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79剣の練習、そして招待状

「にいしゃ、がんばりぇ!!」


「やぁ!!」


 う~ん。本当に毎日平和だね。街に帰って来てからちょっと経ったけど、何事もなく平和な毎日が続いてます。あ~、平和って素晴らしい。大好きな人達に囲まれた生活。本当に楽しいよ。


 このまま平和に暮らせて、もう少し、訓練ができるようになったら、僕の夢も広がるよね。

 お父さんの仕事手伝うために騎士になるのも良いし、冒険者になって旅するにも良いし。グレンに弟子入りしてぬいぐるみ作る腕上げるのも良いし。あっ、でも冒険者の方は旅しても、ちゃんとここには帰ってくるつもりだよ。

 僕やりたいことたくさん。でも今はこの小さい体を目一杯楽しもう。


 今日はいつものお父さんとお兄ちゃんの剣の訓練を見学してます。僕が帰って来てからお兄ちゃん、今まで以上に剣の練習も魔法の練習も頑張ってるんだ。そんなお兄ちゃんを僕が応援しないはずないでしょう。フウとライも粉かけて声が聞こえるようにして、一緒にみんなでお兄ちゃんを応援してるよ。


「「頑張れぇ~!」」


「がんばりぇ!」


『『キュキュイ!!』』


 フェニックスは相変わらず僕の部屋で寝てます。いつ起きてくれるかな? ディアンにこの前確認で聞いてみたんだ。そしたら黒服達の戦いで力を使い果たしたからいつになるか分からないって。でも僕の魔力が強いから側に居るだけでも、どんどん魔力が回復していってるの分かるから、案外すぐに戻ってくるかもって。そっか。良かった。


「にいしゃ! うちろ!」


「うわぁ!!」


 お兄ちゃんの剣が弾き飛ばされました。お父さんの勝ち。でもいつもより長くお父さんと戦えてたよ。僕達みんなで拍手です。


「あ~あ。負けちゃった…」


「にいしゃ、かっこいい! こう、シュッシュッって」


 ちょっとしょんぼりのお兄ちゃんをみんなで盛り上げます。そうしたらお兄ちゃん照れちゃって苦笑いしてました。

 よし僕も! 僕もおもちゃの剣を持ってお兄ちゃん達のマネします。前よりは上手く出来てると思うんだけど、どう?


 今僕が練習できるのは、おもちゃの剣の練習だけ。魔法の練習はね勿論お父さんさん達が大反対。絶対ダメだって言われちゃったから、それならおもちゃの剣でもいいから、マネっこして剣の練習しようと思ったんだ。

 この前はね、ロイ達の剣の練習見てて、僕達横でマネしてたの。そしたら練習してた騎士さん達が、何とも言えない顔で僕のこと見てきました。何? 何なの? 剣持ってる僕カッコいいでしょ! 

 と、練習を家の中から見てたお母さんとビアンカが、走って僕の所まで来て、僕のこと抱きしめました。


「な、なんて可愛いの! ビアンカ今度絵師を連れてきて、この可愛い姿を描いてもらいましょう!」


「はい奥様! すぐにでも手配を!」


 僕が止める間も無く、今度僕の練習する姿を絵にする事が決まっちゃいました。はぁ、何でこんな事に。まだあんまりカッコ良く剣が使えないのに…。

 だから今の僕の剣の練習には、・カッコよく・剣を振るっていう練習も含まれてます。でもいつもみんな可愛い可愛いって…。


 グレンとビアンカがお茶の用意してくれて、今日の練習はお終い。今日のおやつはマフィン。アイス付きです。

 おやつ食べ終わったら、僕は土遊びの道具を持って、僕達が遊んでも良いって言われた土遊びができる所に行きます。フウ達はおままごとに続いて、土遊びのが大好き。フウ達が泥団子作ると、僕の人差し指の先っぽくらいの泥団子ができて、とっても可愛いんだ。


 土遊びしてたら、使用人さんがグレンに何か持ってきました。手紙みたい。グレンがそれを確認してお父さんに渡します。今度はお父さんがそれを見て、大きな溜め息をつきました。何々? 僕達気になって、泥だらけのままお父さん達の所に戻ります。


「おとうしゃん、なに?」


「わっ! ハルトその泥だらけのまま触るな! こら、フウ達は頭に乗るんじゃない! …はぁ、頭に泥が」


 あっ、ごめんね。お父さん僕の泥の付いた手で触ったのと、ブレイブ達もお父さんの肩とか頭に泥が付いたまま乗っかったから、お父さんまで泥だらけに。

 でもそれよりも、その手紙何? なんか面倒事? せっかく今何もなくて平和に過ごしてるのに。でも…お母さん達見たらニコニコしてるんだよね。


「ハルトこれはお父さん達への招待状だ」


 招待状? お父さんがお家に入ってゆっくり話そうって言って、みんなで休憩のお部屋に移動です。お家に入る前にオニキスに浄化してもらって、綺麗にしてもらいます。お父さんも一緒に浄化してもらったよ。


