66ディアンのお別れ。そしてオニキスカバン
「ハルト。その羽はどうやって持っているつもりだ?」
僕が落ち着いたの確認してオニキスが話しかけてきました。あっそうか。このまま手で持って歩くわけに行かないよね。何か入れ物…。入れ物で僕思い出しました。僕のオニキスの顔の首掛けカバンは? 僕サーカス見てたとき首から下げてたでしょう。それに僕の剣! どこにいっちゃったの?
「オニキスぼくのかばんどこ? けんもない……」
「剣はハルトが拐われている時に落としたのを見た。俺は追いかけるのに精一杯で置いてきてしまった」
そっか。じゃあしょうがないよ。だってオニキス達僕のこと一生懸命追いかけてきてくれたんだもん。ん? じゅあカバンは?
「カバンはここへ来た時、あの団長がどこかへ持って行ってしまったんだ。おそらくロイの剣と同じ場所に置かれているか、捨てられてしまったか…」
そんな?! あれ僕大好きだったのに。僕がもの凄い勢いでしゅんってしてたら僕の後ろで声が聞こえました。僕の知ってる声。僕はパッて振り返ります。
「マロン!!」
僕は羽を落とさないように、ロイに持ってもらってからマロンにかけ寄ります。マロンも僕に駆け寄って来て僕はマロンに抱きつきました。
良かった! あんなに酷い怪我してたのに、ジャンプするみたいに走りながら僕の方に来たマロン。お腹のところ見たけど怪我の跡も残ってません。フェニックスみんなを治してくれてありがとう! マロンを助けてくれてありがとう!
ギュウって抱きしめて少しの間興奮してた僕。マロンがお腹出してそのお腹をわさわさ、わさわさって撫でまわします。あんまりやり過ぎてオニキス達に怒られちゃいました。オニキスなんて僕のこと咥えてマロンから離したんだよ。
「いい加減にしないか! なでなでなら俺達にするべきだろう!」
「そうだよ!」
「そうだ!」
「「キュキュイ!」」
「ぼくなでなでちて!」
「なでなでとはそんなに良いものなのか?」
ちょっとみんな心狭すぎだよ。ディアンまでなでなでのこと聞いてくるし。でも…。後でみんなにはたくさんなでなでしてあげるよ。僕の大切な家族。僕を守るためにきっとだいぶ無理したはずだし。みんなの気の済むまでなでなでしてあげよう。
なでなで止めてちょっとしょんぼりのマロン。そのマロンが
「僕、ハルトのカバンどこにあるか分かるよ。そっちの大人の人間の剣も」
え? 今なんて言ったの! マロン僕達の荷物がどこにあるか知ってるの?
マロンね、僕達の荷物隠しておいてくれたんだって。僕達の荷物をとってロイの剣を調べ僕のオニキスカバンの中身を調べた団長と黒服。何にもないって分かって最初オニキスが言ったみたいに2人が捨てたんだって。
でもマロン僕と初めてお話した時、謝ってくれたでしょう。僕とお話しする前にもずっと僕のこと心配してて悪いことしちゃったって思ってたみたい。僕達の荷物捨てられたの見て、もしかしたら、もしかしたらだよ? 僕が黒服達から逃げられたら黒服達の目を盗んで、返してくれるつもりだったんだって。
だから捨てられちゃった荷物を、黒服達が荷物置くために使ってた部屋の奥に隠してくれたんだって。
なんて良い子なの! 僕今度はマロンの頭なでなでです。そんな喜んでる僕となでなでされて喜んでるマロンに、ガーディーお父さんが話してきました。
「あの家は破壊したと連絡してこなかったか?」
あっ…。僕そっとマロンを見ます。マロンはしっぽ振ったまま堂々としてました。そんなマロンの隣に立つラナお母さん。
「大丈夫よあなた。家を破壊するとき、この子があの部屋だけは残してと言ってきたから、上手くその部屋だけ壊れないように家を破壊したのよ。でももし生き残った黒服やあの1番威張ってる黒服に気づかれるのもまずいから、一応壊れてる風に破壊したやつを周りに重ねておいたわ。ディアンあなたなら瓦礫を退けられるでしょう」
何? この完璧なマロンとラナお母さんのコンビネーション。
2人の話を聞いてすぐにあの閉じ込められてた家に向かうことになりました。みんなで移動を開始しようとしたとき、ここに元から居て1番ディアンを心配していたファイヤーホースがディアンに声をかけてきました。そっちを見たらディアンやフェニックスを守ってたここに住んでた魔獣達が、全員集まってディアンを見ています。
