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補足─設定など─


皇都編「あとがき」に載せた───あるいは載せようと思っていた補足です。


皇都編追章を書き上げた直後に「あとがき」を書いたせいか、書こうと思っていた事柄が、かなり抜けていたので、急遽、こちらにページを作りました。「あとがき」に載せた補足も、加筆修正して載せてあります。


※本編執筆の傍ら、空いた時間で少しずつ書いているので、またもや抜けている事柄や新たに補足したいことが出てきたら、書き足そうと思っています。


***



◎舞台となっている世界について


 まず、大前提として───この世界の人間を含めた生物は魔力を宿しているため、身体能力が高いのは勿論、頑丈な肉体を持っているという設定です。

 そういうわけで、もし登場人物たちが───特に主人公たちが現実離れした動きをしたとしても、そのように解釈してくださると有難いです。


 作中に出て来る鉱物についてですが、こちらも魔素を含んでいるため、構造や硬度など違っていたりします。

 特に銀は、現実では硬度はそこまで高くありませんが───この世界では他の鉱物に比べ魔素を大量に取り込むことができるので、含有量によってはかなり硬度が高くなるという設定です。


 それと、地球でいうところの中世から近代のような街並みですが、成熟した文明が崩壊した後の世界なので、残った技術、概念だけが残って再現された技術、消えてしまって改めて発明された技術、消えたままとなっている技術が混在していて────近代や現代に近いものがあったり、地球では早いうちに発明されていたものがなかったりと、筆者にとって大変都合のいい設定となっております。


 鋏も、古代魔術帝国の崩壊と共に消えた技術の一つです。新たに発明されなかったのは、単にナイフで事足りていたからという設定です。

 うまく売れたのは、サヴァルさんの手腕で────自分のお抱えの工房やアトリエから広めて、徐々に労働者階級にも広めていった感じです。

 アトリエではこれを機に、これまで木製か金属製の型を押し当ててナイフで切り取っていたのを、リゼラのアイデアで“チャコールペンシル”のように“墨果筆”で生地に写すか描いて鋏で切るという工程に替わった───という設定があったりします。これには生地の裁断が狭い場所でもできるようになったというメリットがあります。


 懐中時計は───置時計や柱に埋め込んでいた時計の小型化が進んでいたときに、先代ベイラリオ侯爵が時間など気にしない前時代的な貴族主義を復活させたために、開発が中断されたという経緯です。

 木製のケースしかなかったのは、携帯時計の需要が旅商人や冒険者などのため、低価格であることが求められていたからという背景があります。今も懐中時計を買う余裕がない者は、この木製ケースの時計を使用しています。

 こちらも、うまく売れたのは、サヴァルさんの手腕があってのことです。高級品は男性が身に着ける装身具の一つとして王侯貴族や大商人に売り出し、コストを抑えたものは冒険者や商人だけでなく、官吏や貴族家の使用人にも売り出した───という感じです。

 作中ではさらっと流しましたが、形にするのに結構苦労しています。蓋のないオープンフェイスは分厚く割れにくいながらも、文字盤がはっきりと見える濁りのない透明なガラスを───蓋つきのハンターケースは蓋部分に取り付ける小さめの蝶番やバネを作るのに難航しました。

 しかも、リゼラには、リューズを押したら蓋が開く仕掛けはバネを使っているだろう程度にしか知識がなかったので、かなり試行錯誤を繰り返しました。そのため、最初期に売り出されたものは、留め具で留めただけの代物になっています。


 紅茶については、これも失われた技術の一つで、烏龍茶のような半発酵のお茶はごく一部の地域で飲まれているので、それをサヴァルさん辺りが見つけて扱うようになったら、完全発酵させる紅茶も発明されるんじゃないかな───といった感じです。


 未だ羊皮紙を使用しているのに、娯楽小説や絵本などが存在しているのは、ディルカリダが関係しています。ディルカリダの知識は魔術関連に偏っていたので、印刷する魔道具は創れても、紙を作ることができなかったためです。


