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恋とオタクは交わらない  作者: カムカム lemon
8/8

8話 攻略心得その2『実行』

[それでは早速委員会を決めたいと思う。それでだが決めるのに当たって進行と黒板に記載していく人、まあ、ルーム長と副ルーム長を決めて貰いたい。誰かやりたい人いるか?]


柴田先生は教室に来るなり超難題を押し付けてきた。

が、俺は絶対になろうとは思わない。

よく考えて欲しいここでなった人間は確かに英雄として今後このクラスでの立ち位置を(アンシャン=レジーム)一定以上に確立出来るかもしれないだがしかし、しかしだ!ここでなったら100年目色んな集会又は講演会が行われた時、幾度と無い場面で挨拶なんかをやらされる。

そんな骨折り損やる訳ない。

俺は他人事の様に呑気に蒼天を横断する雲を眺めつつやる奴なんているわけと思っていると[お前やれよー][えー、どうしようかなー?]など俺の考えとは相対的に陽キャ達の莞爾な会話が聞こえてきた。

それから少しして


[俺やります!]


[私もやろー]


と、2人が手をあげる。

いや、やばっ。やる人いるんや。


俺は中学まで何回もこう言った責任を担った役職を決める事はあったけどみんな俺みたいに目を逸らして乗り切ろうとする人ばかりでこの光景がとても新鮮だった。

流石進学高と言うべきか、取り敢えず自分には火の粉一つ飛んでこなかったのでみんなに倣って拍手をする。


[では、他にやりたい人も居なさそうだし花島と神崎にルーム長、副ルームわお願いするな。じゃあどっちがルーム長やるか、]


結局ルーム長の方が仕事量は多いだろうし、どっちがやるんだろうと興味本位で様子を窺うと

[おーい碧、男なんだからやれよー!]

[そうだそうだ。]

など多くの男子が集団心理を利用して男の方にやらせようと促す。


ああやって男だからやれとかそう言うのやだよなと憐みの目で花島の様子を窺うと俺とは対に集団心理に囚われたのか(見るとあんまり良くない顔をしながらも)


[じゃあ、俺やります]

と自信満々に手を肩まで上げる。

いやいや、そこは断ろうよ、、、しかも何でそんなに気張ってやる気満々なの?と、疑問符を掲げながらみたび空を見る。


それからすぐに委員会、係決めが始まる。

まず初めに副ルーム長もとい神崎さんが先生に渡された紙に書いてあったであろう委員会の数々をスラスラと黒板に丁寧な字で書いていく。


委員会の中には福祉委員会とは別に奉仕委員会と聞いた事がない委員会まで色々書かれている。


[では、早速決めたいと思いまーす!]


花島の意気堂々な掛け声と共にやりたい委員会に手を挙げるという方式で決め始める。

スラスラとテンポ良く決まっていく中遂に文化祭実行委員会の項目に到達する。

[では、次はっと文化祭実行委員になりたい人ー?]


ルーム長の花島の声をリレーの合図かのように素早く上げる。

周りを見渡すと俺と早乙女さんだけだった!

だったって言うのは過去形。

早乙女さんが挙げているのを確認すると多くの男子が一斉に手を挙げる。

いや、怖いって親衛隊?そこまでなりたいのか?マジでわからない。早乙女さんとなったからって仲良くなるかわ別の話だろ?まあ、機会すらなければ仲良くなんて慣れんのだけどな。

そう1人心の中でぼやきつつ早乙女さんの方を見やる。

[私挙げない方が良かったですかね、、、]

早乙女さんはとても寂寥感を混じらせた顔で下を向いていた。


[いや、そんな事ないんじゃない?]


[でも、私が挙げたせいで、、、]


[違うよ。自分を責めすぎだよ。別にさ、正直俺も早乙女さんとなりたかったし、その気持ちを持ってる人が多いだけでしょ。早乙女さんは悪くないよ。]


俺は率直な感想を述べる。実際早乙女さんは何もしてないし、行った行動で彼女が自分を卑下する必要もない。何も間違えてないし、何も悪くない人間を責めるのは己の信念に反する。

[それでも、、、]

その先を言わせる前に挙げている手を彼女の頭に移動させる。

[ふぇっ?]

[ふっ、その顔面白い。早乙女さん可愛い顔してるのにそんな顔してたら勿体ないよ!大丈夫俺が見た感じこのクラスの男子も女子も優しそうだし、誰となっても上手くいけるよそれにまた困ったら助けてあげるからもうそんな顔しないで、]

そう言いながらみんなに見られる前にすぐさま早乙女さんの頭から手を離し手を上に挙げる。

[うーーー]

手を払ったのち隣を見ると早乙女さんは右を向き唸っていた。

いや、何?威嚇?そんなに嫌だったのか、次から女の子の頭を触るのはやめよう。

己の中に新たな信念を確立していると

[、、、でも、やっぱり私は優斗くんとなりたいな]

隣から小さな声が聞こえてきた。

何かを呟いていたのはわかったがいかんせん小さな声だったので聞こえなかったし、そこまで重要じゃなさそうだったので聞き流す事にした。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

[はぁ、疲れた。]

[おー、お疲れ!あの戦いの中良く勝ち残ったよな。]


そう、俺はあの幾千もいる護衛隊に勝ち。

文化祭実行委員会に一先ず席を置く事に成功した、いわば勝ち組なのだ!はっはっはっ。

なんかあの妖気な保健師に乗せられてる感じがするけど今だけは許す。


[優斗さん。これから一緒に頑張りましょうね!]


俺がガッツポーズを掲げ喜びに耽っていると隣から早乙女さんが頬をあげつつ話しかけてきた。


[いやー、ほんとに一安心だよ。]


[そんなになりたかったんですか?]


[そりゃ他の人に取られたくなかったもん(文化祭実行委員の席)]


[えっ!?そんなに嫌だったんですか?]


[そりゃあね。取られたらまず何にも始まんないし(矯正とか)]


[始まるって?]


[まあ、俺の人生かな]


少し気張って言ってみる。


[そうですか、、、]


何故かわからないが早乙女さんは耳を赤くして俺から目を逸らし早乙女さんを囲むように集まっている女子達の会話に戻る。


[ゆーくーーん。何で一緒の体育委員になってくんなかったの?]


早乙女さんとの会話が終わり改めて戦争に勝てた事に喜びを感じていると後ろから抱きつかれる形で拘束された。


[いや、体育委員会も良いけどやっぱり文化祭実行委員会だよ]


そうそう。今はね、今だけ気分が良いから文化祭実行委員会を強く推すよ。


[何それ?優くんそんなに文化祭楽しみなの?]


[いや全然。]


[はぁ?お前じゃあ何で?]


[そうだよ何で、何で?]


2人に問い詰められる。

やばい!失言してしまった。

矯正のためー何て馬鹿正直に言ったらワンチャンあの人の首飛ぶ。

飛ぶのは良いけどもし仮にあの人が怒り狂って暴れたしたら怖いし。

言い訳を、何か良い言い訳無いのか?

俺の脳はさらに加速し最終ウェーブに突入。

そこである一つの策を導きだす。


[まあ、適当かな]


いや、理由になってねー。

2人のツッコミより先に己の愚かさに唖然とする。

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