60波長が合ったのは? そして穢れを祓おう!!
「その人間が穢れを祓う? 笑わせるな」
ファイヤーホースがロイを見ながらふんって笑いました。ほらやっぱりロイだと思ってるよ。
「だいたい人間を親父やフェニックスに近づけると思うか? お前もよく人間なんかと一緒にここに来れたな。人間がこの事態を招いたんだぞ。お前達を苦しめた人間がそこにいる。倒すのならまだしも手を組むなんて」
確かにファイヤーホースの言う通りだよね。ガーディーお父さん達や僕達は見てないけどガーディーお父さん達が逃した小鳥はあの黒服やサーカス団のせいで苦しめられたし。小鳥を逃してくれたファイヤードレイク達だって黒服達がこんな悪いことしなければ、今苦しむことだってなかったんだもん。それなのに急に人間が穢れを祓うなんて言ったって信じてもらえる訳ないよ。
でも…。今ゆっくり説明してる暇なんてない。だって僕達が閉じ込められてたお家ではラナお母さん達が頑張ってくれてるけど、いつ黒服達が戻ってくるか分かんないんだもん。それにこんなに赤黒いモヤモヤの大きな穢れ、祓うのに時間がかかるはず。早く穢れを祓って動けるようにしてあげなくちゃ。穢れに飲み込まれちゃダメだよ。
「話を聞いてくれ。この人間は……」
「だから人間など!」
「止めろ……」
あっ! 今の声! 声を聞いた途端、少し具合が悪かったのがとっても具合が悪くなりました。声を聞いたからより一層波長が合った感じ? そして今声を出したのはファイヤードレイクでした。僕達と波長が合ったのはドラゴンです。
「ガーディーが言っていることは本当だ…。その者から力を感じる。穢れを祓える力だ…」
「おやじ…。だが相手は人間だ。もし何かされてみろ。今の親父達じゃ」
「なにもちない」
「は?」
フャイヤーホースや他の魔獣が僕のこと見ました。そして何言ってんだこのガキみたいな感じで見てきます。そりゃそうだよね。こんな小さな子供が急に何もしないって言ったらそんな顔にもなるよ。でもここはどんどんいかなきゃ。それで早く祓ってあげないと。
「ぼくないもちない。でもけがれはりゃえりゅ。がんばる!」
「小さな人間が、何を」
ファイヤードレイクは苦しいせいで息をハァハァしながら、周りにいる魔獣達に僕が穢れを祓える人間だって説明してくれました。最初は全然信じなかった魔獣達が、フェニックスにも同じこと言われて、しんって鎮まりました。
そう言えばファイヤードレイク、僕達と波長が合ってるの分かってるのかな。今から穢れを祓うからしっぽとかで攻撃しないでねって、それから僕達と波長が合ってるってこと、声に出さないで言ってみよう。
僕は心の中でファイヤードレイクに話しかけます。
『ぼくのなまえハルト。よろちくね』
心の声までお子ちゃま言葉。もう! ビクってフャイヤードレイクが僕のこと見ます。僕に続いてスノーも挨拶。それからファイヤードレイクの声と苦しみ、ずっと聞こえてたし感じてたよって。そこまで言ったら、ファイヤードレイクがやっぱり心の声で話しかけてきました。
『まさか…、我と波長が合ったのか。まさかそんなことが…。力には気づいたが…』
きっと穢れに苦しんでて気づかなかったんだよ。僕はこれからのこと説明します。急に僕もファイヤードレイクも黙っちゃったから、周りの魔獣がヒソヒソ何か言ってます。でもそんな事気にしてる場合じゃないよ。
全部説明し終わると、ファイヤードレイクは深く頷きました。それでそのことをフェニックスにも説明するから待ってくれって。ボソボソ話を始める2人。僕が見た感じだとフェニックスの方が穢れが強い気がする。赤がね強いんだ。
僕が言ったのは最初にドレイクから穢れを祓うってこと。ほんとだったら穢れの酷いフェニックスから祓った方が良いんだろうけど、僕今ドレイクの苦しみが流れて来ちゃってるから。先にドレイク治してこの苦しみがなくなれば、フェニックスの穢れ祓うのに集中できると思うんだよね。ただ…、ドレイクを治してるときフェニックスにはもう少しだけ、苦しいの我慢してもらわないとだけど。
