74マロン達とあの森へ
「これがフェニックスなのか?」
お父さんが最初に話しはじめました。
「そうだ。復活するのはいつになるか分からん。もしかしたら今にでも復活するかもしれんが、こればかりは我でも分からないからな。だがそれでも奴が目覚めたら契約は絶対だ」
「はぁ。そうか。ちょっといろいろ話をまとめさせてくれ」
僕やオニキス達以外みんなが話し合い始めました。僕はソファーがまた斜めにならないようにソファーには座らないで、オニキスに寄り掛かって話し合いが終わるの待ちます。待ってたんだけどね…。うん。寝ちゃったよ。だって家に帰ってきて、もう心配すること何も無いんだよ。こんなにゆっくりしてるの何日振り? しかも僕はちびっ子。起きてられるはずないよ。
気付いたら僕の部屋にいて、窓から朝の光がさしこんでましたえ。僕のベッドにみんなが重なりあって寝てます。オニキスとディアンは、ディアンがオニキスに寄り掛かって寝てました。
僕が起きたのに気付いてオニキスも起きてベッドに近寄ります。オニキスが起き上がったときディアンが床に頭ぶつけてました。ゴンッ! って大きい音してたよ。うう…痛そう。
起きた僕にオニキスが僕が寝ちゃった後のことお話してくれました。
あの後お父さんは、ディアンとフェニックスが僕と一緒にいることを認めてくれたって。でもディアンはこれからグレンが一般常識覚えるまで毎日勉強で、それが終わらないと僕とお外で遊ぶのは禁止だって。
その話してたときディアンはとってもブツブツ文句言ってたけど、僕もそれは賛成だからね。もし勉強しなかったら僕ディアンとお話も遊びもしないって言ったら、渋々頷いてました。なんかしょんぼりしちゃったから、今日はおやつ僕の分少しあげようかな。少しだからね。
それからフェニックスの方は、僕の部屋の机の上に、可愛い入れ物が置いてあって、その中にフェニックスの羽が入れてありました。この入れ物ビアンカが用意してくれたんだって。
お父さんがねフェニックスが戻ってきたら、どうやって誤魔化すかって悩んでたって聞きました。う~んそうだよね。あんなに綺麗なフェニックス。お店通りとか連れて行ったらすぐにバレて大騒ぎになるよ。
「確か奴はあれが出来たはずだが…、次のフェニックスが出来るとは限らんからな」
ディアンがなんかボソって言ったけど、何? 何が出来るの? ちゃんとそういうのは言わなくちゃダメだよ。
「いや前の奴ならば、我と同じで体の大きさを変えられた筈だ。小さい鳥になって街に遊びに行って酒を飲んできたと話を聞いたことがある。どうも酒が旨かったらしく、何度も街に遊びに行ったと言っておったぞ」
鳥ってお酒飲んで良いの? てかそんなにお酒に強いの? でもディアンのお話が本当なら、ルティーみたいに小さい綺麗な鳥ってことでなんとかなるかもね。でも戻ってきてくれるフェニックスがそれ出来るとは限らないけど…。もしダメだったら他の方法考えなくちゃ。
後はマロンたちのこと。これはオニキスがまかせろってお父さん達に話してくれたみたい。お父さんはあの森でのこと知ってるから、マロン達のことはオニキスに任せるって言ったみたい。それでマロン達は今日森に連れて行くって。
それで僕達もあの最初の家に行くって言ったら、お父さん達もついてくるって言ったみたいです。心配だからって。だから今日はお父さんグレンそれからロイとリスターみんなで森に行きます。なんか大人数になっちゃったよ。
でも…ふう。僕が寝てる間になんとか話がまとまったみたいで良かった。
起きてから少ししてビアンカが僕のこと起こしに来てくれました。
「あら、もうお目覚めになられていたのですか。ハルト様をここへお迎えに来るのはとても久しぶりでとても嬉しいです。さぁお着替えを済ませて朝食に参りましょう」
ビアンカに洋服着せてもらって、みんなでぞろぞろ移動です。ドアを開けてもらって中に入ったら、お母さんが抱きしめてきました。
「良かった。ハルトちゃんちゃんと居るわ。もうお母さん心配で。だって今までずっとハルトちゃん居なかったんですもの。おはようハルトちゃん!」
最初心配な顔してたお母さん。最後はいつものニコニコ顔でおはようです。お母さん見てお父さん見てお兄ちゃん見てみんな見て。全員がニコニコです。ああ、本当に僕帰って来たんだね。僕は大きな声で朝の挨拶。
「おはよごじゃいましゅ!!」
