97オニキスどこ行くの!?
僕はお家の庭でいつもみたいにオニキスや、フウ達と一緒に遊んでました。雲ひとつない良いお天気で、お父さん達も庭に出てお茶してます。みんなが一緒でとっても嬉しい僕。でも次の瞬間、僕の周りが暗くなりました。
お父さん達が座ってたテラスには誰もいなくて、今まで僕と一緒に遊んでたオニキス達もいません。慌てて周りを探す僕。広い庭を全部探しても誰も居ません。お家の中に入って、全部の部屋を確認したけどやっぱり誰も居なくて。もう1回庭を探すことにしました。
「オニキス、みんな、どこ!?」
もう1回庭を探しても結局誰も見つからなくて、今度は門のほうに行ってみる事にしました。そうしたら門の所には大きな馬車が止まってて、オニキス達がその馬車に乗ろうとしてるところだったの。
何処行くの!? 僕は慌てて馬車の方に走ります。走って走って、でもいくら走っても馬車に近づけません。フウとライが馬車に乗って、ディアンとブレイブとアーサーが乗って、スノーが馬車に乗り込みます。最後にオニキスが馬車に乗ろうとした時、やっと僕は門の所にたどり着きました。それで僕もオニキスに続いて馬車に乗ろうとします。
そんな僕をお父さんが止めました。
「おとうしゃん、みんなどこいくの? ぼくもいっちょ!」
もう1回乗ろうとして、またお父さんがそれを止めます。お父さん離して。お父さんの方振り向いたら、お父さんとっても寂しそうなお顔してました。何? どうしたの?
オニキスの方に振り返ったら、オニキスは馬車に乗る途中で止まってて、オニキスもとっても寂しそうな顔してるの。それからしっぱを振って、馬車に乗り込んで行きます。
「オニキス! まっちぇ! ぼくも!」
「ハルト、オニキス達とは行けないんだ」
「だめ! いくの! かじょくだもん!」
暴れて馬車の乗ろうとしてもお父さんが離してくれません。馬車のドアを御者さんが静かにそっと閉め始めました。僕はもっと暴れて、オニキスの名前を呼びます。
ドアが閉まる寸前でした。中から誰かが顔を出したの。その顔を見た瞬間ドアがしまって、馬車が進み始めました。
「オニキス! どこいくの! まっちぇ!」
お父さんが僕のことを離したから、僕はスピードを上げる馬車を追いかけます。
馬車の中から顔を出したのはドルサッチでした。しかも僕の顔を見て、ニヤッて笑ったんだ!
何度もオニキスやみんなのことを呼びます。でも僕が馬車に追いつけるわけなくて。どんどん離れていく馬車。最後には見えなくなって、僕はもう1度大きな声でオニキスの名前を叫びました。
「オニキス!!!」
ガバッと起きて、周りを見渡します。あれ? ベッドの上? オニキスは!? 僕は慌ててベッドから下りてオニキスを探します。
「ハルトどうしたの!?」
お兄ちゃんが起きてきて、それからディアン達も起きてきて、僕の周りに集まりました。みんな僕がオニキスって大きな声で叫んだから起きたって。お部屋の中全部探して、オニキスがいないって、お出かけしてるってだんだん思い出してきました。もしかしてあれって夢?
