5話 バグの整理
[嘘付いちゃいけないよ?]
電話を終えスマホをポケットに無造作に仕舞い込むと先生に嗜められる。
[いや、良いのなら今の状況を説明しますけど、良いんですか?僕は構いませんが先生の立場的にまずいのでは?]
反論すると先生は気にしていなかったのかはあっと言う顔になる。最初会った時はかなり危険な香りしたけどなんか関わるほど結構ポンコツなんだなと感じる。
[た、確かに]
[それで話戻りますけど問題児矯正に関していくつか質問してもよろしいですか?]
[えぇ、私が個人的な事情でお願いしたのだし、なんでも教えるし手が必要ならいくらでも貸すよ。]
任せて言うように胸にドンと握り拳を当てながら伝えてくる。いや、そんなやる気ならPTA振り切って自分でやった方が、、。なんて少し考えるが昼このベットと言う重力に逆らいつつ横になれる自分的神が与えし個人的に人間が1番休める物のの入手が大きいので話を続ける。
[あの、まずですね。どうやって関わるんですか?]
[どうって普通に挨拶からじゃない?]
いや、ギャルゲーの序盤かよ。無理だろ。多分先生ならその元気さと妖美な雰囲気で話した相手は喜んで相手するだろうけど俺が話しかけてみ、男子ならまだしも女子に話しかけられたら多分1発で両手輪っかで固定されちまうよ。
[いや、自然と関わらないと多分バレますよ]
呆れてはぁと溜息を溢しつつ伝えると[確かに]と、小さい声が聞こえてきた。本当に大丈夫?これ序盤からミスりそうなんだけど
[うーん、5人のうち2人なら行けそう。]
[根拠はあるんですよね?]
[うん、もちろん。その資料に目をやってくれればわかると思うけど]
言われた通り資料に目を配る。
[先生、そういえば問題のある生徒は計5人ですよね。なのになんで資料は4枚しかないんですか?]
[あーその事ね、、]
先生はそれだけ言うと下を向きまた哀愁漂う顔になる。
[教えられない事ですか?]
再度尋ねるとばつがわるい顔をして数秒後口を開く、
[2年前覚えてない?]
2年前?俺は記憶を辿る。今の状況と照らし合わせると一つの大事件が浮かび上がる。
[いじめが世間的、民間的に禁止された所以になった女子児童自殺未遂ですか、、、]
[そう、もうわかるでしょ?]
先生が悲しみを込めた声で伝えてきたので俺も小さく相槌を打つ。それと同時に浮かび上がる疑問を口にだす。
[でも、また何で2年経った今でも問題視されてるんですか?]
[それは、あの事件以来不登校で2年振りに学校に来ているからよ]
[なるほど、それで、、、、]
俺はなんとなく察してしまった。だからこそ尚更この生徒を助けたいともう捨てたはずの感情が湧き上がる。
[ね?わかったでしょ?その子は多分大丈夫だから初めにその資料にある4人お願いして良い。話逸れちゃったわね。それでさっき言った2人は前の2枚の子たち]
言われて前2枚に目をやるとそこには男女2人の名前や問題点などがつらつらと書かれていた。
[で、どうやって関わるんですか?]
[その2人の内男の子の方は文化祭実行委員会に入ってて、もう1人の子は文芸部に入っている事が決まっているの、、]
え?それって入れといやいや、無理無理無理やだ無理無理。委員会ならまだしも部活?はぁ?帰宅部に入ってるんですけど!!!あからさまに嫌な顔をしていると先生はこちらを覗き込むように見て
[なんか不都合な事あるの?]
[いや、そんな事無いですけど自分忙しいので部活行けない日かなりあると思いますよ]
[あっそうなの?勉強とか?]
都合の良い理由を出してくれたので便乗する事にして[そうなんですよね!]と頷く。
[ふーん、でも授業聞いてなかったよね?]
体が勝手にビクッとする。なんでこの先生わかるの?え?生徒の個人情報見れるって言ってたけどそんな事までわかるん?なら俺の授業態度繕っても変わらなくね?
[怖いので退学を希望してもよろしいですか?]
[ダメよ、もちろん。部活動行くか行かないかの有無はそっちに任せるからダメ?]
クビを横に傾けながらぶりっ子ぽく呟く。
いや、25歳前後ですよね?多分、ならなんでそんなぶりっ子セリフ吐いて様になるんですかねぇ、
そう思いつつ[はいはい、わかりましたよ]とぶっきら棒に答える。
[じゃあ今日はもう遅いし真白を不安にさせちゃうかも知れないので失礼しますね]
時計を見ると約束のメールより20分経っていて残り10分で帰らなければならないのでそろそろずらかる事にする。
[そう、じゃあよろしくね!明日からベットで昼食べるんでしょ?なら続きはそこでね?]
別にそう言った意味ではない筈なのに妖美な雰囲気がある先生が言うと少しゾクッとする。
※ドキッでは無いです。
それからカバンを持ち保健室を出る。
矯正が出来るか荒唐無稽なのに対して先生は矯正が決まったかのような嬉しそうな顔で[さよなら、気をつけてね]と言いながら手を振っている。