僕ご飯食べてる最中ずっとニコニコでした。でもそんなにゆっくり食べてもいられません。だってマロン達の所にいかなくちゃ。久しぶりの家のご飯、とってもおいしかったです。ゆっくり味わいたかったけどそれは夜のご飯にね。
それから僕ね、グレンがついてくるって聞いてから、あること考えてます。僕それも楽しみでニヤニヤしちゃってたら、お父さんに変な顔してどうしたって言われちゃったよ。でもねこれはきっとグレンじゃないと出来ないことなんだよ。グレン僕のお願い聞いてくれるかなぁ。
みんなが準備終わって、マロン達が待ってる場所まで出発です。まさかみんなでオニキスに乗って行くわけにも行かないからね、みんなで馬に乗って移動です。僕はお父さんと一緒に馬に乗ってます。久しぶりのお父さんと一緒。オニキスにはディアンが乗りました。
「なんかこの窮屈な感じ、久しぶりでいいな。ハルトが居るって感じだ。」
そうだよね。僕の両肩にはフウとライ。それからブレイブとアーサーが好きなように一緒に馬に乗ってます。お父さんの頭の上にも乗ったりするしね。これだけ乗ってたら窮屈に感じるよ。
馬に乗って移動したら、やっぱりオニキスに乗って移動してたときより時間がかかりました。それでもお昼頃までにマロン達の所に着きました。
「マロン!!」
「ハルト!!」
僕はマロンにギュウって抱きついて、マロンは僕にじゃれついて僕はコロコロ転がります。
「おいあれ本当に大丈夫なんだろうな」
「ああ大丈夫だ。戯れてるだけだ。おいハルト! なにか頼むことがあったんじゃないのか」
オニキスに言われてハッとしてお父さんの所に戻ります。もちろん僕の隣にはマロンが。マロン達のことお父さんに紹介したら、マロン達みんながお父さん達の所にきてごめんなさいしました。
「ごめんなさい。ハルト連れて行っちゃって」
「すまない」
「ごめんなさいね」
「いや、こちらこそ人が迷惑をかけた。同じ人として謝罪する」
おお、なんかお父さんカッコいい! お父さんのせいじゃないのにしっかり謝るお父さん。黒服達に見せてやりたいよ。
ごめんなさいが終わったら早速グレンにお願いです。お父さんがマロンやオニキスとお話してる間にお願いしなくちゃ。時間ないし。
「グレン」
「なんでしょうかハルト様」
「あの、おねがいありゅの」
「?」
僕のお願い。グレンにしか出来ないこと。それはマロン達のぬいぐるみ作ってもらうこと。なんでも出来ちゃうグレンだからお願い出来るんだよ。だってオニキス人形作ってくれたし。
僕の絵お願い聞いたグレンがどの魔獣作って欲しいのか聞いて来ました。
「えと、マロンとマロンのおとうしゃんおかあしゃん。しょれからあのモンキーしゃんと、しょれから…。」
僕は作って欲しい魔獣を指差します。グレンがメモとってわかりましたって。
「ちゅくってくれりゅ?」
「もちろんですとも。ですが少々お時間をください。数が多いですからね」
やった~! ありがとうグレン!! 僕はグレンに抱きついてありがとうします。と、ちょうど話し合いが終わったのかお父さん達が戻ってきました。
それで話し合いの結果、夜になったらディアンに乗ってみんなで移動することになりました。多分泊まりになるって分かってたお父さんたち。野営の準備もバッチリしてきてました。夜になって目立たなくなったら僕達が暮らしてた森に出発です。それまでは…。
「マロン!!」
「ハルト」
「キッキィ~!」
みんなで遊びます。あの森だったらきっといつでも遊びに行けるけど、遊べるうちにたくさん遊んでおかなくちゃ。
「なぁオニキス。分かってはいるんだが、あれは本当に戯れているだけなんだよな。俺にはどうしてもハルトが襲われているようにしか見えないんだが」
「安心しろ。あれはまだいい方だ。戯れすぎて興奮するともっと凄いぞ」
「そうか…はぁ」
夕方になって暗くなる前にみんなでご飯食べました。今日も夕飯は外になっちゃったから、家のご飯を味わうのは明日かな?
でもみんなとご飯食べると楽しいよね。もちろん魔獣達のご飯は魔獣達とディアンが、魔獣捕まえてきたんだけど、それ見てお父さんとリスターが驚いてました。ロイはもう何回も見てるから慣れてるよね。グレンは…いつも通りでした。捕まえてきた魔獣見てもああって感じ。
ご飯を食べて僕はちょっとだけ仮眠して。夜中、いよいよ森にむかって出発です。