 休憩の部屋に移動してソファーに座ると、お父さんが手紙を読み始めました。手紙は2枚。すぐに読み終わったお父さん。封筒の中をゴソゴソします。中から取り出したのはカードみたいなやつ。それが4枚入ってて、お父さんがお兄ちゃんとお母さん、それからグレンにカードをわたします。

 僕はお父さんの隣によじ登って、お父さんが持ってるカードを覗き見ました。


「はは、そんなに覗き込まなくても見せてやる。ほら」


 お父さんが僕にカード渡してくれました。厚手のボール紙みたなやつ。それにとっても細かい模様と文字が書いてあります。


「いいか。これに魔力を流すと」


 お父さんがカードに魔力を流すと、文字が立体的に浮かび上がりました。何これ! 面白い。僕は紙を横にしたり斜めにしたり、いろんな角度からカードを見ました。

 浮かび上がった文字は、お父さんの名前と試合のクラスが書かれてるんだって。お兄ちゃん達も魔力をカードに流します。みんなのカードにも文字が浮かび上がりました。


「わぁ、僕の名前、ちゃんと浮かんだよ。嬉しいなぁ」


「フレッドは今回初めてだからな。俺はあまり乗り気じゃないんだが」


 え? 何々? 何が初めてなの? 


「ハルト、これは大会への招待状なんだ。ルリトリアっていうシーライトよりも大きな街があるんだが、そこで2年に1度大会があってだな」


 大会にはそれぞれ種目があって、剣で勝敗を決めるもの、魔法で勝敗を決めるもの、契約魔獣と一緒に戦うもの、いろいろあるみたい。グループ戦っていうのもあるらしいです。それから男女でちゃんと別れてるから、大会はかなり長い期間開催されて、その間街はお祭り騒ぎになるみたいだよ。

 

 ちなみにお父さんは剣の部門。お母さんは魔法部門。グレンはなんと執事部門っていうのがあって、それの剣部門に。そしてお兄ちゃんは。


「僕はお父さん達みたい本格的な試合じゃないんだけど、でも、僕達ぐらいの子達が集まって、優勝した子には記念のメダルが貰えるんだ。優勝する子はほとんどみんな、大人になって凄腕の冒険者になったり、騎士になって王都で働いたりするんだよ」


 へぇ。面白そう。でも何でお父さんは乗り気じゃないんだろう? 


「おとうしゃん、たいかいきりゃい?」


「ん? ああ、嫌そうな顔してたか?」


「ハルト様。旦那様は大会が嫌なわけではないのですよ。街に居るある方々に会いたくないのです」


「ふふ。あなたも相変わらずね」


「仕方ないだろう。ああ、気が重い」


 え? 誰? 誰が居るの? 


「あのねハルトちゃん。ルリトリアにはお母さんのお兄ちゃんが居るのよ」


 おお、お母さんの家族! そっかぁ。お父さんやお母さんの家族のこと聞いたことなかったよね。普通に今の家族で全部って、勝手に思い込んじゃってたよ。そりゃお父さんにもお母さんにも家族は居るよね。おじいちゃんおばあちゃん、他の兄弟は? 今度ゆっくり聞いてみよう。お父さんがお母さんのお兄ちゃんを嫌がる理由は、きっと街に行けば分かるよね。


「ハルト、お父さん達の話しより、ハルトの話しをしなくちゃ」


 お兄ちゃんが僕の隣に座ってきて、僕のこと膝に乗っけました。


「ハルトだって大会に出られるんだよ」


 !? なんですと!? 僕も大会に出られる? その言葉を聞いた途端に、フウ達がシュババッて僕達の周りに集まります。そのせいで僕達が座ってるお父さんのソファーは窮屈に。お父さんが向こうに行けってフウ達に言ったけど、みんな無視です。フウが粉をかけてくれて話しに加わります。


 僕が参加できるのは、僕みたいに小さい子達が集まって、大会が開催されるスタジアムで駆けっこしたり、お父さんやお母さんが契約してる契約魔獣と一緒に、スタジアムの中に隠されたある物を探したり。そういうのに参加できるんだって。


「面白そう! フウ達も一緒に出られる?」


「もちろん。ハルトみたいに契約はしてないだろうけど、面白がって街の妖精集まってくるから、目立たないでハルトと一緒に居られるし、参加もできるよ」


「「やったぁ!!」」


「やっちゃ!」


『『キュキュキュイっ!!』』


 みんなで万歳します。こんな面白そうな大会があるなんて。

 

 街に行くのは1ヶ月くらい先。でもそれまでにいろいろ用意があるんだって。早く行きたいなぁ。あっ、そうだ。僕も用意しなくちゃ。グレンにお願いしてみよう。フェニックスは帰ってきてなかったら、ちゃんと一緒に連れて行くのに、入れ物がいるでしょう。僕のオニキスカバンに入れるための。

 う~ん、楽しみ!!


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― 新着の感想 ―
[一言] 更新、お疲れ様ですm(_ _)m ハルトが出れる大会ってカワイイを決める大会かな?(*´∀`*)
[一言] お疲れ様ですm(*_ _)m すっごい楽しそうにしてるけど、またハラハラの予感~( ̄▽ ̄;)
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