プロローグ
ここはどこだ?
一面、赤、青、黄色、白のきれいな花畑が広がっている。
そして、空は雲一つない快晴だ。
「おーい、誰かいないか」
一向に返事がない。
俺が住んでいたところにはない景色だ。
「誰かいるの?」
向こうの方から声が聞こえる。
その容姿に俺は絶句する。
金髪で長髪の青色の瞳。
スレンダーでモデル体型だが背は低く幼さの残る童顔。
「ソラなのか」
俺は涙が出そうになる。
しかし、その涙は止まる。
「さようなら、貴方はここにいちゃダメな存在なのよ」
「何言ってんだよ、っておい」
急に風が吹き、空気が冷たくなる。
すると、ソラの体が透けていく。
「また、俺を置いていくのか」
ソラは何も答えず消えていく。
◇ ◇ ◇
「ぷっはぁー」
荒く呼吸をすると四畳半の俺の部屋に戻ってきた。
どうやら俺は夢を見ていたようだ。
目の前にある食べ終わったカップ麺のスープに映った自分の顔を見る。
「しけた面してんなぁ」
俺はあの日から荒んだ生活を続けていた。
「とりあえず、片づけるかあいつに見せる顔もないし」
そして、部屋を片付けていると携帯に電話がかかってきた。
この電話に俺は救われることになる。