのは11時から12時くらいだ。
アキハバラは起きるのが遅く、眠るのが早い街なんだなぁとしみじみ思う。
(たいていの店は20時には閉まる。11時に起きて20時に寝る街とはずいぶん健康的だ)
散歩しながらアキハバラを見て回る。昔とは随分と違う。
自分がはじめてアキハバラを訪れたのは今から20年は前になるか。
UDXもなく、まだバスケットコートのあったアキハバラ。
中学生ぐらいに訪れたと思うが、あの頃はメイドカフェも少なく、アニメショップも少なかった。
それから数年して、アキハバラにメイドカフェやアニメショップが多くなった頃、私はアキハバラによく通っていた。
というのも今は知らない人も多いだろうミクシィというSNSのオフ会によく参加していたからだ。
カラオケオフがメインで、その当時は20歳にならないくらい。
周りのオタクの皆さまがアニソンを歌うなか、私はV系の歌をヘドバンしながら絶叫していた記憶が懐かしい。
アキハバラに関する記憶を辿りながらお散歩していると、徐々に店が開きだす。
目的のグッズはないかと数軒の店を渡り歩いたが、結果は惨敗。
サクラ大戦が流行ったのはもう十数年は前だし、デビルメイクライも元がゲームというためにグッズは少ない。
寄生獣にいたっては見る影もなかった。
好きなものが見つけられず、しょんぼりとしながら喫煙所で一服。
近場で働いているであろうサラリーマンたちと共に吸い込む紫煙は苦みが強い。
ならば今度はまだ息のあるものを見つけようと、最近ハマっているVtuberのグッズを探した。
あおぎり高校というVtuberグループが好きなのだが、それらのグッズならあるだろうと、また数軒をはしご。
Vtuberといえばホロライブやにじさんじが強い。
ほとんどの店は上記二点のグッズは多くみられたが、あおぎり高校はなかなかに見当たらない。
なんとか探し出し、アクスタとTシャツは購入できた。
時刻はまだ昼にならないくらい。
購入できたはいいが帰るには早すぎるし、どうしようかと考えた末、私はメイドカフェに行くことにした。
以前は月に数回は通っていたメイドカフェ。
推し文化に触れたことがなかった私は“推し”ってなんだ? “推す”ってなんだ?
という疑問を解消すべく、メイドカフェに通っていた。
もうすでに推していたメイドさんは卒業してしまったが、なんとなーくな推し活は分かった。
推しのいないメイドカフェ。
何度か通っていたのでメイドさんが私の顔を覚えてくれていた。
嬉しいような恥ずかしいような気持ち。
平日だが客入りはそこそこ。若いご主人様お嬢様がメインでおじさんはほぼ私ひとり。
メイドカフェは若い子の文化なんだなぁと思う。
チェキを撮ったり、ライブをしたり。新人のメイドさんが先輩メイドさんに見守られながらメニュー説明したり。
パタパタしているメイドさんたちが、通う人々の癒しになっているのだろうな。
メイドカフェではないが、20代前半の頃、コスプレ居酒屋(今でいえばコンカフェかな?)に通っていたことがある。
当時は“推し”という言葉はなかったが、お気に入りの子目当てで友達とよく通っていた。
あまり思い出したくもない記憶だが、今の子たちでいう“推し”と私はいい関係になったことがある。
詳細は省くが、推しとこんなことがしたい、あんなことがしたいという妄想はほぼ全てやっている自信がある。
私にとっては黒歴史なので、もうこれ以上は語るまい。
その後、何件かメイドカフェを梯子し、最後にいったメイドカフェが17時には店が閉まるというので17時頃までお邪魔していた。
お客さんは私のみ。メイドさんは三人おり、その三人が相手をしてくれた。
なんとも贅沢なものだ。こんなおじさんを若い子が相手をしてくれるなんて。
ましてやオタク知識が浅くタトゥートークや本の話の相手をしてくれたメイドさんたちには感謝だ。
メイドカフェをあとにして、帰路につく。
もう日が落ちてきて街には灯りが輝きだしていた。
一人、駅へと歩いていた。
昔は大人数で歩いたアキハバラ。
昔は友達と歩いたアキハバラ。
昔は思い出したくもない人と歩いたアキハバラ。
街の姿は変わった。
私も変わった。
また数年したら、街も私も変わっているのだろうな。