78ザインさんの家で遊ぼう。お礼もね。
今日はザインさんのお家に遊びに行く日です。この前遊びに行ったのはいつだったのか。1回しか遊びに行けてないよ。ルーニー君やルーリアのルイ元気かな?
僕の準備はビアンカが完璧に用意してくれたからバッチリ。玄関でお父さんを待ちます。今日はルーニー君とルイにプレゼントもあるんだよ。特別にグレンに作ってもらったんだ。階段をお父さんが下りてきます。
「何だその荷物は」
「ぷれじぇんと」
「また大きなプレゼントだな。どれお父さんが持ってやる」
お父さんが袋を持ってくれて、僕のこともひょいって抱っこします。オニキス達の上にフウ達が乗って、さぁ出発です。
今日はロイはお休みです。でもロイ僕に付いてこようとしたんだよ。まったくもう。毎日護衛じゃ大変だもん。ちゃんとお休みの日はお休みしなくちゃ。だからね僕ちゃんとお休みしないと嫌いになるよって言ったんだ。そしたらスッて自分の家に帰っていきました。
あとねディアンも留守番なんだ。留守番っていうか、この前言ってたグレン先生によるお勉強会です。グレンが許可出さない限り、お店通りとか、街の中で遊べないみたい。今は家の中かお庭だけが自由に過ごせる場所なの。だから最近のディアンはグレンのお勉強のせいでぐったりしてます。今日帰りにお土産買って帰ってあげよう。
ザインさんは僕が拐われたとき、ずいぶん探してくれたみたい。ちょっと遠い森や林の方まで探しに行ってくれたって。とっても心配してくれてたのに、僕まだ挨拶しに行けてないんだ。ありがとうと元気なところ見せなくちゃ。
そういえばサーカス団がめちゃくちゃにしちゃった広場は、団長達と関わりのなかった、サーカス団の残りの人達が、綺麗に直してくれたって。それからもう1度残ったメンバーで、1からサーカス団立て直すって言って、また旅に出ていきました。いつか立て直したら、今度こそちゃんとしたサーカスを見せるって、新しく団長さんになった人がお父さんに言ってったって。
サーカス団が戻ってくるまで、オニキスサーカス団も新しい技ができてるかもね。僕楽しみ。
ザインさんの家についてお父さんがドアをノックします。ダダダダダッて階段を下りる音がして、ザインさんがバンッ!! ってドアを開けました。そしてこの前みたいにドアが外れます。外れたドアを持ちながらザインさんがニコニコしながら出てきました。それからドアを立てかけて、僕の頭をなでなでです。なでなでっていうか力が強すぎてグイングインッて首がなっちゃったけどね。
「ハルト久しぶりだな! 元気そうで良かった! 怪我とかしてないか? さぁ、とりあえずほら家に入れ」
中に入るとザインさんの奥さんのミリーさんが、奥のお部屋から足早にこっちに向かって歩いてきました。
「はぁ、本当にハルト君なのね。おばさんとっても心配してたのよ。今日はおばさん頑張っていろいろ作ったから、お昼も楽しみにしててね」
ギュッて抱きしめてくれた後、またミリーさん奥のお部屋に戻っちゃいました。ミリーさんのお昼ご飯楽しみ。だってお菓子もとっても美味しかったんだもん。僕が遊びに行くってお父さんが伝えたら、お昼もみんなでって言って、鼻歌歌ってたってお父さんが言ってたよ。
「さぁハルト、ルーニーは自分の部屋だ…って、何だその大きな袋は」
「ああ。ハルトがプレゼントと言っていたぞ。中身は俺も知らない」
みんなで2階に行ってルーニー君のお部屋に入ったら、最初に来たときみたいにルーニー君が床の上でゴロゴロして遊んでました。ルーニー君のお腹の上にはルイが乗っかってて、ブレイブとアーサーみたいルイが、こっちに走って来ました。ルーニー君も起きて僕と一緒にこんにちはします。
「えと、ぷれじぇんと、どじょ」
僕は袋の中から包みを取り出しました。包みは2つ。僕が包んだんだよ。
ルイはブレイブ達と一緒に端っこからガリガリ包みを破いていきます。ルーニー君はザインさんと一緒に、思いっきり包みを開きました。
「きゃっきゃっきゃっ!!」
『キュキュキュ~イッ』
2人へのプレゼントはグレン作、ルーリアのぬいぐるみです。2人とも喜んでくれたみたい。ルーニー君はギュゥッて抱きしめてくれてるし、ルイは…しっぽでバシバシ叩いてるけど。オニキスが喜んでるって言ってました。
そのあとは、ぬいぐるみ離さないルーニー君に、この前みたいに車で遊んであげて、また僕の腕は筋肉痛手前。ふぅ疲れた。お父さん達は僕達のこと見ながら、今晩の話してました。どうも今晩お酒飲みに行くみたい。あんまり飲み過ぎるとお母さんに怒られるよ。
そんなことしてたらもうお昼ご飯です。ミリーさんが僕達のこと呼んだから、みんなで下に下りて行きます。そして食事の部屋で見たものは…。綺麗に飾られて並べられた料理の数々。
サラダからお肉料理に魚料理、デザートまで、もの凄い量の料理です。ハンバーグみたいな料理もあって、上にはチーズまでかかってます。
もちろん最初はハンバーグから。肉汁がじわぁって溢れて出てきて、僕はそれをフォークでひと口。
「!? !? !? おいちい!!」
「そう? 気に入ってもらえて良かったわ。おばさんの1番得意な料理なの」
これお店出せるんじゃ。食堂とかどう? ハンバーグ専門店とか、ハンバーガーなんか良いんじゃない? お持ち帰りで手早く食べられて、冒険者にぴったりじゃない? お父さんみたいな騎士さんでも、外の森の調査行くときとか持っていけたら便利なんじゃ。
この世界の人達ってサンドイッチ持っていくとか、お弁当持って行くとかないのかな? まぁその辺で魔獣調達して食べてるから良いのかもしれないけど、ちょっと出かけるだけなら、軽食持って行くのも良いんじゃないかな
美味しいご飯をたくさん食べて、もうお腹いっぱい。眠くなってきちゃったよ。お父さん達がお話してるなか、僕はこっくりこっくり。よろっ!
