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こぼれ話⑧Q&A


Q.1 リゼラが邸へとやって来て、初めて朝を迎えたときのルガレドはどんな感じでしたか?



レナス「それは、もうウッキウキでした」


ジグ「いつもなら目が覚めてもベッドの上でグダグダしている感じなのに────あの日は起きたような気配がしたと思ったら、すぐにベッドから降りる音がして、弾んだ足取りで洗面に向かっていました」


レナス「スキップまでして────音を聞いているだけでも恥ずかしくなるくらいの浮かれっぷりでした」


ルガレド「………スキップはしていない」


レナス「いえ、明らかに足音が弾んでいました」


ルガレド「………いや、あれは断じてスキップではない」


ジグ「まあ、レナスも人のことは言えないと思いますけどね。目に見えて上機嫌でしたし」


レナス「いや、だって、当然だろ。笑顔の可愛い美少女だぞ。無表情を崩さない男の淡々とした日常をずっと見守り続けるより、美少女を見守る方が楽しいに決まっている。大体、お前だって見るからに浮かれてただろうが」


ジグ「それは当たり前だろ。一目惚れした女性が護るべき主となったんだぞ。浮かれるに決まっている」


ルガレド「つまり────最初から…、お前たちはリゼを邪な思いで見ていた、と」


ジグ「いや、人のこと言えないでしょう」


レナス「そうですよ。風呂場を案内したとき、判りやすく動揺して────何を想像したんでしょうね?」


ルガレド「!!」


ジグ「ルガレド様は、ネロがリゼラ様にしがみつくのが羨ましいんでしたね。どこに、とは言いませんが」


ルガレド「…………なあ、お前たち。これから鍛練しに行かないか?」


レナス・ジグ「「は?」」


ルガレド「最近、身体が鈍っている気がしてな。だから、ちょっと身体を動かしたいんだ。鍛練の相手────してくれるよな…?」


ジグ「いえ、俺はリゼラ様の護衛をしなくてはならないので」


レナス「あっ、ずるいぞ!」


ルガレド「ラムル」


ラムル「何でしょう、旦那様」


ルガレド「しばらくの間、リゼの護衛を頼む」


ラムル「かしこまりました」


ジグ「いや、今日は俺がリゼラ様の担当────」


ルガレド「さあ、行こうか────ジグ、レナス」






Q.2 リゼラと男性陣の関係をどのように認識していますか?



ラナ「ラムルさんとディンドさんは、多分ですけど、リゼのこと娘のように見ている気がします」


セレナ「私もそう思います。戦場では主として頼りにしているけれど、普段は保護者目線で見守っている────そんな感じですよね」


ラナ「ヴァルトさんは────獲物を見るような目?」


セレナ「………そんな感じです」


ラナ「エデルさんは────正直、よく判らないんですよね…。リゼを特別だと思っているのは確かだけど、それが恋なのか、ただ人柄を買っているだけなのか…」


セレナ「私は、ヴァイスさん────いえ、ネロさんとの関係性に似ているような気がします」


ラナ「エデルさんはリゼに懐いているだけ───ということですか?」


セレナ「“懐いている”というよりは、“ネロさんのように慕っている”という感じでしょうか」


ラナ「それなら、お鳥様のお言葉は、当たらずとも遠からずだったってことですね」


セレナ「そうですね」


ラナ「ジグさんとレナスさん、でしたっけ────あの隠れて殿下を護衛している人たち。あの二人は、完全にリゼに想いを寄せている感じですよね」


セレナ「あ、やっぱり、ラナさんもそう思いますか?私の気のせいではないんですね」


ラナ「殿下は怒ってるような素振りをしながらも見逃していますし、リゼもさらっと流してるから、最初は困惑しちゃいましたけど────あからさまですよね、あの二人」


セレナ「そうですよね。立場上、私たちとはあまり交流がないというのもあるかもしれませんけど────あのお二人のリゼラさんへの態度は、他の者たちに対するものと明らかに違いますよね」


ラナ「ハルド君はどうなんです?」


セレナ「ハルドにとっても、リゼラさんは特別なようですね。ですが────あれはまだそんなに深くないというか…、憧れに近いような気がします」


ラナ「それじゃ、うちの子たちと同じような感じなのかな」


セレナ「うちの子たちというと────ラギ君とヴィド君ですか?」


ラナ「ラギとヴィドもだけど、うちの孤児院の────成人して独立しているリゼと同年代の子や思春期に入った子たちですね」


セレナ「リゼラさん、かなりモテるのではないですか?」


ラナ「商店街の兄さんたちとか、時々来る商人の兄さんとかは、明らかに狙ってましたね。

でも────顔が綺麗過ぎるのもそうですけど、リゼは頭がよくて魔獣を退治できちゃうくらい強いから、どうも同年代の子たちは気後れしちゃうらしくて────憧れるだけで、恋にまではならないようなんですよね。だから、そこまでモテてた印象はないですね。

いや、まあ…、崇拝?というのかな────リゼに助けてもらったとかで、こう…、リゼを崇めるようになっちゃった人は少なからずいましたけど…。中でも熱烈な人は、『自分が恋人や夫になるなんて烏滸がましい、ただ見守らせて欲しいだけなんだ!』って熱く語ってたなぁ…」


セレナ「………うちのバレスも似たようなことを言っていました」


ラナ「………報われない恋をしちゃうよりはいいんじゃないですか?」






Q.3 ぶっちゃけ、片想いで辛くはないですか?



