67帰る準備
これからのこと詳しくみんなで話し合う前に、とりあえずは火山地帯から離れることからってことで話がまとまりました。
オニキスがディアンに僕達が魔法なしで安全に休めるところがないか聞いたら、ここからディアンがほんのちょっと飛べば火山地帯は終わって広い森に出るって。本当にすぐだからみんなに乗れって言いました。
乗る。まさかドラゴンの背中に乗れるなんて。ディアン大きいから僕達やマロン達、それに他の魔獣が乗っても全然平気だって。
「はいはい! ぼくしぇんとう!」
僕嬉しくて思わずぴょんぴょん跳ねちゃったよ。ディアンが伏せしてくれて乗る順番に並びます。でもねディアン伏せしてくれたけど、ディアンの爪位の大きさの僕に1人で乗れるわけない。オニキスに咥えてもらって背中に乗ります。スノーは僕が抱っこしたよ。乗ったあとはトコトコあるいても先頭に。オニキスがロイも咥えてくれました。フウとライは飛んで自分で乗れるし、ブレイブとアーサーは木登りみたいに上手にディアンの体使って登ってきました。
次々に魔獣が乗ってきます。マロンが僕の隣に座りました。
「えへへ。僕ハルトの隣」
もう片方の隣でオニキスがフンって鼻鳴らします。マロンの背中にブリザードモンキーの双子が乗りました。僕の後ろにロイとガーディーお父さんとラナお母さん。その後ろに次々にみんなが乗って座ります。
「全員乗ったな。オニキス風魔法で結界を張れ。風で飛ばされないようにな」
「分かった」
そうね。ディアンが飛ぶんだから僕達飛ばされる可能性もあるよね。風を防ぐのに風魔法って面白いね。オニキスが結界はって、ブリザードモンキーも弱まってきた雪の膜をもう1度強化していよいよディアンが飛び立ちます。
ふわっていう浮遊感のあとにブワッて空に舞い上がりました。
「ふわわわわ!! しゅごい!」
高く舞い上がるディアン。火山地帯が広がってて今のところそれしか見えないけど、 もうねすごく良い眺め。でもその景色もゆっくり眺めていられません。だってディアンが1回羽ばたくだけでかなりの距離進んじゃうからすぐに景色が変わります。ちょとだけ残念と思ったけど、早く離れたいっていう気持ちもあるし。今度ゆっくりまた背中に乗せて飛んでくれないかな?
多分結構距離があったと思うけど、ディアンが飛んでくれたおかげで本当にほんのちょっとで森に着いちゃいました。森の中にちょっとだけ開けてる所があってそこにディアンが降りようとしたとき、ロイがディアンのこと止めました。
「ちょっと待ってくれ。すまんがもうひと羽ばたきだけしてくれないか? あそこにちょっとだけ見えているのが街なのか確認したいんだ」
ディアンがもう1回だけ羽ばたいて、ロイが見つけた所確認したら、ロイが言ったら通り街がありました。開けた所に戻って下におります。
みんなが背中から降りて安全を確認したら、これからのこと詳しくお話し合いです。と、その前に、僕のお腹がぐるるるるって。だって僕木の実ちょっとしか食べてない。お腹空いちゃったよ。そしたらみんなもお腹空いたって、まずはご飯食べようって話になりました。
ガーディーお父さん達や他の魔獣達が別れて食べ物探しに行ってくれます。待ってる間、ロイとオニキスそれからディアンが何かお話してました。
少しして戻ってきたガーディーお父さん達。うん、凄いや。木の実も魚もそれから大きな魔獣達は狩りもしてきたのね。狩りしてきた魔獣が僕にお肉くれたけどさすがに生のお肉はね。火の魔法使える魔獣がカリッと焼いてくれたから、ついでに魚も焼いてもらって食べました。
「ハルト、久しぶりにまともなご飯を食べるんだ。あまりお腹いっぱい食べるな。お腹を壊すぞ」
「うん! もぐもぐ、もぐもぐ」
「なんかその会話聞いてるとオニキスはハルトのお母さんみたいだな」
ってロイがじぃーって僕達見ながら言いました。だってオニキスお母さんだもん。最初に暮らしてた森に居るときからそうだったし。
みんなたくさんご飯食べてお腹いっぱいで、僕達お腹上にしてゴロゴロです。マロンも僕の隣でゴロゴロ。他の小さな子魔獣もゴロゴロ。でもさすが大人組。お腹いっぱいでちょっとゆったり座ってるけど、周りの警戒を怠りません。
う~。お腹いっぱいで眠くなってきちゃった。これから大切なお話し合いしなくちゃいけないのに…。
