45話 戦う理由
守護霊として召喚された蒲生氏郷が魔霊秀吉に戦いを挑もうとしていた……
守護霊氏郷と魔霊秀吉の不穏な睨み合いがピリピリした空気へと変えていき、否が応でも張り詰めた緊張感が増していく。他の守護師たちも、今はこの二人に注視していて動こうとはしない。皆が固唾を飲んで見守る中、果たしてどちらが先に仕掛けるのか。召喚されてやる気満々の氏郷か、それとも守護師たちに囲まれて劣勢に立たされている秀吉なのか。
氏郷は胸の前で握り拳を重ね合わせると、そこに薄っすらと黒光りした刀が現れた。長さは六、七十センチといったところだろうか。グッと握りしめて秀吉に向かって構えると、秀吉も手にしている青光りした刀を顔の前まで上げた。
「あんたが刀だったら俺もこれにするか。刀で差しで勝負するなんて、なんかワクワクしてきたな!」
「氏郷め……調子に乗るでにゃあて!」
緊張で膨れ上がった場の空気が、今にも弾けそうになっていた時である。均衡を破ったのは場の空気を読めないこの男だった。
「あ、あのー、ちょっといいですか?」
冬馬が気の抜けたような声で氏郷へ声を掛けたのである。
「なんだ!? 今、良いところなんだ!」
冬馬の問い掛けに、氏郷は苛立ちを隠そうとはせず秀吉を見据えたままだ。
「お取込み中、すみません……。ちょっと疑問に思ったことがありまして。がもちゅうさんって、ひょっとして秀吉さんと知り合いなんですか?」
「…………はあ!?」
またも目を丸くした氏郷は、怒気が削がれたのか冬馬を眉を顰めながら二度見した。
「なんか、仲良く喋っていたのでそうなのかなあと」
「仲良くない!っていうか、あのなあ……。今の会話を聞いてたらわかるだろ?」
「…………?」
まだ理解していないような表情の冬馬に戦意まで削がれたのか、氏郷は「ちッ!」と舌打ちをして一旦構えていた刀を下ろした。
「しょうがない、教えておいてやるか。お前にわかり易く言えば、俺はあの人の下で働いていたのさ。お前らの言う、戦国時代にな」
「ええ!? じゃあ、ひょっとしてあなたも戦国武将だったんですか!?」
「な、何を今更! 俺はこう見えても、九十万石を治める大大名だったんだぞ? ……はあぁ。まあでも、お前が知らないぐらいだから、結局は俺の人生は大したことなかったってことかもな」
「……すみません、歴史は苦手なもんで」
冬馬は本当に知らなかった。氏郷が戦国武将だっことも、そして氏郷がどのような人生を歩んだのかということも知らなかったのだ。
元来、冬馬は日本史が苦手だった。高校のテストではいつも赤点で、その都度補習を受けていたのである。とりわけ、戦国時代は人が殺し合ったという残虐なイメージしかなかった。パッと思い当たる戦国武将と言えば、織田信長、豊臣秀吉、そして徳川家康といった人物ぐらいしか出て来ないほどの知識だったのである。冬馬にとって戦国武将とは“強くてかっこいい”といった良い印象はなく、ただ単に怖い人たちといったところなのだ。
氏郷はそんな冬馬の気持ちを知っているのだろうか、怒るような素振りはなく、むしろ諭すような語気で再び話し始めた。
「別に謝らなくてもいいさ。あいつの言う通り、これからって時に俺は四十の歳で死んだのさ……」
「えっ!?」
冬馬は氏郷がどういった死を迎えたということも当然ながら知らなかった。
「でもな、今となっては後悔なんて全然していないのさ。俺が死を迎えたのも天命ってやつだな。確かに、後に残した家族や一族の者のことは気掛かりだったさ。でもな、そんな事を気にしても何にもならないだろ? 結局はなるようにしかならないんだからさ」
