69マロン達のお家。そして…。
「俺たち家族や、俺達と同じ森にいた魔獣は、元の森には帰れないんだ」
えっ? どういうこと? オニキスが詳しくガーディーお父さんに聞きます。
今ここに居る魔獣は、何匹か途中で黒服達が捕まえてきた魔獣達もいるけど、ほとんどが同じ森か、近くの森に住んでたんだって。
でも黒服達がガーディーお父さん達を捕まえに来たとき、住処やみんなが集まる水辺とか、手当たり次第破壊したみたい。脅しだったんじゃないかってガーディーお父さんが。もう森には戻れないと思わせるために破壊したって。
「だから俺達にはもう帰る場所がないんだ」
なんて酷いことするの! こんな可愛いマロン達の住処の森を破壊するなんて。それにそんなことしたら捕まらなかった魔獣達まで、その森に住めなくなっちゃうじゃん。
「だからお前達が街に行っている間に、皆で話し合ったんだ」
もしこのままディアンに乗せてもらえるなら、僕が家に帰るまでの間にどこか良さそうな森か林を見つけて、そこで新しい生活を始めようって話でまとまったみたい。僕がオニキスが帰ってくるか心配してたとき、後ろの方でガーディーお父さん達ががガウガウキィキィ煩かったの、あれねこれからの相談してたんだって。ガーディーお父さん達人間の言葉じゃなくて鳴き声で話してたから、そんな大事な話してるなんて知らなかったよ。
「本当にそれで良いのか? お前の言う通り新しい森に住むとして、元から居る魔獣達と争いが起きないとは言い切れないぞ」
「分かっている。なるべく元から居る魔獣達の邪魔はしないようにするつもりだ。しかしもしも縄張り争いが起きたなら戦うだけだ。家族のため、ここに居る魔獣達のために」
せっかく黒服や団長達から逃げられて、これから家族や仲間でゆっくり暮らそうとしてるのに、縄張り争いなんかして怪我したらどうするの。そんなのダメだよ。どこかに森で暮らす魔獣達みんなが仲良しで、楽しく幸せに暮らせるような森ないかな? ほら、子ファング達が暮らしてる僕やオニキス達が最初に暮らしてた森とか…。
ん? 僕達が暮らしてた森? そうだよ!! みんなが仲良しの森あるじゃん!
「オニキス、ぼくたちがいたもり、みんななかよし。マロンよりょこぶよ」
「!! そうか。俺達が暮らしてた森なら」
オニキスが森の事説明します。森の広さとか、そこで暮らす魔獣のこととか。フウ達は僕達の最初のお家があることや、そこでたくさん遊んだこととか、楽しいことのお話ばっかりしました。
それ聞いて最初に飛びついたのは、もちろんマロンと子魔獣達です。当たり前だよね。確かに穢れのことはどこでも発生するしそれで色々問題が起こるけど、それは仕方がないこと。その問題さえ気をつければ、あの森はみんなが幸せに楽しく暮らしてる森なんだから。
「お父さんボク、ハルト達が居た森に行きたい。だってもう前にいた森で暮らせないんでしょう。湖の所で走り回れないんでしょう。じゃあじゃあハルトが教えてくれた森がいいよ」
「確かに良さそうな森だが、全員がその森に行っても本当に大丈夫なのか?」
「大丈夫だろう? あの森は比較的縄張りもちゃんと分かれている」
僕はそのへんあんまり良く知らなかったけど、今のあの森で1番力のある魔獣はあのファング達みたい。確かに他の魔獣達よりも力持ってそうだったよね。それに僕があった他の魔獣達はファング達よりも弱そうだったし。まぁ、森の奥の方は僕にもフウ達にも危ないからって行かなかったけど。
「大丈夫だ。森の奥に行かなければ平和な森だ。森の奥以外はファング達が見張っているからな。ファング達に頼めばお前達の縄張りがこの辺だとか決めてくれるだろう。森の奥に1匹面倒な奴がいるが、基本魔獣達のことを1番に考える奴だから気にするな」
そういえばオニキスが穢れで苦しんでる時どこかに遊びに行ってて、オニキスの穢れ祓ってくれなかった魔獣が居るって。その魔獣さ、確かに弱い魔獣の事とか考えてくれてるみたいだけど僕何となく心配だよ。まぁオニキスが大丈夫って言うんだからそうなんだろうけど…。
