93穢れで妖精達を襲った犯人?
夜ゆっくり遊びの部屋で眠った妖精達。朝のご飯も一緒に食べて、休憩の部屋でお腹出してゴロゴロしてます。
ゴロゴロも良いんだけどね、そろそろ穢れのことお話したいんだけど。オニキスがゴロゴロは後にしろって、みんなのこと起こします。
「さて、話を聞かせてくれるか」
今までで1番真剣な顔してるレイモンドおじさん。街に穢れが入り込んでるには確か、でもそれが残ってるかは分からない。だから万が一穢れが残ってて、それが街中に広がったら大変。早めに手を打たないとって。おじさんの部下には小さな穢れだったらなんとか祓える人が居るから、小さいうちに祓っちゃいたいの。オニキスも祓えるしね。
僕は…人前ではできないからね。
妖精達が穢れに襲われた日、最初にいた場所は外の壁の門の近くでした。たくさん街に人が集まってるから、悪戯好きな妖精が集まって、街に入ってくる人達にいたずらしようとしてたんだって。
その時門の前で争う声が聞こえて、妖精達は門の所に様子を見に行きました。そこには街を守り門で検問をしている騎士達と、中に早く入れろって怒鳴ってる、よその騎士の格好した人間たちが。
その揉めてた他所から来た騎士達は、私を誰だと思っているとか、かなりイチャモンつけてたみたい。
ん? 私を誰だと思っている? それってもしかして…。
僕がオニキスの方見たらオニキスが頷いて、それからお父さんの方見たら、レイモンドおじさんと頷き合ってました。
「あの時か。あのドルサッチが揉めた時だな」
「あっ、そういえばそんな名前言ってたかも!」
「うん、そうそう!」
やっぱり争ってたのはドルサッチでした。
しばらく様子を見てた妖精達。レイモンドおじさん登場で問題が片付くと、また入って来る人達に悪戯しようって、最初にいた場所に戻ったんだって。
というか妖精達、ドルサッチを静かにさせた人が今目の前に居るけど、気づいてない?
僕がレイモンドおじさんのこと話すと、眉間にシワを寄せてレイモンドおじさんの周りをぐるぐる。そしてお手々をぽんって叩きました。やっと分かったみたい。昨日から一緒にいるのにね。
それで僕達が街の中に入ってから少しして、ドルサッチ達が街に入ってきました。あの時のレイモンドおじさん達が、ドルサッチ達のことどう対処したかはよく知らないけど、街に入ってきたときは騒いでなかったって。
でも騒いだせいで目立ってたドルサッチたち。悪戯好きの妖精達はドルサッチに目をつけて、あいつの後を追って街の中をついて行きました。
ご飯を食べたりお店でいちゃもんつけたりするドルサッチ達、悪戯のタイミングをはかる妖精達。散々街をふらふらしたドルサッチが宿に入って行こうとしました。今だと思って、妖精達が近づきました。その時。
「近づいたら、いきなり男の体の中から穢れが溢れてきたんだ」
「僕達ビックリして、すぐに逃げたんだけど」
「穢れが僕達の方に飛んで来たんだよ」
「それで僕達の羽とかに穢れがついちゃって」
妖精めがけて飛んで来た穢れ。他の人間達の方には穢れは飛んでいかなかったって。あの時間だと、酔っ払いが多くて穢れに気づいた人達もいなかったみたい。
穢れから逃げた妖精達。穢れに体全部包まれると思ったとき、急に穢れがドルサッチの方に戻って行って、体の中にまた入っていって消えたんだって。
何もなかったように宿に入って行くドルサッチ。みんなそれみてビックリしたって。もうドルサッチには近づかないようにしようって決めて、妖精の友達の中に、ちょっとの穢れだったら祓える子がいたから、すぐにその子の所に行きました。
でもいつもだったら祓えるくらいの穢れがなかなか祓えなくて、そのうち穢れがどんどん強くなっちゃって、最後には僕達が駆けつけたときくらい酷い穢れに包まれちゃったの。
「あいつ穢れが体に入っても、ぜんぜん平気なんだよ。きっと穢れを体の中で飼ってるんだよ」
「絶対そうだよ。それで自分よりも小さくて可愛い僕達のこと気に食わなくて、穢れで襲ってるんだよ」
可愛くてはなんともいえないけど、まぁ確かに可愛いけどさ、それにしても穢れを操れるなんて、そんなことできるの?