この言葉で冬馬は父のことが頭に浮かんだ。まだ幼なかった自分を残して死んだ父も、ひょっとして氏郷と同じような想いだったのか。いや、恐らく父は氏郷よりもっと若くして他界したはずである。想像するだけでも、父は思い残したことがたくさんあったのではないだろうか。母の咲子のこと、そして息子である自分のこと。もっと一緒に生きていきたかったのではないか。
「父さんも同じような想いだったのかな。でも、もっとやりたいことがいっぱいあったんだろうなって思うと、なんか悲しくなってきた……」
ただ、冬馬にもわかることがあった。それは父の意志が冬馬に引き継がれたことである。父が生きていたら、やるべき事があったはずだ。それが冬馬の中にも受け継がれているのである。だが、残念ながらその中には父の心情までは受け継がれていなかった。今となっては知る術もない。もうそれを聞くことが出来ないのだから。
暗く沈んだ顔になった冬馬に氏郷は優しく微笑み、落ち着いた声色で話し掛けた。
「お前が悲しむことはないさ。冬二のことは、お前より俺の方がよく知っている。あいつはな、自分の死を受け入れていたんだ」
「えっ!?」
「それにな、寂しくはなかったはずだぞ。あの時は信頼していた従者共も、冬二と同じ想いで一緒に戦ったからな。後悔なんて、あいつからはこれっぽっちも感じられなかったぞ」
「と、父さんが死んだ時のことを……知っているんですか!?」
「当たり前だ。俺もその場にいたからな」
「――――‼」
氏郷の言葉に冬馬は驚きを隠せなかった。
今まで想像すら出来なかった父の最期。ずっと病気で亡くなったとばかり思っていたので当然なのだが、氏郷はそれを知っていると言うのである。少なくとも氏郷が出現している時に死んだということは、悪霊や魔霊と戦っている時に死を遂げたのだろうか。もしそれが本当ならば、父は守護師として戦って死んだということになるのではないか。一体何があったというのだろうか。冬馬の知らなかったことが次々と出て来るので、正直言って混乱するなということが難しい心情になってきた。
そして、この氏郷の発言には冬馬だけではなく、後方で見守っていた光太と勇一も体をピクリと動かして反応していた。
「そ、それって」
勇一が縋るような目で聞き返そうとした時、氏郷はそれを遮るように秀吉に向き直した。
「しかしまあ、俺も生きていた時のことを思い出したわ。あの猿のせいで俺は京から遠ざけられたんだった。なんか、段々ムカムカしてきたな……! やっぱあいつは気に入らないな! ちょっとあの猿を一発殴ってやるか!」
「ええっ!? なんでそうなるの!? 秀吉さんは封印するんじゃないんですか!」
「それはお前たち守護師の仕事だろ? 俺たち守護霊はお前たち守護師に力を貸すだけさ。でも、その前にあの猿に一発入れとこうかと思ってな。お前も親友の仇は取りたいだろ?」
「そ、それは……」
今度は直輝の屈託のない笑顔が頭に浮かんだ。直輝が殺されたことは憎かったし、悔しかった。そして何よりも、何も知らなかった自分が情けなくもあった。
それでも、冬馬の心の中には復讐心という想いは無くなっていた。憎悪に駆り立てられた結果、自我喪失という情けない状態に陥ってしまった。そのことをしっかりと覚えているからだ。
それに、やはり冬馬には“人に攻撃する”という感情が全くと言っていいほどに無かったのも事実である。これは元来、冬馬が感情を表に出すことが苦手で、しかもそれを他人にぶつけるということが希薄だったからだ。怒ることはあっても、その怒りを他人に対して攻撃するということはしたことが無かったのである。
冬馬が場の空気を読めないような発言をしたのも、これが一つの要因でもあったのだ。張り詰めた空気に耐えられなかったことと、霊気を伝って感じる殺気立った雰囲気が怖くなってきたからである。
