72説明開始!!
「ハルト夕飯だぞ。起きろ」
「すうすう…。」
「ハルト」
「ダメそうね。部屋に連れて行ってあげましょう」
誰? 眠いんだから起こさないで…。
「戻ったぞ。ん? ハルトはどうしたんだ?」
僕はハッと目を覚ましました。僕のこと抱っこするお父さんと隣にはお母さんが立ってます。他にもお兄ちゃんやグレンやロイにリスター、それからドアの所にオニキスが居ます。ディアン達はソファーに座ってお菓子食べてました。よく見たらここ休憩室でした。そっか僕いつの間にか寝ちゃってたんだ。
「ハルト起きたのか? 寝てて良いんだぞ」
ダメダメ我慢しなきゃ。だってこれからディアン達のお話するんでしょう。僕達の新しい家族なんだからちゃんと紹介しないとね。てかディアン達の前に置いてあるお菓子の袋の量、僕がちょっと寝ちゃってる間にどれだけ食べたのさ。
お父さんに下ろしてもらって、僕は机に置いてあったオニキスカバンを抱っこしてソファーに座ります。フェニックスのこともちゃんとお話しないと。僕の隣にはフウ達が座って、横にそれぞれオニキスとディアンが。ソファーの後ろにはロイが立ちます。お話し合いの始まりです。
まずはロイが僕が拐われてからのこと半分まで説明してくれました。団長のこと黒服達のこと、どこまで僕が連れて行かれたかとか詳しく話してくれました。完璧な説明だよ。ロイの説明にお父さん達は口を挟まず話を聴いてました。
ロイが話してくれたのは僕が拐われて閉じ込められて、マロンが見張りに来たところまで。もちろんまだマロンの名前は出てません。オニキスが1歩前に出て、
「ここからはオレが説明する」
って。ここからが本当のお話し合いです。
「まず、見張っていた魔獣、ハルトを拐った虎魔獣だが。オレがさっき一緒に帰ってこなかっただろう。ハルトの友達が森に居ると。虎魔獣達が森にかくれているんだ。名前はマロン、ガーディー、ラナ。他にもたくさん魔獣が隠れて俺達を待っている。」
「なんだと!!」
お父さんが大きな声上げました。そりゃあそうだよね。僕を拐った魔獣が隠れてるなんて聞いたらそうなるよね。オニキスがマロン達の話を詳しくお父さん達に話してくれます。マロン達がどうして団長達のいうこと聞いてたかとか、なんでそういうことになったのかとか詳しくです。
最初怖い顔して立ってたお父さん。話聞いてるうちにドカッてソファーに座りました。少し普通のお顔に戻ったかな。やっと僕達があの建物から逃げるところまで話が終わりました。
「そうか。それで逃げられたのか。だがそれにしてもよく、逃げた後に団長やその全身黒尽くめの奴らから逃げられたな。誰も追ってこなかったのか?」
あ~、やっと逃げるところまでオニキスが話したけど、だいぶ大事なところ抜かして話したから…。
「もちろん黒服共は我々を追ってきたぞ。今からその話をする。だがその前にお前達に言っておくことがある。これから話すことはきっとお前達にとっては、かなり衝撃的なものだ。覚悟しておけ」
「そんなにか? そうなのかロイ?」
「言葉をなくすか、叫ぶかと……」
「………嫌な予感しかしないんだが」
オニキスがすぐに話し始めると思ったんだけど、何か考え始めて少しだけお話が途切れました。何考えてるんだろう。ちょっとして顔を前に向けたオニキス。1番面倒なこと先に話すって言いました。話すってディアン達のこと最初にお話しちゃって大丈夫? お話の途中でそれとなくお話した方が良いんじゃない? そう思ったけど話すのはオニキスだもんね。僕がお話するわけじゃないから全部オニキスにお任せです。
「いいか。俺達が建物から逃げて向かった先は、火山地帯の出口じゃない。奥へと進んだんだ。そしてそこにはある生き物が居た。1匹はスノーのようにハルトと波長が合った生き物。もう1匹は波長までは合わなかったが、それでも最終的にハルトと心を交わした者だ」
「まさかドラゴンが居たなんて言うんじゃないだろうな……」
オニキスも僕もロイも動きが止まりました。お父さん凄い。話ちょっと聞いただけでドラゴンって当てちゃったよ。ビックリして僕止まっちゃいました。そんな僕達を見てお父さんのお顔が引きつります。グレンも珍しくちょっと驚いた顔してました。お母さんは…、なんでだかニコニコしてたけど。
