59ここは火山地帯。そして穢れに取り込まれてるのは?
お猿さん。あのチラシの子とおんなじ。 僕がこんにちわって言おうとしたら、行くぞって、さっさとガーディーお父さんがドアを開けて外に飛び出しました。それで外に出たのかと思ったら、まだ外じゃなかったの。向こうにもう1つドアがあります。そこが外に出るドアなんだって。
ドアに近づいてたら、ブリザードモンキーが僕の肩に乗っかって来ました。それからお顔スリスリで、
「キィー、キィキィ」
って。オニキスが通訳してくれます。首輪外してくれてありがとうって。それから外に出たら暑さから守るからねって言ってくれたんだって。だから今度は僕がありがとうって言ったよ。
外に出るドアの前、氷の魔力石のおかげでどうにかその場に居れるけど、かなりの暑さだよ。
「いいかハルト。外に出たら屋根に登る。そこで魔獣達の首輪を外すぞ。外せたのを確認したらすぐに移動するからな。おいしっかり案内するんだぞ」
「分かっている。では行くぞ」
ブリザードモンキーが魔法使いました。僕達全員の周りを雪の膜が覆います。それを確認してみんなで外に飛び出しました。
出た瞬間、僕思わず見入っちゃったよ。本当にここは火山地帯なんだ。凄い迫力なの。ちょっと行った所からは煙と、それから溶岩まで見えるんだ。よくこんな所に家建てられたね。普通、こんな所に家建てたらすぐ暑さでやられちゃうと思うんだけど。
そんなこと考えてたらオニキスがタッてジャンプして1回で屋根の上まで上がりました。
よし、僕頑張らないと。僕は魔力を一生懸命溜めます。でもなかなか溜められなくて。オニキスが興奮してて上手く溜められないんだろうって、最初の手助けしてくれたよ。オニキスの魔力が僕の中に流れてきて、それ真似して自分の魔力を溜めます。よしなんとかなりそう。
やっと魔力が溜まったから、みんながいる場所思い浮かべながら叫びます。
「くびわ、はじゅれちゃえ!!」
シーンと静まり返って周りは火山地帯のゴオォォォォって音しか聞こえません。大丈夫かな。自分の目で確認出来ないからドキドキです。ガーディーお父さんが連絡を待ちます。そして…。
「よし成功だ! 子供達の確認ももう出来たらしい。ハルト礼を言う。ありがとう! さあ、すぐに移動だ!!」
良かったぁ。みんなの首輪ちゃんと外せたんだね。
それでね移動しようとしたとき、僕あることに気づきました。ここにブリザードモンキーがいるなら、みんなこれから逃げるとき外に出られる?って。そのまま出たら絶対まずいよ。それで慌ててガーディーお父さんに聞いたんだ。そしたら別の氷魔法使える魔獣が居るから大丈夫だって。
誰?と思って、ガーディーお父さんがその魔獣のこと教えてくれながら走ります。なんとブリザードモンキー双子でした。僕今一緒にいるブリザードモンキーの首輪外したとき、もう1匹の方の首輪も外してたみたい。その子ずっと手で首輪押さえて、気づかれないようにしてたんだって。もう。そういう事はちゃんと言ってよ。
僕がプンスカ怒ってたらそれ見たフウ達が、後で全部いろいろ終わったら怒ってあげるからねって。あのフウとライのうるさい攻撃と、ブレイブとアーサーの噛みつき攻撃やってくれるみたい。うん良いね。どんどんやっちゃって。スノーは僕にたくさんなでなでさせてくれるって。それ、自分がして欲しいだけじゃ…。まぁいっか。スノーもふもふで気持ちいいし。それ聞いたオニキスが俺もだって。………1番大人なのに。もう。
どんどん走って周りは半分が溶岩、半分が地面って感じになりました。これブリザードモンキー居なかったら絶対死んでるよ。こんな所に住める魔獣って一体どんな魔獣なの? 結構居るみたいな感じで話してたけど。
「!!」
その時ガーディーお父さんがビクッてしました。
「上手くいっているようだ。ほぼ中にいた黒服と団員達を倒したらしい。全て倒し終えたらすぐこちらに来るそうだ」
無理しないでね。危ないと思ったらすぐに逃げるんだからね。僕、誰かが傷つくの見たくないよ。みんなで無事に逃げなきゃ。僕がそう思ってたら、オニキスが僕がそう思ってるはずだからって、家に残ってるラナお母さん達に伝えろって言ってくれました。さすがオニキス。僕の考えてることちゃんと分かってくれてます。
さらに走ってどれだけ奥に来たんだろう。半分以上が溶岩で覆われてる所まで来ました。こんな所でも全然平気なブリザードモンキーの魔法。凄いよね。それにしても、よく黒服達はここまで来ようと思ったよね。それだけ凄い魔獣ってこと?