「心配するな。お前が攻撃したくないっていう気持ちはわかってるさ。だから俺が居るんだろ? お前の分まで俺がやってやる。お前は俺に霊気を送ればいいだけさ」
「――!」
「それもまた俺の仕事ってやつなのさ。守護師が無理でも、守護霊なら出来るってことさ!」
氏郷はドヤ顔全開で勢いよく前へと飛び出した。そして向かった秀吉の顔は、まさに鬼の形相と化していた。
「……おみゃあ、わしのことを猿と言いおったな!? 氏郷のくせに猿と言いおったなっ! 猿と呼んでいいのは信長の殿だけだがやっ! ……んぐぐぐぐぐっ! 数々の無礼、もう許さにゃあてっ‼」
「鬱陶しいな! 猿のくせにみゃーみゃーとうるさいんだよ‼」
守護霊の氏郷が横に倒した刀を鋭く振り抜く。それを魔霊の秀吉が刀を縦に構えたまま上から下へ叩きつけるように振り抜いた。
氏郷の握りしめた刀が秀吉の刀と交錯した瞬間、お互いの霊気が激しく飛び散る。戦国武将の魂である守護霊と魔霊の激しい戦いは眩い光が生じ、守護師たちの檳榔子染の羽織が激しく靡くほどの凄まじい風圧を生み出していく。
力と力のぶつかり合いは互角のように見えた。
しかし――――
氏郷の刀は砂で作ったかのように、脆くも崩れて消え去ってしまった。
「ギャハハハハッ! 所詮はそんなもんだがや! 天下人のワシを倒せるとでも思うちょったんか? 大笑いだがや、ギャハハハハハハッ‼」
瞬時に氏郷は霊気で防御壁を作成して秀吉の刀を受け止めた。一旦は均衡を保っていたが、それでも次第にじりじりと押され始めた。
ただ見守ることしか出来ない準が、踏ん張る為に地面へ手を突いたままの態勢で悲壮な面持ちに変わっていく。
「なんでや!? なんで蒲生氏郷の刀が消えてもうたんや!?」
「まあ、一言で言えば力の差やなぁ」
準の疑問に答えたのは、やはり舞美子だった。こちらは左手で髪をクリクリと弄りながら、例の如く不敵な笑みのままだ。魔霊と守護霊が戦っている最中での落ち着いた態度なので、一段と説得力のある言葉になっている。
「ええっ!? ほんなら、やっぱり蒲生氏郷じゃ豊臣秀吉には勝てへんってことなんですか……」
準は驚きと共に、悔しそうに顔を顰めた。
「そりゃあそうだろ、天下人と比べたら蒲生氏郷が可哀そうだぜ」
「知名度が違い過ぎるからね。集まる霊気に差が出るのも当然なんじゃないか」
準と同様に、その横で伏せていた体を起こした光太と勇一の顔にもどこか悔しさが滲んでいる。
「……ちっ!」
準たちの言葉が聞こえているのか、氏郷は苛立った表情になった。それでも懸命に秀吉の勢いを抑えていた。
守護霊とはどういった存在なのか。
それは根本的には魔霊と同じく、戦国武将の魂が霊気によって実体化した存在である。
そもそも、霊感の弱い人間にはその姿をはっきりと認識するのは難しい。だが、その影響力は霊感が弱いからといって全く関係ないとは言い切れないのである。それは、どんな人間にも微量ながら霊気を宿していると言われているからだ。霊感の弱い人間に対しても、悪霊や魔霊は干渉出来るのだ。霊感が強ければ強いほど、その影響力は増していくということなのである。だからこそ、魔霊はもちろんのこと、悪霊でさえも野放しにしておくことは非常に危険なことなのだ。
それでは魔霊と守護霊の違いとは一体何なのだろうか。
魔霊とは、主に強烈な悔恨を抱いて死を遂げた戦国武将が実体化する事例が圧倒的に多い。そして、そのカリスマ性によって集まる霊気の量も比例すると言われるのだ。悪霊と違い、その膨大な霊気により知性や感情までもが蘇ってしまうのである。今、守護師たちの目の前にいる豊臣秀吉のように……。