「おい、本当にドラゴンなのか。まさかそのドラゴンが団長達を倒して、ハルトと契約して、森に隠れてるなんて言うんじゃないだろうな」
お父さんの言葉にオニキスがお顔を軽く振ります。うん隠れてはいないね。隣に居るけど。お父さんが安心したようにふぅってため息ついて、ソファーに深く座りました。ちょっと後ろ見たらロイが凄い汗かいてます。
その時僕の隣に立ってたディアンが、さっきのオニキスみたいに1歩前に出て、軽い感じで自己紹介しました。
「我の名前はディアン。ハルトに名前をもらった。家族になったのだ。もう1匹はまだだが、其奴もここで世話になる。お前達はハルトの家族だ。ハルトの大切な人間はまとめて守ってやる。安心するといい」
突然の自己紹介にお父さん達がはて? ってお顔してます。そりゃあそうでしょう。今までドラゴンの話してたのに、突然ドラゴンだけど人の姿してるディアンが自己紹介したら、なんだこの空気を読めない人間はってなるよね。
お父さんが人間だと思ってるディアンに、紹介はもう少し待ってくれって。そしたら今度はディアンがはて? ってお顔になりました。それでオニキスに聞いてきます。自分は何か間違ったのかって。うん間違ってないよ。お父さんもディアンもね。
オニキスがディアンにこっそり、お父さん達ディアンがドラゴンって気付いてないって教えました。ああって頷くディアン。
「ああすまない。紹介が足りなかったようだな。我はファイヤードレイクのディアンだ。どうだハルト、これで完璧だろう」
………完璧って? 見て。お父さん達完璧に固まってるよ。さっきまでニコニコしてたお母さんまで真顔になっちゃってる。それ見てディアンまだダメだと思っちゃったみたい。フェニックスのことまで話しちゃいました。
「む? まだ足りなかったか? そうかもう1匹の方の紹介が足りなかったか。もう1匹。まだ復活はしていないが、ハルトの家族になるためにフェニックスが復活の証をハルトに渡してある。奴が復活したならば奴もここで暮らすことになる」
あちゃ~ってお顔のロイと、固まったまま全然動かないお父さん達。おろおろする僕に家族家族って喜ぶフウ達。オニキスは溜め息です。そんななか、最初に復活したのはお父さんでした。ガタッて立ち上がって机をバンッ! 体を机から乗り出すようにしてオニキスに、
「いったいどういうことだ!」
って。その声でお母さん達も復活しました。
「ドラゴンなのよね。私には普通の人に見えるのだけど」
お母さんがそう言った時でした。僕の横でガキィィィィィっ!! って音がしました。振り向くと僕の隣にはディアンのほかにグレンが。グレンがいつもの自分の剣でディアンに斬りかかってて、それをディアンが片手でかる~く止めてました。
目をカッと開いてもう1度攻撃しました。多分ね。僕が次に見たのは、ディアンがもう片方の手で剣をまた軽く止めてるところ。それでグレンがこれもダメかって言ったの。きっとグレン攻撃したんだろうけど、その動きが早すぎて、僕ぜんぜん分からなかったんだよ。
「ほう、人間にしてはいい攻撃をする」
と、グレンが飛ばされて壁にぶつかりました。ディアンが吹き飛ばしたみたい。慌てて僕とオニキス、ロイが止めに入ります。
「グレンやめて! ダメダメ!」
「ディアンもやめろ。ハルトが隣に居るんだぞ。怪我したらどうする。それにグレンもやめろお前じゃ勝てないぞ。家が壊れてもいいのか?」
ロイが2人の間に入って2人がこれ以上戦わないようにします。ディアンが僕のこと抱っこして、頭なでなでしてきました。そんな僕達を見てお父さんがオニキスに確認します。本当にドラゴンなのかって。オニキスが何回も頷いたらお父さんはふらふらソファーに座りました。
「本当に本当なのか? ただの強い人間じゃないのか?」
「お前たち間違っているぞ。我はただのドラゴンではない。ファイアードレイクのディアンだ。その辺のドラゴンと一緒にするな」
「………そういえばさっきそう言っていたな。はあぁぁぁぁぁぁ。」
お父さん大きな溜め息です。お父さんディアンのことでいっぱいで、ディアンがフェニックスのことポロって話しちゃったこと忘れてるよね。こんな大変な話し合いがこれからまだまだか…。僕もちょっとだけ溜め息だよ。はぁ。