彼女との出会い
3か月前
「うぅー」
俺は大学のパソコン教室でうめく。
俺の名前は山口大地、大学の4年生だ。
中肉中背の普通の大学生、彼女はいない。
「なんか悩んでるみたいだな」
そう声をかけたのは田中晴彦、俺と同じ大学4年だがイケメンで彼女持ちだ。
「実は単位のことで悩んでてさー、教育実習の実技取ると他の科目の単位落とすとギリギリで」
大学では最低限の単位を取らないと留年してしまう。
しかし、教育実習の単位は進級の単位とは別なので教員免許を取りたい人は単位がギリギリになる人もいる。
もちろん、ちゃんと1年の頃から計画的に授業を取っていればそんなことはない。
だが、俺はなんとかなるさと思っていた。
「そんなにヤバいなら教員免許あきらめれば」
晴彦は軽い口調で言った。
しかし、俺は渋るように言う。
「いや、俺教員になるの夢だからさ、そこは譲れないよ」
「へぇー、お前にも譲れないものがあったんだな」
そう言うと、晴彦は去って行った。
この時の俺は、単位のことで頭がいっぱいだった。
◇ ◇ ◇
教育実習初日
俺は携帯の目覚まし時計のタイマーを間違えて遅刻しそうになっていた。
「間に合え」
俺は河原を走っていた。
「誰か助けて!」
河原の下の川付近の所で俺の教育実習先の生徒が叫んでいる。
彼女は金髪で長髪の青色の瞳。
スレンダーでモデル体型だが背は低く幼さの残る童顔。
誰もが二度見してしまいそうな見た目だ。
どうしたと俺が言うと彼女は言った。
「猫が川でおぼれてるの、私携帯持ってないから、携帯と財布渡して」
「わかった」
最近の高校生で携帯持ってないって珍しいなと思った。
携帯で警察でも呼ぶのかな。
んっ、携帯はわかるが財布って?
「えいっ」
「うわっ」
ばしゃーん、と俺は川に落ちた。
「何するんだ!?」
「ばぁーーか、警察呼んでたら猫がおぼれ死んじゃうでしょ。だから、貴方が猫を助けて」
「んな、無茶苦茶な」
「じゃあ、携帯と財布はここに置いとくよ」
そう言うと彼女は去って行った。