僕の考えてることはレイモンドおじさんやお父さん達ももちろん考えてて、これからは大人の話し、遊びの部屋か訓練の部屋で訓練してても遊んでても良いぞって言われたから、みんなで遊びの部屋に移動しました。何か聞きたいことがあったら聞きに来るって。
お父さん達も話し合いだけど、僕達もみんなで丸になって話し合いです。
本当に体の中から穢れが出てきたのか確認して、どんな感じに出てきたのか詳しく聞きました。
本当に溢れるように、胸のあたりから出てきた穢れは、最後は上半身から溢れ出したみたい。人間は穢れを飼えるのって言って、妖精達は僕の前に来て僕の体ジロジロ見てきます。
「オニキス、けがれからだのなかでも、だいじょぶ?」
オニキスは見たことがないって、オニキスより長く生きてるディアンもそんな話聞いたことないって言いました。
「我々の時のように、体の表面だけでもかなりの苦しみを味わうのだ。もし体の中に穢れが入ってしまったなら、意識を保つことなどできん。死ぬか穢れに体を支配され、次々と次の標的を襲っているだろう」
だよね。今までの穢れを見てたら、みんなそんな感じだよね。それなのに何でドルサッチは平気なんだろう。性格が悪いからとか? まさかね。
「お前達、溢れ出てきた穢れは、ドルサッチが命令して出しているわけではなかったんだな」
「命令? そんなのしてなかったよ。勝手に出てきたの」
オニキスが変な質問します。命令?
「昔俺の知り合いに聞いたことがある。その時は奴がオレをからかうために言ってきたと思っていたんだが」
この前マロン達のこと頼んだ森の知り合いに聞いたんだって。
僕がこっちの世界にくるずっと前、森の奥に来た冒険者が森の魔獣を傷つけようとしたんだって。オニキスと一緒に森を森の魔獣達を守ってたその知り合いは、いつもみたいにその冒険者を攻撃して追い払おうとしました。
その時驚く事が。冒険者が手を前に出してひと言、『襲え』って言ったんだって。その途端手から穢れが溢れ出して、穢れは魔獣を襲い捕まえると冒険者のもとに。その瞬間その知り合いはこいつまずい奴だと思って、攻撃するのをやめて、ほかに被害が出ないように、森の魔獣達にテレパシーを使って男の居場所を教え、近づかないように伝えました。
冒険者の後をつける知り合い。テレパシーによって魔獣達が逃げ、冒険者は魔獣を見つける事が出来ず、ちっと舌打ちして森から出て行ったんだって。
その日のうちに、森から出かけてたオニキスに冒険者の話をした知り合い。オニキスが半信半疑のまま、何日か見回りしてたんだけど、それから1度も冒険者は現れなかったみたい。
ちょっと怖い事言わないでよ。穢れを操るなんて。
オニキスはその話を僕達にしてから、1人で考え事始めちゃいました。僕達は妖精達と遊ぶ事に。
妖精達はこの遊びの部屋がとっても気に入ったって。ベッドも用意してもらったし、おもちゃもいろいろ揃ってるし、人工芝もお気に入りです。でも足りない物があるって、何人かの妖精達が何処かに出て行っちゃいました。
どれくらい経ったのか窓を叩く音が。振り向いたら窓1面に花がワサァって。慌てて窓開けたらバサァって、花が部屋に雪崩れ込んできました。
「僕達助けてくれたお礼」
「いろんな所から集めてきたんだよ。ねぇねぇあれやって!」
1匹のピンクの妖精が花の上を飛びまわって、何かの粉を撒きます。
「うん、これでいいよ。これ僕だけが作れる特別な粉。これお花にかけると枯れなくなるんだよ」
へぇ、凄いね。たくさん可愛くて綺麗な花もらえて僕とっても嬉しいよ。
そのあとはおままごとしたり、もらった花でプールのマネしたり、たくさん遊んでたらもうお昼です。それまで1度もお父さん達は僕達の所に来ませんでした。
お昼も妖精達と一緒に食べて、お父さんは妖精達に、今日はここに居てくれって言ったから、そのまま午後も一緒に遊びました。
でもその間もオニキスは何か考え込んでて、夕方頃、ディアンに僕達のこと見ててくれって言って、早から出て行きました。どうしたんだろう?