ジグ「……それ、ルガレド様の前で訊きます?」


レナス「……オレたちに、どう答えろと?」


ルガレド「確かに、俺もそう思うが────本心を聞いてみたい気もするな」


ジグ「そうですか。それなら、遠慮なく答えさせていただきますが────まったく辛くないと言ったら嘘になりますね。子種ができないといっても性欲がないわけではないですから、やはり間近で接していると」


ルガレド「間近で接していると?接していると────何だ…?」


ジグ「………やはり、聴かない方がよろしいのでは?」


ルガレド「………いや、続けろ」


ジグ「ご心配なさらずとも、手は出しませんよ。そんなことをすれば、リゼラ様を傷つけることになりますから」


レナス「ジグの言う通りです。オレたちがリゼラ様を傷つけるようなことは絶対にありません」


ルガレド「………そうだな。それだけはあり得ないな。────それで?」


ジグ「後は…、そうですね。デレデレと表情を崩すルガレド様を見ていると────こう…、後ろから頭を叩いてやりたくなる衝動に駆られることがあります。それに、リゼラ様を独り占めしようとするその根性に、イラっときますね。リゼラ様に想われていて一番お傍にいられるんだから、少しくらい譲れよ、と」


レナス「あ、解る、それ。────まあ、鳥が侍るのは別に許さなくてもいいけど」


ジグ「前世の記憶を取り戻したときなんか、リゼラ様が心配しているのに、いつまでも目を覚まさなくて────本当に、叩き起こしてやろうかと思いました」


レナス「オレは水でもかけてやろうかと思いました」


ルガレド「………そんなことを考えていたのか?」


ジグ「いや、当然じゃないですか?」


レナス「というか────ルガレド様なら、もっとえげつないことを考えそうですけど」


ルガレド「………そうだな。俺がお前たちの立場なら、そんなものでは済まさないな」


ジグ「まあ、でも、それくらいですよ」


レナス「同じ感情ではなくとも、リゼラ様がオレたちを大事に思ってくださっているのは解っていますからね。言葉を交わせて、その笑顔を向けてもらえるだけで十分です」


ジグ「正直、今の状況が幸せ過ぎて────これ以上を望む気はないです」


レナス「このまま孤独なルガレド様をただ眺めながら、暗くて狭い天井裏で一生を終えることになるんじゃないかって思ってたあの頃に比べたら…、本当に幸せだよな」


ジグ「そうなった場合、後で死んだ方は弔われることもなく、天井裏で朽ちていく破目になっていたんだな」


レナス「だな。でも、今の状況なら、確実にリゼラ様に弔ってもらえるよな」


ジグ「ああ。何なら、看取ってもらえるかもしれない」


レナス「それ…、いいな。リゼラ様に見守られながら最期を迎える────すごく幸せだろうな」


ルガレド「…………」


ジグ「ルガレド様?まさか────それすら許さないとは言わないですよね?」


ルガレド「ああ…、いや、俺はリゼと死すら共にできるのだからな。それくらいは許してやる。そうではなく────不老長寿となった者の最期とはどんなものなのだろうと思ってな」


ジグ「確かに、それは疑問ですね」


レナス「老衰はありえませんからね。突然、身体が消滅する───とか?」


ルガレド「その場合、リゼに看取ってもらうのは不可能ではないか?」


ジグ・レナス「「………」」


ルガレド「まあ、気を落とすな。まだ、そうと決まったわけではないのだからな」


ジグ「………ルガレド様、顔が緩んでいますよ?」


レナス「そうだ、鳥野郎───あ、いや、あの“神”に訊きに行きましょう。奴なら知っているはずです」


ルガレド「いや、俺はこれからリゼと」


ジグ「ほら行きますよ、ルガレド様」


ルガレド「行くなら、お前らだけで行け」


レナス「何言ってるんですか。オレたちはルガレド様の護衛ですよ?離れるわけにはいかないでしょう」


ルガレド「いや、それで俺がお前たちについて行くのはおかしいだろう!」


ジグ「護衛対象と護衛が共に行動する────当然のことではないですか」


レナス「その通りです。おかしいことなど何もありませんよ」


ジグ≪カデア───俺とレナスはルガレド様と共に出かけることになったので、リゼラ様をお願いします≫


ルガレド「おい、何を勝手に───」


ジグ「これでよし」


レナス「さあ、行きましょう」


ルガレド「ちょっ────」





***



Q.1に関しては、いつかこぼれ話にしようと考えていた題材です。絶対ルガレドはウッキウキだっただろうなと思っていたので、それを生き生きと語るジグとレナスを書きたいな、と。

ジグとレナスがリゼラにバラしてしまう形にするつもりでしたが────書いている時間がないため、こういう形にしてみました。


Q.2とQ.3については、本編を書いていて、ふと思った疑問です。

本編に入れるか、それぞれ小話に仕上げて、こぼれ話として上げるか迷ったのですが────同じく、書き上げる時間がないので、ここで。


Q.1とQ.3が似たような流れなのは、仕様です。お互い、やられっぱなしではいない───ということで。


読んでくださって、ありがとうございました。


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