僕いつの間にか寝ちゃってて、起きた時にはこれからの事、かなり決まっちゃった後でした。
(オニキス視点)
お腹がいっぱいになって寝てしまったハルト。他にも子魔獣達の何匹かが寝てしまっている。仕方ないだろう。ここまでかなりの魔力と体力を使っている。疲れていて当然だ。そんなハルトを見ているとロイが近づいてきた。
「オニキスさっきの話しだが」
俺は頷きガーディーや他の魔獣を集めた。他の起きていた子魔獣達も皆すやすや寝始めている。そんなハルトと子供達が寝ている間に、1つやってしまいたい事があり皆を集めた。
皆が餌を探しに行っているときロイに言われたのは、さっき見つけた街に行きたいというものだった。あの街へ行き今いる場所が何処なのか確認をして、帰り道を確実にしたいと言ってきたのだ。
だがあそこまで行くのにロイだけで行けば何日かかるか分からないし、俺が乗せて走ったとしても時間がかかり過ぎる。ディアンに乗せてもらい行ってもいいが、近付き過ぎて街の人間に見られるのもまずい、となかなか話しがまとまらなかったが。
確かにロイの言う通り、ここが何処なのか知ることはとても大切なことだと。闇魔法で移動してしまったからな。どれだけ家から離れているか確認しなければ。
結局ディアンに俺とロイが乗り、さっきよりももう少しだけ街に近づいたらそこで降り、ディアンにはその場で待機してもらう。そしてそこからは俺がロイを乗せ街まで走りいろいろ情報を集め、またディアンの所に戻り背に乗り帰ってくる。と、いう感じで話しがまとまった。
ガーディー達にハルトのことを頼み、すぐに出発する。予定通りすれすれまで近寄り、ディアンが隠れられそうな場所を見つけるとそこへ降りた。ここからなら俺の足の速さなら1日とちょっとで戻って来れるだろう。
「よし!しっかり掴まっていろ。飛ばすぞ。ディアンはここで待っていてくれ。それにしてもディアンのことは後で考えないとな。その体じゃずっとハルトの側に居るのは難しい」
「その事なんだが、まあそれはお主達が帰ってきてから話す。早く行け」
よく分からないがそう言われて走り出した。風魔法で結界を張り、ロイが落ちないように気をつける。早く終わらせてハルトの所に帰らなければ。
俺が考えた通り半日で街まで着くことができた。かなり大きな街でシーライトと同じくらいの街だ。外壁をくぐりすぐの所にバイルトイアと看板が立っていた。
「やはり俺の思っていた街で間違いないようだ。火山地帯の1番近くにある街バイルトイア。冒険者ギルドに行って地図をもらってこよう。それとハルト様に必要な物を買って戻ろう。何、金ならあの崩れた家でだいぶ拾ったからな。お前も欲しいものがあれば言え。次はいつ街に行けるか分からないからな」
ロイの後ろについて歩きまずはギルドで地図を手に入れた。すぐに地図を見てどれだけ移動しなければいけないか確認する。ロイが言うには人間が普通に歩けばかなりの時間がかかるらしい。20日は絶対にかかると言っていた。ここはそんなに離れた場所だったのか。が、俺達にはディアンが居る。奴に運んでもらえばかなりの時間短縮になるはずだ。
地図の確認を終え、次はハルトの買い物だ。一応食糧も買い込む。人間がよく食べると言われる保存食だ。俺達魔獣はいざとなったら食べられるものならなんでも食べる。それが多少危ないものでもだ。が、ハルトはそうはいかない。そのための人間用保存食だ。
食糧を買ったら次はハルトの洋服を買った。洋服の汚れや歯磨きについては俺が浄化をかければ良いが、いろいろあったからな。洋服が所々切れてしまっている。俺はハルトが喜ぶからと言って、騎士が着ているような洋服を買わせた。
あとは車のおもちゃを2個と小さい俺の形をしたぬいぐるみ、それと絵本を1冊買って、それを全てロイが買った大きなリュックの中に入れる。
最後に怪我や具合が悪くなったとき用に、人間用の薬を買い買い物は終わりだ。俺は別に欲しい物はなかったため、フウやライ、スノーにブレイブやアーサーのために、大きなタオルを買って貰った。みんな包まるのが好きだからな。
買い物も終わりすぐに来た道を引き返す。予定よりずいぶん早く戻れそうだ。あとは、ディアンの問題が残っているが、どうやらそれについては奴に考えがあるようだからな。さぁ、ハルトの所へ戻ろう!