「ハルト!? 僕お父さん達呼んでくる!!」
お兄ちゃんが走って廊下に出て行きます。すぐにお兄ちゃんはお父さん達と戻ってきて、僕のこと見て2人ともとっても驚いてました。僕ね、オニキスがいないって思って、それから今見たオニキス達が居なくなっちゃう夢も混ざっちゃって、涙がポロポロ、止まらなくなっちゃいました。
お母さんがすぐに僕のことを抱っこしてくれます。
「ハルトちゃんどうしたの? 怖い夢をみたの?」
「おに、きしゅ、いにゃい…ふっ、くっ、うわあぁぁぁぁぁぁん!!」
もう止まりませんでした。
「大丈夫、大丈夫よ。落ち着くまでみんな一緒にいるわ。そうね、お母さん達のお部屋に行きましょう」
お母さんが歩き始めて、お父さんはベッドの上にあったオニキスぬいぐるみを持って来てくれます。そのあとをお兄ちゃんとフウ達が一緒に歩いてきました。僕は大きな声で泣き叫ぶだけ…。どうしてオニキス側にいてくれないの。
「どうしたんだ!」
僕の泣く声が聞こえたみたい。レイモンドおじさんとイーサンさんが、部屋から出てきて、僕達の方に早歩きで歩いてきました。
「よく分からないのだけれど、どうも怖い夢を見たみたいなの。それから側にオニキスが居ないことも一緒になったみたいで」
「そうか。落ち着いたら喉が乾くかもしれんからな。ホットミルクか、お茶を用意させよう」
お父さん達の部屋に移動して少したって、それでも涙が止まりません。本当に夢だよね。フウ達はいるし…。オニキスちゃんと帰ってくる? どんどん心配になっちゃうんだよ。それにドルサッチだったら、魔獣とか勝手に連れて行くみたいな事、やってそうじゃん。
「うえぇぇぇっ」
「大丈夫よハルトちゃん、みんなここにいるでしょう」
「一体どんな夢見たんだ」
「うえぇ、うえっ!」
泣きすぎちゃってうえってなっちゃった…。そのせいで余計泣けてくるし。お母さんが背中をポンポンしてくれます。
結局僕が泣き止んだのは、だいぶたってから。レイモンドおじさんが用意してくれたホットミルクを飲んで、お母さんに寄りかかってたら、いつの間にか寝ちゃってました。
次に日のお昼前になって起きた僕。昨日見た夢の事ちゃんと覚えてて、起きてすぐに思わずオニキス探しちゃいました。当たり前だけどオニキスは何処かに出かけてて居ません。その日はお昼食べる気になれなくて、みんなとロガーの所でゴロゴロ。動きたくなかったの。
おやつの時間になってレイモンドおじさんが、今日のおやつはみんなで外で食べようって言って、ロガーの小屋の前にテーブルと椅子用意してくれました。
「ハルトちゃん。少し食べましょうね。ほらハルトちゃんには特別のケーキよ。あの美味しいクッキーを、料理人さんが綺麗にクマさんの形に割ってくれたの。割った残りは砕いてケーキにトッピングしてあるのよ」
ケーキの上に男の子のくまと女の子のくまが乗ってて、お皿の上にもソースで可愛いうさぎとかルーリアの絵が描いてあります。オニキスも一緒に食べられたら良いのに…。
パクっ、モソモソ、パクっ、モソモソ少しずつモソモソケーキを食べます。美味しいけど美味しくない。でもせっかく料理人さんが僕のために作ってくれたんだもんね。ちゃんと食べなくちゃ。
夕方になってお屋敷の中に戻って、夜のご飯もちょっとだけ食べて、今日はお父さんが、みんな一緒に寝ようって。お父さん達が泊まってる部屋で、お兄ちゃんはお父さんと、僕はお母さんと一緒に寝ました。
この日の夜は、怖い夢はみなかったよ。朝起きてオニキスがいない事だけが一緒でした。
うん、いつまでもウジウジしてられない。寂しいけど元気にしてないと、オニキスが帰って来た時、そんな僕見たら心配しちゃうもんね。気合いを入れてベッドから出ます。
ちゃんと朝のご飯食べて、今日は朝から訓練のお部屋に。剣の練習します。
フウ達も僕の隣に1列に並んで、フウとライはパンチの練習。ブレイブとアーサーはしっぽ攻撃と、キックの練習。スノーは棒に噛み付いて噛む練習します。
僕達の練習する姿を見てイーサンさんが、笑いを堪えてたけど気にしないもんね。
「何だアレは。フウとライは何をやっているか分からんが、可愛い!!」
「イーサン、ハルトちゃん達は真剣に練習しているのよ」
「分かっています。さて、俺も練習してくるか。あ、そうそう、ペインおじさんが明日申請に行くと言ってました」
あっ、しまった! 忘れてた…。昨日申請に行くって言ってたよね。僕がウジウジしてたから、ペインおじさん待ってくれたんだ。後でペインおじさんに待たせてごめんなさいしに行かなくちゃ。
お昼まで練習して、お昼ご飯の時ペインおじさんと一緒だったから、すぐにごめんなさいしにおじさんの所へ。おじさんは元気になって良かったって、頭を撫でてくれました。
夜、僕がでる子供の競技に出ますって書類と、魔獣自慢に出ますっていう書類に、名前を書きました。家で書いて行った方が、スタジアムで書く書類が少なくなって楽なんだって。僕はお父さんと一緒に、自分のお名前一生懸命書きました。
明日はスタジアム。楽しみだなぁ。オニキス早く帰って来てね。それでみんなでスタジアムの中見学しに行こうね。