 本が希少となっているのは、先代ベイラリオ侯爵が特権階級はあくせく勉強や労働をする必要はないという思想から、読書は由緒ある貴族子女のすることではないと宣ったのを取り巻きたちもこぞって賛同したため────製本工房が軒並み潰れ、残っているのは書類などを製本する工房のみとなっていて、現在、取り扱われている書物はほぼ過去に作られたものばかりだからです。

 当然、製本工房の衰退とともに、小説家や絵本作家といった職業も廃れています。


 それから、“羊皮紙”についてですが、作中では便宜上“羊皮紙”という名称を使っているだけで、魔物の皮で作られています。


 幅広のネクタイを指す“アスコットタイ”も同様で───“アスコット”はイギリスの地名なので追及するとおかしいのですが、“ハンバーグ”などと同じで、ただの名称として捉えていただけると有難いです。

 正直、これに関しては───“アトリエ”に合わせて、ネクタイを指す“クラバット”にしておけばよかったかなと思っているので、いずれ置き換えるかもしれません。


 “ネクタイピン”ではなく“ピンブローチ”なのは───タイだけでなく、準礼服やシャツの詰襟に、直接つけることもあるからです。

 ちなみに、タイは長めになっていてベストに潜り込ませる仕様のため、タイピンで留める必要はなく、装飾するためだけにつけているという設定です。


 服飾関係の工房を“アトリエ”と呼ぶのは、防具関係の工房から派生したため、区別するべく“工房”を意味する別の言葉で表している───という設定になっています。


 食肉については、フィルト王国以外の地域では、魔獣や魔物の肉の方が魔素を含んでいて美味なため、鶏や牛、豚などの肉は食べないと作中でリゼラが語っていますが、正確には市場に出回らないだけです。

 牛乳をとるためには妊娠させなければならず、鶏卵をとり続けるためには牝鶏の数を保ち続けないといけないので、繁殖はさせています。

 不要な家畜の肉は捨てることなく、飼い主や牧場で雇われている従業員が食べて処分します。商人が二束三文で買い取り、貧民街で出回ったりすることもあります。


 冷蔵庫と冷凍庫についてですが、この世界にも魔道具として存在しています。お邸のパントリーにもひんやりする程度ですが、気温を下げる魔道具が仕込まれていました。

 古代魔術帝国仕様となり食材が劣化することがなくなったために、その魔道具は取り除かれたというだけです。


 王侯貴族の使用人の届け出についてですが───皇族の場合、直臣はすべて国に届け出をします。

 貴族の場合は、リゼラの側近ミュリアのような───貴族籍を持ち、身分を問われるような場に連れて行く可能性がある使用人は国に届け出をします。届け出をしておかないと、そういった場に連れて行くことはできません。

 それ以外は、領地持ちの貴族家が年度末に提出する報告書に使用人の総数や経費の計上を載せる程度です。


 貴族家の“家門”と“傘下”に関しては───この国では“家門”とは一つの貴族家ではなく“血族集団”の意味で使っています。主家の血筋が独立して興した分家も含めて“家門”と呼びます。臣下が興した貴族家や、主従の誓いを立て庇護下に置いた貴族家を“傘下”と呼んでいます。

 ノラディス子爵家は、主家であるイルノラド公爵家の血筋を定期的に取り入れているので、“家門”の一つとなります。

 貴族制度については、既存の名称を使っているだけで、特定のモデルはありません。

 ただ、昨今の作品は“寄親・寄子制度”をモデルにしているケースが多いみたいなので、“寄り子”という名称を使った方が判りやすかったかなと、ちょっと思っています。


 皇都郊外に点在する農村については、ルガレドの元侍女であったダムナ視点では、自分の故郷である農村は小さいような記述がありますが、それは自分の故郷の農村と皇都しか知らないダムナの思い込みです。