それからもし、もしも僕が穢れはらえなかったら…。考えたくないけど、そのことも2人にはちゃんと言っておかないとね。
説明が終わったのか、フェニックスが頷いてます。それを確認したドレイクが僕に近くにくるように言いました。
「お、おい! オヤジ!」
「良いのだ…。それよりも、この子供が穢れを祓っている最中、もし奴らが攻撃してきたら…、その時はお前達、この子供を全力で守ってほしいのだ…。頼む」
「オヤジがそんなこと言うなんて……」
ファイヤーホースも他の魔獣も驚いてます。ファイヤーフォースが僕のことをじっと見つめてきました。それから、
「行け」
そう言って道を開けてくれたんだ。それに続いて他の魔獣も道を開けてくれます。その間をオニキスが僕を乗せながら進みます。みんなもね。
目の前まで来ると、ドレイク達の大きさがさらによく分かったよ。僕が…、うん僕じゃ話にならないや。日本の平均的な一軒家の3倍くらい? たぶんね。僕はドレイクの爪よりも小さいです。
近づいて他にも分かったこと。さっきいた場所からさらに近くに来ただけなのに、穢れの嫌な感じが何十倍にもなったってこと。ドレイクから伝わってくる苦しさもあるけど、たぶんオニキス達も具合が悪くなるような、とっても酷い穢れです。ドレイク達守ってる魔獣たち、よく近くでドレイク達守ってるね。それだけ大切な仲間なんだ。
オニキスが僕を心配してくれて、大丈夫かって聞いてきました。フウ達もとっても心配な顔してる。
僕は大きく息を吸って、それから大きく頷きました。それから集中して魔力を溜め始めます。オニキスが魔力溜めるの手伝ってくれるって、自分の魔力を僕に流してきました。うん。これやってもらえると、魔力の感じが分かりやすいからいいんだよね。
どんどん溜まる魔力。さあ、穢れを祓って、みんな元気になって家に帰ろう!
たくさんの魔力が溜まったのを感じて、オニキス達にちょっと離れてもらいます。だって僕に触ってたり肩に乗ってたりして、僕を通して穢れがオニキス達に流れちゃってもダメだからね。それに今までと威力が全然違う穢れだから、何があるか分かんないからね。
離れたの確認してそっとドレイクに両手で触りました。体…、は大きすぎて触れないから爪の所ね。その途端ブワァッて穢れが僕の方にまで押し寄せてきます。オニキス達がビックリして慌てて僕の周りに集まってこようとしたけどダメって止めました。ふぅ、やっぱり離れててもらって良かった。
僕は穢れがなくなるように心の中でお願いしながら、穢れを祓う感じで僕の魔力をどんどんドレイクに流していきます。初めから全力でやってるけど、僕の感覚だと今のところ爪のところの穢れがなくなった感じ? お父さんファングの穢れ祓った時も大変だったけど、でもその時よりも僕の魔力が弾かれる感じがします。
気合を入れ直して、どんどん魔力を流していきます。ただお父さんファングの時よりも、僕が流す魔力は強い気がします。オニキスに手伝ってもらったけど、この世界に来てから何回か魔力溜めてるからね。なれたのかも。気付けばドレイクの片方の腕の穢れを全部祓うことができました。この調子この調子。
「俺はちゃんと穢れが見えるわけじゃないが、このドラゴン達がかなりの穢れに飲み込まれているかぐらいは分かる。そしてハルト様がお触りになっている箇所の穢れが無くなってきているのも。ハルト様は一体…」
「ロイ。それは後で話せ。今はどんな変化も見逃さないようにハルトを見ておかないといけない。少しでもハルトが危ないと思ったらすぐに引き離すぞ。いいかフウ達もよく見ていろよ。」
「うん!」
「勿論だよ!」
「「キュキューイ!!」」
「はいでしゅ!!」