「危ない!」
椅子から落ちそうになった僕を、落ちる前にオニキスが咥えて助けてくれました。
「はりゅと、あぶにゃいじょ」
僕を変な咥え方してるせいで、オニキスが赤ちゃん言葉に。
「あら、お昼寝の時間かしら。ルーニーの部屋にクッション用意するからそこで寝る?」
「ああ。部屋だけ貸してもらえれば大丈夫だ。ハルトはオニキスに寄りかかって寝るのが大好きなんだ」
お父さんに抱っこしてもらってルーニー君の部屋に。入ればもうルーニー君がお昼寝中。僕はルーニー君のベッドの隣にオニキスに寄っかかってお昼寝です。フウ達もみんなでね。
僕が起きたのはちょうどおやつの時間。なんか今日は食べてばっかりな気がする。ま、でも美味しいからいっか。
おやつのケーキを食べて少しだけルーニー君と遊んで、そろそろ帰る時間です。ディアンにお土産買って帰らないとね。
「それじゃあ今日は美味しいご飯ありがとう」
「ハルトちゃん、これからもどんどん遊びにきてね。ルーニーもハルトちゃんと遊べるのとっても楽しいみたいなの。それにまたご飯作って待ってるわ」
「うん!!」
「じゃあな。ハルト送ったらすぐ来るんだろ」
「一応一緒に夕飯食べてから来るよ、じゃないとパトリシアがうるさいからな。ご飯も食べないでって」
「当たり前よ。ご飯はちゃんと食べないといけないわ。お酒だけはダメ」
お父さん達が話してるとき、僕ハッと思い出しました。お礼まだ言ってない。
僕はザインさんの前に立って、お辞儀します。
「ジャインしゃん、しゃがちてくれてありがと」
僕がそう言ったらザインさん驚いた顔して、それからにぃって笑いました。
「何だなんだ。ハルトを探すなんて当たり前だろう。それにしてもちゃんとお礼言えるなんて、やっぱりハルトは賢いな」
2歳ぐらいの子ってどれくらい理解能力があるのか分かんないな。プレゼント貰ったりしてありがとうくらいは言うだろうけど、探してくれてなんて2歳の子言わない? まぁ、ザインさん喜んでくれたみたいだから良いや。
ルーニー君にバイバイして、ディアンのお土産買いに行きます。何が良いかな? やっぱり今ディアンがハマってる、棒付きの飴かな。ぺろぺろキャンディーね。それもカラフルなやつ。なんか今ディアンぺろぺろキャンディーにハマってるんだ。毎日食べてるの。
お菓子売ってる露店の前まで行って、そのお店で1番大きなぺろぺろキャンディーと、僕達用の小さいぺろぺろキャンディー買って貰います。
お家に帰って勉強終わったディアンにあげたら、小さいドラゴンの姿に変身して、棒が付いたまま食べちゃいます。バリボリバリボリ、飴を噛む音がして最後に棒だけペッて出すの。いつもそう。飴は舐める物なんだけど…。
夜のご飯食べてすぐに出かけるお父さん。あんまり飲んで帰らないようにね。明日お母さんに物凄く怒られるよ。
あ~、なんか良いね。この何もない幸せな感じ。ずっとこのまま静かに楽しく毎日が過ぎていけば良いなぁ。
もちろん次の日。お父さんはお母さんに物凄く怒られました。二日酔いで頭が痛いお父さんに容赦のないお母さんのお説教。グレンがお父さんの仕事の時間で呼びに来るまで、ずっと怒られてたよ。