 皇都郊外の農村は計画的に造られたため、頑丈な石壁に囲まれ、大きさだけなら小さな街ほどあります。

 地方の農村はもっと小さく、丸太などで囲ってはいるものの、魔物が大量に押し寄せれば防ぎようがなく、魔物が忍び込んで畑を荒らされたり、家畜を食い荒らされるのも頻繁なので───それに比べたら、かなり恵まれた環境です。

 ただ、エルダニア王国時代に端を発し数百年を経ていくうちに農村内で貧富の差が生まれ───ダムナの生家は数代前の先祖が農法を改革しようとして失敗し、農地を半分以上失ったために他家よりも貧しくなった───という経緯があります。




◎魔法や魔術、エピソードに関するあれこれ


 “魔導機構”については、幾つもの魔術式を組み合わせた複合魔術式を器に落とし込んだものという設定です。通常の魔力を供給すれば発動する魔術式に、自動的に周囲の魔素を取り込む魔術式や複数の魔術を制御する魔術式などを組み込んだりして───個人では発動できないような魔術を、単独でも扱えるようにしています。

 譬えていうのなら、魔術式は“漫画本”、魔導機構は“テレビアニメ”といった感じです。つまり、魔術式は「自分でページを捲って読み込んで物語を把握する」のに対し、魔導機構は「電源を入れて映った物語を見るだけ」────もっと詳しく言うなら「すべてセッティングされているため、電源ボタンを押すだけで、自分で動力を注ぎ込むことも映像を出力することもない上に、登場人物の声や動き、背景などを想像する必要がない」ということです。

 ちなみに、この譬えでいうなら、リゼラは一人“小説”を読んでいる状態です。つまり、「自分でページを捲って文章を読み込んで、登場人物の人相、声、動作などに加えて、背景となる景色まで自分で細かく想像して、物語を把握する」ことをやってのけています。


 リゼラは【創造】で前世だけでなくこれまで食べた料理を創れますが、毎回手作りしているのは単に性分です。

 ただ、手に入らない食材や香辛料などは、【創造】で賄っています。作る余裕がないときにも、“店屋物”や“ウー●ー”を頼むような感覚で【創造】を利用している───といった感じです。


 シュロムやシェリア───事情を知るロウェルダ公爵家の面々には、ややこしくなるので、“魔術式”と“魔導機構”とは呼ばずに、“魔術陣”と“魔道具”で通しています。ついでに、【創造】などの【技能】やその他【能力】なども“魔術”で一貫しています。


 “氷姫”については、歴代のディルカリド伯爵たちが、“持ち方で魔術の規模が変わる”という単純なことに気づかなかったのは不自然に思うかもしれませんが───彼らが気づかなかったのは、その自尊心の高さと家宝である“氷姫”に対する過大評価が原因です。

 中には、「もしかしたら」と過った者もいましたが、「そんな単純な理由のわけがない」と即座に否定して検証もしなかった───という感じです。

 逆に、長年研究してようやく解き明かせるような原因だったなら、解明されていた可能性が高いです。


 セレナの“体質”を【魔力炉(マナ・リアクター)】で抑えているのではないかというリゼラの推論については、前世で聞きかじった“遺伝子治療”から着想したという設定です。


 皇妃一派の息のかかった門番がルガレドの名を出すと出入りを許可しなかったのは、皇妃たちの単なる嫌がらせです。さすがに、ファルリエム辺境伯が遣わした使者などは通していました。


 “輝く薔薇”については、サヴァルが言い出したとき孤児院にいたラムルがその話を耳に挟み、ルガレドに初期費用の援助を持ちかけました。

 湖畔のピクニックが思惑通りにいかなかったので、新たなお礼を考えていたルガレドが飛びつき、ラムルがラドアを説き伏せたため、リゼラは全く知る由がなかった───といった経緯になります。

 環境を整え、咲くまでに1ヵ月以上かかっています。リゼラが気づかなかったのは、北棟から出入りすることが多く、庭に出ることがなかったからです。

 それに奥まったところに専用の花壇が造られていたため、門から出入りしても目につくことはなかったという感じです。


 下級使用人用食堂をリゼラは昼と夜の計2回利用しているのに、「皇都編第十三章―愚か者たちの戯言―#5」で、『一度しか来ていない』と証言されているのは、単に昼食をとった時刻が昼下がりだったため、ビバルが尋ねた使用人たちは昼にも来ていたことを知らなかっただけです。