「オヤジ、俺達はここでお別れだ。まさかこんな所まで人間が来るとは思わなかったからな。またあの黒服達が来ても面倒だ。俺達はもう少し奥の人間が来ることの出来ない場所まで移動することにする」
突然のお別れです。今までずっと揺れてたディアンのしっぽが止まりました。
「オヤジはその小さい人間と一緒に行くんだろう。契約もしたことだしな。あとはそっちの問題だ。俺達には関係のない。が、最後にこれだけは言いたかったんだ。オヤジ、今まで俺達のためずっとここの場所を守ってくれてありがとう」
魔獣がみんな一斉に頭を下げます。すごいねディアン。こんなにみんなに慕われてて。僕ディアンと契約してよかったのかな? 僕はとっても嬉しいけどここのみんなに悪い気がしてきたよ。
「ハルト、我はハルトと一緒に居たいのだ。悪いなどと考えるな。大体我が側に居たいと思うのを文句言われる筋合いもないだろう」
さすが波長が合ってるもの同士だよね。僕の考えてることバレちゃってます。と、思ってたのも違うみたい。お前はすぐ顔に出るって、ディアンだけじゃなくてファイヤーホースにまで同じこと言われました。みんなが一斉に笑います。
え~、そんなに? 僕そんなに考えてること顔に出るの? そういえばオニキス達も僕がお話する前に僕が考えてること言ってきたりするけど、もしかしてそれもそうなの? 僕もっとキリッとした、格好いい大人になりたいんだけど。こう忙しいとか難しいとか顔に出さずに、なんでもない顔していろんなことができる大人にね。
僕試しにキリッとしたお顔してみます。そしたらまたまたみんな笑うの。もうね大爆笑だよ。ロイまでお腹抑えて笑ってます。
「ハルトなんだその顔は! ワハハハハハ!」
「ハルト面白い! フウもやってみよう。フンっ!」
「オレも! フンっ!」
フウ達だけじゃなくてブレイブ達までマネします。ちょっと酷くない? 僕真剣にキリッとしたお顔したんだけど。
やっと笑うのやめたファイヤーホースが僕の前に歩いてきました。
「小さい人間。オヤジを頼む。今までずっと俺達のために気を張り続けてきたんだ。お前のそばでゆっくりさせてやってくれ。まあお前の側じゃゆっくり出来るかどうか疑問だが。そしてたまにここに遊びに来い。俺達はお前なら歓迎する」
おお~。ここに来る許可貰っちゃいました。でもここに来るならブリザードモンキーとかに手伝って貰わなきゃだよね。後でブリザードモンキーとお話してみようかな?
まぁとりあえずはマロン達が破壊したあの家に行かなくちゃね。
ファイヤーホース達にバイバイするとぞくぞくと奥の方に消えていきます。全員行ったの確認して僕達も移動です。
家まで歩いて行くの良いんだけど、ドシンっドシンドシンっ、ディアンが歩くと地面が揺れます。戦ってる時はそれどころじゃなかったから気づかなかったけど、後でこれについても相談しなきゃ。それどころか街に戻ったときどうしよう。ドラゴンのままじゃ大変なことになるよね。
「ハルトそれなら大丈夫だ。後で話す」
ってディアンが。え? またお顔に出てた? 僕お顔モミモミします。それを真似してフウ達もモミモミ。もうすぐ真似するんだから。
家があった所についてびっくり。本当に跡形もなく家が壊れてました。
「しゅごい」
思わずそう言ったいました。だって本当にただの瓦礫の山になってたんだもん。これ本当に僕のオニキスカバンとロイの剣大丈夫なのかな?
マロンがディアンにある場所の瓦礫のどかすように言います。ディアンが大きな爪でヒョイっヒョイって簡単にどかしていってすぐに作業は終了。したから大きな箱が何個か出てきました。そのうちの1つをマロンが開けてって。ロイが箱開けます。中からオニキスカバンと剣が出てきました。それから僕が貰ったあの元気になる木の実とか、いろいろな魔力石、お金も色々な物が出てきました。
「色々必要だと思って隙を見て隠しにきていたのよ」
ってラナお母さんが。ありがとうマロン、ラナお母さん。僕は早速オニキスカバンに羽を入れようとします。
「ハルト様お待ちを。中に包みが。これに包んで入れた方が」
ロイが羽をそっと包んでくれてオニキスカバンに入れてくれました。それから木の実も入れて僕の準備は完了。ロイも瓦礫のしたからカバン見つけてきて、それに魔力石とかお金とかいろいろな物入れて、剣を腰に付けて準備完了です。
「よし。じゃあこれからの話をするぞ。」
オニキスがみんなに声をかけました。