「関白となって天下人と呼ばれた豊臣秀吉やったら、そりゃあ集まって来る霊気も半端やあらへんわぁ。せやから、うちらはあの魔霊を特等級に指定してるんやからなぁ」
魔霊には危険度を区分するために階級が設けられていた。一等級から五等級まであり、数字が低い程に危険度が増していく。その中でも、ひと際危険な魔霊が別枠の“特等級”として存在するのである。
「そやったら、蒲生氏郷じゃ格が違うということでしょうか?」
「そういうことね。ここが蒲生氏郷に所縁のある場所だったら、ひょっとするといい勝負になったかもしれないけど」
まるで蒲生氏郷では勝ち目が無いような言葉を、美姫が澄ました顔で平然と言ってのける。主家当主の発言だけに、準たち三人は意気消沈してしまったのか、何も言葉が出て来ないようだ。
美姫の言うように、戦国武将の魂に所縁がある場所だとその力にも影響してくる。生まれ育った土地であったり、その土地で善政を布いて民に慕われていれば、そこにある霊気は自然とその戦国武将の魂に集まって来るのは当然だろう。もちろん、政だけではなく、窮地を救った等の武勇を轟かせた武将もこれに当てはまる。
霊気も元はと言えば、人の怨念なのだ。そこには少なからず人の“想い”が存在するのである。
「……ここ、京都はどうなんや?」
「残念ながら、それは期待できないわね」
その言葉を聞いた準の顔が暗く沈む。
「京都は秀吉の方があるに決まってるじゃないか!」
「そうだよね。豊臣秀吉は大阪のイメージが強いけど、京都にも所縁がいっぱいあるからね。それは蒲生氏郷の比じゃないよ」
光太と勇一も苦虫を噛み潰したような表情になっている。
「ここがもし、氏郷はんに所縁のある場所であったとしても、それでも秀吉はんほどの有名人やったら場所なんて関係あらへんと思うけどぉ」
特等級の魔霊ともなれば、その知名度がそれらをも超越してしまうのである。とりわけ、ここ守護之御魂神社は全国の霊気が集まって来る特別な場所なのである。様々な大量の霊気が混じり合う場所で、しかも魂が祀られている神社でもあるのだ。魅力ある魂に霊気が集まるのは当然で、しかもカリスマ性があれば尚のことなのである。
美姫の言う通り、冬馬が召喚した蒲生氏郷では豊臣秀吉には勝てないのだろうか。その答えは舞美子の次の言葉で覆されるのである。
「そやけど、それは氏郷はんが魔霊やったら、の話やけどなぁ」
「――――!」
舞美子の言葉に嬉しそうに反応する三人。美姫や月也たちの他の当主は然も当たり前かのように澄ました顔で戦況を眺めている。彼等は受け継がれる由緒ある名家の当主であり、守護霊持ちでもあるので事細かに知識は備わっているのは当然だろう。
それでも舞美子は丁寧に、まるで教え子に教授するかのように話している。
「守護霊も基本は魔霊と同じで、集まって来る霊気が根源になるんやぁ。でもなあ、魔霊と違うところが一つだけあるんやぁ」
「そ、それは……!?」
準の期待に満ちた顔を不敵な笑みで見つめながら、少しだけもったいぶって舞美子が口を開いた。
「それはなぁ、守護霊には守護師がいるっていうことやなぁ」
「守護師が……!」
舞美子は不敵な笑みを浮かべたまま、冬馬へと視線を移した。準は舞美子の続きの言葉を待っていたのだが、舞美子はそれ以上は何も言わなかった。困惑顔になった準が、縋るような目で美姫へと視線を移した。
「……しょうがないわね」
美姫は大きな溜息を吐いた後、面倒そうに口を開いた。
「本来、守護霊は『御霊降ろしの儀』によって守護師と魂で盟約を結ぶのよ。それによって初めて召喚出来るものなの。だから、守護師と守護霊は魂と魂で繋がっているのよ」
「それって、どういう……?」
準はまだ理解出来ていないようで、首を傾げる。