僕が考えてること分かったのか、オニキスがお顔すりすりしてくれて大丈夫だって。だって苦しんでるオニキス治してくれなかったんだもん。
「もし本当にあの森にガーディー達が行くのであれば、俺がちゃんと奴と話をするから心配するな」
本当? ちゃんとお話してね。マロン達のことなんだからね。
ガーディーお父さん達大人魔獣達が話し合い開始です。そして少しの話し合いのあと、あの森に行くことでみんなの意見がまとまったって。ふう。これであとはオニキスがちゃんとお話してくれて、何事もなくあの森まで行ければ完璧だね。
「オニキス。今話していたのはハルト様が見つかった森のことか?」
今まで静かにみんなの話し聞いてたロイが、オニキスに話しかけてきました。
「そうだ。ガーディー達の住む所にはピッタリだからな」
「そうか…。住む場所が決まったのはいい事なんだが、そこまでどうやって行くつもりだ。あの森に行くまでに大きな森も林もない。ディアンが飛んで運べば大騒ぎになるぞ」
あっ!! 大変! 大問題だよ。今はあんまり人が来ないところや居ない所飛んで運んで貰ってるから良いけど。う~ん。歩いて行く? でもそれでもみんなで道をゾロゾロ歩いてたらやっぱり大きな騒ぎになっちゃうよね。どうしよう…。
僕達がうんうん悩んでたら、ディアンが僕が住んでる街から森までどのくらい離れてるのか聞いてきました。僕達が最初にご飯食べて休憩してたところから、オニキス達が地図とか手に入れてきた街よりも近いってオニキスが言ったら、
「ならば行きだけでも良い。我が暗闇に紛れて飛んで運び、帰りも飛んで帰ってくればいい。その距離ならばほとんど時間はかからない。」
「だからそれが問題だと。人間に見られれば、ハルト達が大変な目に合うんだぞ」
「いいかオニキス。お前の風結界をもっと濃く張ることはできるか?」
「できるがそれがどうした」
ディアンがやってみろって。オニキスがどんどん結界を濃く張っていきます。オニキスの風結界の色は今、薄い白色だったり薄い緑色だったり。でもねオニキスが濃く結界を張り始めたら、濃い白色と緑色それから灰色が混ざって来ました。それで最後は暗い灰色みたいになったんだ。
「はぁ、これが限界だが……」
オニキスがぜぇぜぇしてます。
「この色の結界ならば、暗闇の中ならば目立たないのではないか?」
「!!」
「あとはお前がどれだけこの濃い結界を維持できるかだが…。お前達が暮らす街から森までを行き来するくらいならばもつだろう?」
「疲れるがな…。もう解くぞ」
元の薄い結界に戻ります。はぁはぁしてるオニキスのことなでなでしてあげます。でもこれで問題解決だね。
「じゃあオニキス達が街の近くに行った時も、それやれば良かったのにね」
ってライが。オニキスもディアンもロイもみんな静かになっちゃいました。ライ、それ言っちゃダメだよ。みんな気づいてなかったんだから。とにかくこれでいろいろ何とかなりそうだね。
これからの予定です。まずシーライトに1番近い森まで行きます。そこからまず僕達が街に戻ってマロン達は森で待機。お父さん達にいろいろお話して、何時ごろ帰るか、お話がどれくらいかかるか分かんないけど、夜になったらみんなで森に移動。オニキスが森のみんなにマロンの事説明。こんな感じです。
予定が決まってから5日目。ついにシーライトに1番近い森に着きました。マロン達にはここで少し待っててもらって、僕とオニキス達とロイで街に帰ります。僕はオニキスに乗って僕にフウ達が乗ってスノーは僕が抱っこ。隣をディアンとロイが歩きます。あとちょっとでシーライトに、僕達の2番目のお家に帰れます。
ちょっとドキドキ。お父さん達どうしてるかな? 僕のこと待っててくれてるかな? もしかもう僕のこと居ない者だと思われちゃってたら? なんかちょっと不安になっちゃったよ。優しいお父さんとお母さんとお兄ちゃん。グレンとビアンカ。そんなのこと思うはずないの分かってるけど…。
そしてついに。シーライトの街の壁が見えてきました。