前を見つめながら魔獣のこと考えてたら、少し前の方に赤黒いモヤモヤが見えたんだ。
「オニキス、モヤモヤ。あかくてくりょい」
「あそこか?」
「そうだ。本当に穢れが分かるのだな。しかし赤くて黒いとは…。かなり穢れが進んでしまっているな」
ちょっとちょっと、早く早く。それだけ苦しんでるってことでしょう。でもここから見て分かるくらいの大きなモヤモヤ。あそこに居る魔獣って本当にどんなの?
「ハルト先に言っておく。あそこで穢れに侵され苦しんでいるのは2人だ。我が最後に見たときはもう少しモヤモヤが薄かったのだが。あそこまで酷くなっているとは…。危ないと感じたらすぐにここから逃げろ。オニキス、ハルトが何と言おうとここから遠ざかるんだ。あれらが我を忘れ暴れ出せば、ここら一体は完全に消え去るだろう」
………ちょっと脅かさないで。これから穢れ祓うんだから。僕ちょっと怖くなっちゃって、オニキスの毛をギュッて掴みます。
「大丈夫だ。俺達が居る。ハルトには絶対手を出させない。俺達はハルトの家族だ。家族を守るのは家族だからな。だから信じてハルトがやれることをしろ。それでダメならさっさとこんな所おさらばだ」
ありがとうオニキス。フウ達も僕にすりすりしてくれます。みんなもありがとね。
さらにモヤモヤに近づきます。そして、僕が祓う魔獣の1匹が何なのか分かりました。
「ドリャゴン?」
「ああ。あそこに居るのはドラゴンとフェニックスだ。フェニックスはもう少し近づけば見えてくるだろう」
おおおおおお!! まさかこんなに早くドラゴンとフェニックスに会えるなんて!! 喜んじゃいけないけど、でもごめん。嬉しい!! 早く穢れ祓ってあげて少しお話し出来ないかな。
「それとハルト。あのドラゴンは普通のドラゴンではない。火の精霊、ファイアードレイクだ」
おおおおおおおお!!
「おいハルト興奮するな! 俺が支えているとはいえ落ちたらどうする。お前もハルトが興奮するようなこと言うな。教えるなら後にしないか。今はドラゴンということだけ言っておけば良いだろう。それだってかなり興奮してるんだ」
「す、すまん。こんなに喜ぶとは」
これは本当に早く祓ってあげてお話聞かなくちゃ。
どんどん近づくファイアードレイク。そして、あっ! 下の方にモヤモヤのせいでよくは分からないけど、たまに綺麗な羽が見える時がある。あれがフェニックスだね。ファイアードレイクより小さいけど、かなりの大きさみたい。僕は俄然やる気が出てきたよ。
そしていよいよ目の前には大きな大きなファイヤードレイクと、これまた僕達に比べたら全然大きいフェニックスが横たわって居ました。2人ともとっても苦しそうな顔して横たわってます。それでその周りにたくさんの魔獣が2人を守るように囲って居ました。
その中の1匹。真ん中の先頭にいた、炎を纏った馬?が話しかけてきました。話しかけて? ううん。怒鳴ってきました。
「なぜ人間がここに居る。いやなぜ人間をここに連れてきた! お前はオヤジ達の好意で助けられようとしたのに、恩を仇で返すつもりなのか!」
「違う!! 助けに来たのだ! この中に穢れを祓える者は居るのか! 唯一穢れを祓えるのはファイヤードレイクとフェニックスだけだろう。我は穢れを祓える人物を連れてきたのだ。それによく見てみろ。我の首を。首輪が外れているだろう。これをやってくれたのもその人物だ。大丈夫。この人間は信用できる人間だ」
オニキスがあの馬はファイヤーホースだって、小さいな声で教えてくれました。ファイヤーホースがガーディーお父さんの首を見てちょっとだけ驚いてます。それからジッとロイのこと見ました。あれ? もしかして祓える人間ロイだと思ってる?