◎前世の世界について


 言うまでもないことだとは思いますが、リゼラとレナスの前世の世界については、当然、現実世界に酷似した架空の世界です。


 前世のリゼラの故郷については────暮らしていたのは地方の小さな町だけど、隣の市が有名な観光地で結構開けていたという設定です。どちらもモデルはありません。

 神域があった裏山を擁する山系の登山口の一つがある温泉地が適度な距離にあって、登山の無事を祈願するべく神社をお参りする登山客が経由していったり───神社で行われていた神事がそれなりに有名であったため、神事の開催日が観光ツアーに組み込まれたり、スピリチュアル的なものを求めた観光客がやって来るので、その恩恵が少なからずあったのと───隣の市や温泉地に働き口があるため、過疎化は免れていたといった感じです。


 通っていた高校と両親の勤め先は隣の市にありました。

 回想で出て来るコンビニやケーキ屋さんというのは、高校の近くにあったものになります。両親への結婚20周年のプレゼントを探して訪れた時計屋さんもこの市にありました。


 ちなみに兄がバイトしていた洋食屋さんは、町にあった唯一のレストランで、昭和の時代に脱サラして移り住んだ老夫婦が営んでいるという設定です。


 通常、“剣舞”は男性の神官が行うもので、巫女さんはしないようですが────この世界では女性でも舞うのだな、と考えていただけると有難いです。


 レナスの回想に出て来た妹の帯びに差し込まれた赤い風車は、勿論“セルロイド”ではありません。




◎その他、作品や文体についてのあれこれ


 この作品は、娯楽用ノートPC(ネット未接続)で執筆→ネットに接続している別のPCにデータを移して投稿→空いた時間に電子書籍・ネット小説専用タブレットに入れているアプリで読み返す───という、何とも面倒なやり方をしています。

 PC上でも推敲はしているのですが、やはり見落としてしまう部分も多く───時間を置いてタブレットで客観的に読み返すと、解りにくい表現や誤字脱字誤用が目につき、タブレットからサイトに跳んで改稿するという手順になってしまっているため───いつも拙いものを読ませてしまうことを申し訳なく思います。


 実は───当初の予定としては、ただPCで書くだけで、小説サイトに投稿するつもりはありませんでした。

 しかし、段々話が長くなってくると、読み返すのも以前のエピソードを確認するのも億劫になってきて───そこで、小説サイトに上げて、それをダウンロードしてタブレットで読み返すことを思い付き───「小説家になろう」に投稿させていただいた次第です。

 誰かに読んでもらいたいというよりは、書き上げることを目的としていたので、評価やブックマーク登録をお願いするのは烏滸がましいと思ったために求めることはしなかったというだけで───ブックマーク登録をしていただいたことも、評価をしていただいたことも、「いいね」をつけていただいたことも、本当に嬉しく思っております。


 テンプレを謳いながら、題名は昨今の流行りとかけ離れたものにしたのは、奇を衒ったのではなく───検索して読んだ方が期待外れでがっかりするのは申し訳ないな、と思ったからです。副題がついているのは、単に深夜のハイテンションの成せる業です。


 作中の漢字の当て方についてですが───「聴く」、「聞く」と「答える」、「応える」に関しては、意図的に使い分けています。

 詳しく聞いている話なら「聴く」、軽く聞いているだけの話なら「聞く」───訊かれたことに対して明確に答えるなら「答える」、言われたことに相槌を打つだけなら「応える」というように割り当てています。決意や気持ちが籠った返事の際にも「応える」を当てることがあります。

 ただ「応える」については、本来は「期待に応える」や「骨身に応える」のように使うだけらしく、誤用なんですよね。いずれ正すこともあるかもしれませんが、今のところはスルーしていただけると有難いです。


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