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黒うさぎと星

作者: 寝落

この作品を選んでくれてありがとうございます。

気まぐれで書いてみた童話です。

よろしくお願いします。

 



 ある山頂で、二羽の白いうさぎと黒いうさぎが寝転んでいます。 

 彼らは一緒に夜空に広がる星を眺めています。


 「私たちが出会った時も星、綺麗だったね。」


 「うん、あれからずっと一緒だね。」




―…―



 ある街の近くの草原に、うさぎたちが住んでいました。

 たくさんの茶色のうさぎがいます。

 草原でうさぎたちが遊んでいたり、草を食べて寝転んだりしています。

 そして、それらの近くに独りっきりの真っ黒なうさぎ。

 色が違う黒うさぎは、茶色のうさぎたちの仲間に入れてもらえません。

 彼みたいに真っ黒だと、すぐにキツネやネコに見つかってしまいます。

 黒うさぎは何度も一緒に遊んでくれないかと、聞きに行ってます。

 でも、いつも返ってくる返事は同じようなことばかりです。


 「えー、いやだよ。」


 「なにそれ、かっこ悪い毛だね。」


 黒うさぎは気づいた時からずっと独りです。

 どんなに寂しくても、どんなに辛くて泣いていても、慰めてくれる仲間はいません。

 独りで平気なわけがありません。

 でも、黒うさぎは自分に何度も嘘をついてきました。


「大丈夫、大丈夫、独りでも平気だから。」


 毎日、その言葉だけを繰り返して生きてました。

 そんな黒うさぎは夜に星を見るのが大好きです。

 黒うさぎはいつか誰かと一緒に星を見てみたいと願っています。




 そんなある日、黒うさぎはここに住むのをやめて、違う場所に行くことを決めます。

 遠くに見える山です。

 あの山を登ればもっと近くで星が見れるのではないかと、考えているのです。

 そういうことで、黒うさぎは山を目指して駆け出しました。

 黒うさぎは疲れと独りを我慢しながら、山を目指しました。

 そして、黒うさぎはなんとか山の中に着きました。

 しかし、急に黒うさぎは疲れ果てて、倒れてしまいました。

 このまま黒うさぎは死んでしまうのかと思われたとき、何かが近づいてきました。





 「あれ? ここはどこだろう?」


 黒うさぎが目を覚ますと、そこは洞窟の中でした。

 しかし、黒うさぎはここがどこの洞窟か全くわからず、ただ周りを見て不思議そうに目をぱちぱちさせるだけでした。


 「あっ、うさぎさんが目を覚ました。ちょっと待ってて、お兄ちゃん呼んでくる。」


 真っ黒なうさぎは声が聞こえたほうへ顔を向けます。

 そこには小さなキツネがいました。

 そのキツネは暗闇に消えると、今度はもう一匹の大きめの銀色のキツネもやってきました。


 「もう大丈夫かい、うさぎさん?」


と、銀色のキツネが聞いています。


「うさぎさん、お腹減ってない?」


 小さい方のキツネは葉っぱのような野菜を黒うさぎの口元へ持ってきました。

 ずっと走っていた黒うさぎはお腹がへっていたので、その葉っぱをもぐもぐと食べました。 

 それを見たキツネたちは嬉しそうに笑うのでした。




 キツネたちは兄弟でした。

 小さい方のキツネが妹キツネで大きい方のキツネが兄キツネでした。

 最初はキツネたちのことを警戒していましたが、妹キツネが毎日、黒うさぎを遊びに誘います。

 黒うさぎは誰かと一緒に遊ぶのが初めてなので、嬉しくてしょうがありませんでした。

 しかし、なぜキツネたちが助けてくれたのか、わからないので黒うさぎは兄キツネ聞いてみることにしました。


 「うさぎさん、独りでしょ。僕も一緒だった。僕もこの銀色の毛のせいで独りだったんだ。でも、僕には妹がいる。こんな僕でも普通の兄として接してくれる。家族って大切だよ。」

 