「守護霊を使った戦いには、守護師の霊気が重要になってくるの。守護師が霊気を使って、守護霊と連動して戦う。わかりやすく言えば、守護師の力が守護霊の力を引き出すってことよ」
美姫はそう言うと、冬馬から視線を氏郷へと移した。
「なるほど……! じゃあ、冬馬が頑張れば大丈夫ってことですよね!」
準の明るい声色とは裏腹に、氏郷はちらりと冬馬を見て「くそっ」と吐き捨てるように呟いた。
「大丈夫かどうかは、氏郷はんがようわかってるはずやけどなぁ」
舞美子がそう呟いた時、冬馬の顔は浮かない顔をしていた。
(あれ……? 何か変だな……)
冬馬は父の意志を受け継ぎ、守護師としての心構えも手に入れている。守護霊の召喚も問題なく出来た。守護霊と一緒に戦うにはどうすべきなのかもわかっている。
守護霊を使って戦うには霊気が重要になる。
心の奥で守護霊と繋がっている感覚。そこに霊気で意思疎通しながら戦うのである。そして、冬馬には自分の霊気が守護霊に力を与えることもわかっていた。守護霊に指示も出せるし、思考を共有して戦うことも可能だ。そして、霊気に“想い”を乗せて送ることが重要なのである。
それなのに、今の冬馬には完全に欠けているものがあった。
この時、冬馬の心中は違和感が渦巻いていた。なぜなら、ここまで流されるがまま戦いに巻き込まれてきたのだが、今は自分が主導で戦っていることに気が付いたからだ。
(ぼくが戦ってるんだ。でも、戦うって……どうしたらいいんだろう)
冬馬は殴り合いの喧嘩もしたことが無ければ、格闘系のスポーツもしたことが無い。強いてあげれば、一年前から悪霊相手に戦っていたことだけである。それも悪霊相手では、人と戦うという意識は全く無かった。冬馬にとって悪霊との戦いは命を懸けたものではなく、“動く標的を倒す”というゲームに近い感覚だったのだ。
冬馬には心の底から湧き上がる戦意が希薄だったのである。だから、氏郷が秀吉と戦うとなっても何を指示すればいいのかわからない。殴れとか蹴ろとかそんな単純なことではない。冬馬に攻撃の意志が無いので、氏郷が戦うための想いを込めた霊気が不足していたのである。
(ぼくは秀吉さんをどうしたいんだろう。倒すって言っても、悪霊みたいに消せばいいのかな。でも、魂を消せば死んじゃうことになるんじゃないのかな……? ぼくは……ぼくは秀吉さんを殺そうとしてる……!)
悪霊を倒していた時はそんなことは考えたことも無かった。陰陽師の土御門泰典が悪霊を倒せば成仏すると言っていたが、本当のところはどうなのかわからない。突き詰めれば、成仏させることは殺すことにはならないのだろうか。
悪霊もただ現れている訳ではない。守護師としての知識を得た今、悪霊たちがどんな想いで実体化したのかが冬馬にはよくわかってしまったのだ。悔しかったこと、苦しかったこと、そして、辛かったことや悲しかったこと。その負の感情が強過ぎたが為に、悪霊となって現世に蘇ったのである。生きていた時代は様々だろうが、彼等もまた強い意志を持って実体化したのではないだろうか。そう考えると、冬馬は段々と自分のやろうとしていることが恐ろしくなってきたのである。
(どうして……どうしてぼくは戦ってるんだろ……)
戦意どころか、完全に気力が萎えてしまったのだ。
ここから一気呵成で逆転を期待していた準が、冬馬の様子がおかしいことに気が付いたようで、心配顔になって冬馬を見つめていた。
「お、おい! どないしたんや、冬馬!」
「駄目だ……ぼくには無理だ……!」
心配顔の準に視線を合わせることなく、冬馬はグッと目を瞑り俯いてしまった。
ここまで読んで頂き、ありがとうございます!
更新が遅いですが、地道に書き続けますので次回もよろしくお願いします!