 微笑みながら兄キツネは言いました。


 「うさぎさんのことを見て昔の自分を思い出したから助けたくなったんだと思う。」





 それから数日後、黒うさぎは旅を続けることにしました。


 「今までいろいろ、ありがとう。」


 黒うさぎはお礼を言いました。


 「いつでもまたおいで。」


 笑顔を向けながらキツネたちはそう言いました。




 それから旅を続けると、今度は白色の太ったネコに遭ってしまいます。

 このまま黒うさぎは食べられてしまうのかと思われたとき、何かが白ネコの毛から出てきました。

 そう、ネズミです。

 ネズミが白ネコの毛から飛び出してきました。


 「チューチュー。」


 ネズミが白ネコに何かを言っています。

 すると、白ネコは笑顔になりました。


 「驚かして悪かったべ。うさぎなのに独りだったから気になったんだべ。」


 どうやら白ネコとネズミは、ただ黒うさぎの心配をしていただけです。

 それから彼らは一緒にお話をするようになりました。

 しばらく会話を続けると白ネコも黒うさぎと同じように独りだったことがわかりました。

 しかし、なぜ白ネコは独りだったのに今はそんなに笑顔でいれるのか、気になったので黒うさぎは聞いてみることにしました。


 「オイラはこの白色の毛のせいで独りだったんだベ。でも、オイラには友達がいるべ。ネズミ君はこんなオイラでも普通の友達として接してくれるべ。友達って大切だべ。」


大きな笑顔で白ネコが言いました。




 しばらく会話を楽しんだ後、黒うさぎは旅を続けることにしました。


 「短い間だったけど、ありがとう。」


 黒うさぎはお礼を言いました。


 「またいつでもおいで。」


 「チュー!」


 笑顔で白ネコとネズミ君が言ってくれます。




 それから何日かが経った後、黒うさぎは山頂まであと少しの所に着きました。

 もう夜で真っ暗です。

 星がとても綺麗に見えます。

 それでも、黒うさぎはもっと近くで見たいのです。

 なので、あともう少し頑張るつもりです。

 そして、やっと山頂に着いたと思ったら何かが地面に倒れていました。

 近づいてみると女の子の白いうさぎが寝転がっていました。

 

 「あら、あなたも星を見にきたの?」


 白うさぎは聞いています。

 同じうさぎに何かを聞かれるのは初めてで、黒うさぎは少し怖がりながら頷きました。


 「笑わないの?」


 白うさぎが聞いていますが、どういう意味かわからず黒うさぎが首を傾げていると、白うさぎは言いました。


 「私の毛の色は白色だよ。それに、星が好きなんだよ。変なうさぎでしょ。」


 どうやら白うさぎも、黒うさぎと同じように独りだったようです。

 

 「笑わないよ、だって僕もこの黒色の毛のせいで独りだったんだ。それに僕も星を見るためにここまで来たんだよ。」


 黒うさぎは勇気を振り絞って言いました。

 すると、白うさぎは黒うさぎのことを見ながら言いました。


 「そうなんだ、一緒だね。じゃあ一緒に星を見ようよ。」


 それから黒うさぎも白うさぎの横に寝転がって、一緒に星を見ることにしました。

 星を見ながら会話をして笑ったり、同情して泣いたりもしました。

 そんな彼らを微笑ましそうに星たちが見守っていました。




―…―



 それから数年後のこと。

 彼らは今はもう独りではありません。

 彼らは出会ってから何度も泣いたり、笑ったり、怒ったりしました。 

 それでも、もう独りになることはありませんでした。

 彼らはずっと一緒です。

 独りであってもいつか必ず、一緒にいてくれる者が現れます。

 世界は広いです。

 この世に生まれて独りなんてことは絶対にありえません。

 


  だってあんなに遠くにある星でさえ

     綺麗に輝いているじゃないですか。




あなたには、一緒にいてくれる大切な人はもう現れましたか?


読んでくれてありがとうございました。

ご感想やご批評、誤字・脱字などのご指摘いただけると嬉しいです。


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